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【App Engine】ローコード開発で何ができる?メリットや活用法を解説

ローコード開発は、従来のプログラミングに比べてコーディング量を大幅に減らし、開発期間を短縮できる手法です。 視覚的な操作でアプリケーション開発が進められるため、開発コストの削減や機能改修が容易というメリットがあります。 ここではローコード開発ツール「App Engine」によってカスタマイズが可能なServiceNowのサービス紹介とともに、ローコード開発に興味がある方に向けて、ローコード開発の概要と特徴、およびメリット、デメリットを詳しく解説します。ローコード開発とは ローコード開発とは、プログラミング経験が浅い人でも高品質なアプリケーションを迅速に構築できる技術です。 ユーザーは直感的なインターフェースを使用して難しいコーディング作業を省き、企業のニーズに合わせて柔軟にアプリケーションをカスタマイズできます。 ローコード開発の活用は開発時間の短縮とコスト削減に寄与し、エンジニア経験が浅い人でもアプリケーション開発に参加できる可能性が高まるのです。 続いて、ローコード開発の概要と定義を解説していきます。ローコード開発の概要と定義ローコード開発は、プログラミング経験が少なくても、視覚的に分かりやすい操作で開発できるツールを使用して迅速にアプリケーションを構築する手法です。ローコード開発ではコードを書く時間や手間を従来のコーディングでの開発と比較して大幅に減らせることから、開発プロセスを効率化できます。 特にServiceNowはシステム開発の経験が浅い人でも使えるノーコード開発プラットフォームとして、JR東日本や東京ガスといった大手企業から、東広島市といった自治体まで、広く採用されています。豊富な機能を有し、基本的にはそのまま活用できますが、企業の理想に合わせてカスタマイズしたい場合も、App Engineを使えば、開発者が複雑なコードを書くことなく、優れたユーザーインターフェースで簡単に実装可能です。 ローコード開発の手法を採用することで開発工程が効率化されるため、時間とコストが削減でき、ビジネスにおける迅速な対応が可能になります。さらにローコード開発は、開発経験が浅いエンジニアがアプリケーションの開発に参加し、組織全体のイノベーションを推進するための手段としても有効です。ローコード開発が求められる理由ローコード開発が求められる理由は、現代のビジネスニーズと密接に関係しています。 ビジネス環境の急激な変化に迅速に対応するために、開発プロセスの高速化が必要になります。ローコード開発は開発プロセスの高速化を実現し、企業が変化する市場の要求に素早く応えることを可能にします。 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化もローコード開発が求められる理由です。多くの企業がビジネスにおいてデジタル技術を取り入れており、DX化のプロセスにおいてローコード開発は重要な役割を果たしているのです。ローコード開発のメリットローコード開発は、企業にとって多くのメリットをもたらします。ローコード開発によってもたらされる主なメリットは、以下の5つです。 開発生産性の向上 技術ハードルの低減 セキュリティ対策の負担軽減 品質の向上 新しいIT技術の利用開発生産性の向上は、ローコード開発の最大のメリットのひとつです。ローコード開発により、開発サイクルが短縮され、アイデア出しから製品が完成するまでの時間を大幅に削減できるようになります。これによりビジネスは、市場の変化に迅速に対応し、競争力を維持することが可能です。 ローコード開発ツールの活用によって、技術的なハードルが低くなることも重要なメリットです。直感的なインターフェースのため、プログラミングスキルが低い人でもアプリケーション開発に参加できるようになります。 また、多くのローコード開発ツールはセキュリティ機能を有しているため、アプリケーションごとに個別のセキュリティ対策を行う必要が少なくなります。これは、特にセキュリティリソースが限られている企業にとって大きなメリットといえるでしょう。 ローコード開発ツールを使うことで一貫した開発基準を保てるため、アプリケーションの品質が担保されることもメリット。より安定した製品を展開できるようになります。 ローコード開発ツールは、クラウドコンピューティングや人工知能といった最新の技術トレンドの統合も容易にします。最新の技術をキャッチアップできることで、企業は新しい技術を迅速に採用し、イノベーションを加速させることが可能です。 これらのメリットによりローコード開発は、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。ローコード開発のデメリットローコード開発は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ローコード開発の欠点を理解することは、ローコードツールを選ぶ際の重要なポイントです。 まずローコード開発ツールには、ツールごとに制約があることを理解しましょう。ローコード開発ツールは、開発の効率性と利便性を優先して設計されているため、カスタマイズの自由度や機能の範囲に限界があるツールもあります。 特に複雑な要件や特定のニーズに合わせてアプリケーションをカスタマイズする必要がある場合、ローコード開発ツールが個別に持つ制約が障害となることがあるため、注意が必要です。 またローコード開発ツールの使用には、ツール特有の知識や理解が必要な場合もあります。プログラミングスキルをそれほど必要としないものの、効果的に使用するためには、ツールの機能やインターフェース、設計に慣れる必要があります。 ローコード開発ツールの採用を検討する際には、これらのデメリットを理解し、組織のニーズに合わせて適切なツールを選択することが重要です。ローコード開発の手法 ローコード開発は、ドラッグアンドドロップや、ツールに搭載されているテンプレートを利用して、アプリケーションの要素を配置する手法が一般的です。 この手法は、プログラミング経験が少なくても直感的にアプリケーションを開発できるようにし、開発工程を大幅に簡略化・迅速化します。 続いて、ローコード開発の具体的な手順をみていきます。ローコード開発の手順とはローコード開発の手順は、一般的なシステム開発の方法と基本的に同じでありながら、特有の特徴を持っています。 ローコード開発では、ビジュアルツールとプリセットコンポーネントを使用し、開発者はアプリケーションのプロトタイプ(型)を作成していきます。 基本的に、ローコード開発はアジャイル型の手順で、開発とテストのサイクルを短期間で繰り返し、素早くフィードバックを取り入れながら製品をブラッシュアップしていきます。 ローコード開発におけるアジャイル開発のアプローチは、柔軟性と迅速性をもたらし、市場の要求に対する素早い対応を可能にします。ローコード開発における注意点ローコード開発を行う際には、いくつか注意点があります。 まず、開発するシステムの必要な機能がローコードツールで網羅できるかどうかを確認することが大切です。ローコードツールは多くの標準機能を提供しますが、特定のニーズに合わせてカスタマイズする必要がある場合、ツールの限界を理解することが重要です。 次にシステムの機能要件を正確に把握し、それに基づいて適切なローコード開発ツールを選択することが求められます。機能要件が明確でないと、開発プロジェクトが方向性を見失い、効率的な進行が困難になることがあります。 また開発ドキュメントの作成は、ローコード開発においても重要です。加えて選択するローコードツールのサポート体制を確認することもポイント。適切なサポートがあれば、開発中の問題や疑問に迅速に対応できます。ServiceNowもApp Engineでローコード開発が可能ローコード開発は、最小限のコーディングでシステムやアプリケーションを構築できる手法です。ローコード開発においてServiceNowとApp Engineは、採用する企業のみならず開発に携わるエンジニアにとっても、開発や運用・保守の効率化といったさまざまな面でメリットをもたらします。 DTSは、ServiceNowを活用したIT戦略立案から運用保守に至るまで、トータルサポートを提供しています。ServiceNowの機能を最大限に活用し、お客様のビジネス要件に合わせ、DX推進や業務変革に貢献する体制を整えています。 社内のDX推進や業務変革について課題をお持ちのご担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

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ノーコード開発とは?ローコードとの違いやServiceNowの魅力を解説

ノーコード開発とは?ローコードとの違いやServiceNowの魅力を解説

ノーコード開発とは、コーディングなしでWebサイトやアプリケーションを開発することです。ServiceNowもノーコードベースのプラットフォームとしてユーザビリティに優れたシステムのひとつです。 この記事ではノーコード開発のメリットやデメリット、ノーコード・ローコードベースのプラットフォームであるServiceNowの魅力について解説します。ノーコード開発とは? ノーコード開発は、コーディングを行わずにWebサイトやアプリケーションの開発を行う方法です。特にServiceNowは優れたノーコードベースのプラットフォームとして、業界を問わず導入されています。 コーディングの専門知識がない人でもデザインをするような直感的な操作で、アプリケーションなどの開発が可能です。近年はエンジニア不足の問題もあり、ノーコードツールは注目を集めています。ノーコード開発とローコード開発の違いノーコード開発とともによく聞かれるワードとして「ローコード開発」というものがあります。両者とも効率的に開発を行う目的は同じですが、ローコード開発はコーディングが発生し、ノーコード開発は全くコードを書かないことが大きな違いです。 ローコード開発は、少ない数のソースコードでシステムを開発する方法となり、エンジニアがより効率的に作業を行えます。ServiceNowは、ノーコードベースのプラットフォームとして認知されていますが、App Engineを使用することで、ローコード開発によるカスタマイズも可能です。ノーコード開発が普及した背景 ノーコード開発が普及した背景には以下の3つがあります。 IT人材の不足 クラウドサービスの普及 ITサービスの多様化IT人材の不足により、システム開発を望むニーズに追いつかない現状が背景のひとつです。 過去にはWeb上での開発やデータ保管がセキュリティの問題上好ましくないとされていましたが、クラウドサービスの発展により、オンラインでの開発やデータ管理が普及しました。 さらに、ITサービスが多様化し、小規模なシステムが以前よりも増加しました。小規模システムはノーコードツールと相性が良く、少ないコストで開発が可能です。ノーコード開発のメリットノーコード開発のメリットは以下の3つです。 プログラミングの知識が不要 システム開発コストの抑制 短期間での開発が可能プログラミングの知識が不要ノーコード開発はプログラミングの専門知識が不要で、エンジニアに発注せずにアプリ開発ができます。なぜなら、ノーコード開発のツールではパーツを配置するような直感的な操作で簡単にアプリ開発を行えるからです。 例えば、ノーコードベースのプラットフォームであるServiceNowの標準業務アプリを活用することで、プログラミング知識が無い人でもシステムを構築することが可能です。システム開発コストの抑制ノーコードプラットフォームを使用すると、開発会社やベンダーに発注しないため、システム開発コストを抑制できます。 システム開発は専門会社に依頼することが一般的であり、その場合は高額なコストが発生してしまうものです。自社でエンジニアを雇用する場合においても人件費が発生します。ServiceNowのようなノーコード開発ができるプラットフォームを採用すると、こうしたコストに関する課題が大幅に解消されます。短期間での開発が可能ノーコード開発はプログラミングが不要なため、プログラミング言語を習得する時間や、複雑なコードを書く時間が削減され、短期間での開発が可能です。 開発期間が短く、サービス開始までのスピードも早くなるため、競合他社との差別化にも繋がるでしょう。ノーコード開発のデメリットノーコード開発のデメリットは以下の3つです。 大規模開発に不向き 拡張性や自由度が低い プラットフォームに依存する大規模開発に不向き大規模開発では、大量データの送受信や、他社システムとの連携などが求められる場合もあります。ノーコード開発ツールは、一定の範囲内での機能に限定され、大規模で複雑なシステム開発には適さない傾向があります。 一方でServiceNowは、大規模開発に適した柔軟性の高いノーコードベースのプラットフォームです。ノーコード開発環境に加え、他システムと簡単に連携可能となるAPIの標準実装や、ノーコードで対応しきれない場合にカスタマイズが行える環境もあります。 ServiceNowのような高度なノーコードプラットフォームを採用することで、さまざまなシステム開発のニーズに応えることができます。拡張性や自由度の低さノーコード開発のツールは、テンプレート化されたUIなどの決まったパターンの中から選ぶことが多いため、オリジナルのデザインや特定機能の実装は困難です。 たとえば利用できる連携ツールには限りがある場合や、複雑な機能やアニメーションには対応できない可能性があります。プラットフォームに依存するノーコード開発はプラットフォームのサービスに依存するため、使用しているノーコードプラットフォームがサービスを終了すると、開発したWebサイトやアプリケーションは使用できなくなります。提供元の取引実績や経営状態などを十分に調査し、長期的な視点でツールの使用が適切かどうかを検討しましょう。 ServiceNowは大手企業にも数多く活用されており、信頼性の高いプラットフォームのため、安心して使用できます。ノーコードツールを選ぶポイント 次にノーコードツールを選ぶポイントを以下の3つの観点から紹介します。 利用目的と目標を明確にする 明瞭な利用料金 開発のしやすさ利用目的と目標を明確にするノーコードツールを選ぶ際には、具体的な利用目的と目標を明確にし、最適なツールを選定しましょう。利用する目的や目標によって、必要な機能や対応デバイスが異なります。 たとえば、ECサイト、Webサイト、業務アプリケーションなど用途によって必要な機能は大きく変わります。 ServiceNowはさまざまな業界や職種で活用実績があるため、システム導入の目的を幅広くカバーできます。明瞭な利用料金ノーコードツールは無料で利用できる場合もありますが、利用人数やセキュリティ対策のレベルによって有料になることもあります。 小さなチームや個人の場合は低コストで利用できますが、企業や組織の規模が大きくなるとコストが増加する可能性もあるため注意が必要です。利用するノーコードツールの料金プランを確認しましょう。開発のしやすさノーコードツールは直感的な操作でWebサイトやアプリケーションを開発できるため、使いやすさや操作性が開発効率に大きく影響します。サポート体制の充実や、マニュアルの有無も重要です。 ServiceNowは利用者にとって操作性に優れた使いやすいプラットフォームであり、カスタマイズにも柔軟に対応できます。ServiceNowなら業務に合わせた最適なしくみを簡単に構築可能!ノーコード開発は、プログラミングをすることなく、Webサイトやアプリを効率的に開発する手法です。 近年のIT人材不足、クラウドサービスの普及、ITサービスの多様化といった背景のもとで需要は増加し、特に小規模な開発に適しています。ノーコードプラットフォームであるServiceNowでは、業務に合わせた最適なしくみを構築可能です。 株式会社DTSは、ServiceNowを活用したアプリケーション開発により、お客様業務の効率化や可視化を実現いたします。1,400社以上の企業様へITサービスをご提供してきたノウハウを活かし、戦略立案から運用までをワンストップでトータルサポート。お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に支援いたします。 業務およびシステムの見直しや、社内のDX推進をご検討中のご担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

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SaaSの拡大でますます高まるライセンス管理の重要性

SaaSの拡大でますます高まるライセンス管理の重要性

ソフトウェアを業務で安全に活用するためには、ライセンス管理が必要です。しかし、そもそもライセンス管理とはなんなのか、なぜ必要なのかわからない方も多いでしょう。 この記事では、ライセンス管理とは何かを解説するとともに、ライセンス管理が必要な理由も説明します。さらに、企業でよく見られるライセンス管理の課題や、ライセンス管理を適切に実施するためのポイントも解説しています。 効率よくライセンス管理を実施し、安心できる状態を保ってソフトウェアを活用しましょう。ライセンス管理とはライセンス管理とは、ソフトウェアの使用許諾の条件を正しく守って利用できるようにするための管理です。業務用のものであっても、一般向けのものであっても、ソフトウェアを使用するには使用許諾契約への同意が求められます。使用許諾契約は、メーカーが自社の著作物を守るために定められています。 著作権を侵害したとみなされた場合、メーカーに違約金を支払わなければなりません。それどころか、刑事罰の対象となる可能性もあるのです。しかし、ソフトウェアの性質上、コピーは比較的容易にできてしまいます。意図的に不正をするつもりがなくても、ミスで使用許諾に違反してしまうケースもあるでしょう。 また、ライセンス管理を行うことでムダなソフトウェアの購入やアカウントの契約を減らせば、コストの削減につながります。SaaSの拡大に伴って、コスト面からもライセンス管理の重要性が増しています。ライセンス管理が必要な理由なぜ、ライセンス管理をしなければならないのでしょうか。ライセンス管理が必要な理由を詳しく解説します。ライセンス監査リスクへの対応ライセンス管理を行わなければいけない理由のひとつが、監査リスクへの対応です。 ソフトウェアを販売している企業は、ユーザーに対しての監査権があります。メーカーが監査を行うと決めた場合、ユーザー側は拒否できません。 監査で不正が見つかった場合、違約金を支払う必要があります。違約金の発生リスクを避けるためには、ライセンス管理が欠かせません。コスト管理ライセンス管理の実施は、コスト管理にもつながります。 自社で活用しているソフトウェアのライセンスが管理できていない中で監査リスクを避けようとする場合、不必要に多くのソフトウェアやアカウントを購入・契約してしまうケースも少なくありません。その分、余分なコストが発生してしまうのです。 ライセンス管理を実施すれば、不要なライセンスの購入を避けられます。さらに、より効率の良いライセンス購入計画も立てられます。 そのため、ライセンス管理を行うことでコストの削減が可能なのです。セキュリティ強化ライセンス管理は、セキュリティの強化にもつながります。 使用許諾違反のソフトウェアは、アップデートをはじめとした適切なサポートを受けられない可能性があります。そのため、ソフトウェアの脆弱性をついて攻撃されてしまう可能性があるのです。 ライセンス管理によって現在社内で使用しているソフトウェアを把握できれば、古いバージョンを使い続けてしまうことを避けられます。 適切なライセンス管理を行うことで、ライセンス違反のソフトウェアがインストールされている端末だけでなく、社内のネットワークにつながっているすべての機器を守れる可能性があります。ライセンス管理における課題 適切なライセンス管理の実施は重要ですが、さまざまな理由でうまく進められない企業が多いのも事実です。ライセンス管理における課題を、詳しく解説します。管理しなければならないライセンスや利用するデバイスの種類が多い管理が必要なライセンスや、使用している端末の種類が多いと、ライセンス管理は複雑化し手間がかかります。 昨今では、スマートフォンとPCなど、社員1人が複数台のデバイスを利用するのが一般的です。また、1台のデバイスに複数のソフトウェアがインストールされている場合がほとんどです。 そのため、社員が利用しているライセンスの合計数は膨大な数になります。さらに、部署ごとにソフトウェアを購入している場合には、人事異動にともないライセンス管理が複雑化してしまうケースもあるでしょう。 多くのライセンスが存在する場合、ライセンス管理には膨大な手間と時間が必要です。ライセンスの形態が複雑ライセンスの形態は、ソフトウェアによって異なります。さらに近年はライセンスの形態が複雑化しているため、ライセンス管理に手間がかかってしまうケースもあります。 かつては、購入後決まった台数にインストールできる買い切り型のソフトウェアが一般的でした。買い切り型であれば、多くの場合使用許諾で認められた以上の台数にインストールしないよう注意しておけばよく、管理もそれほど複雑ではありません。 しかし最近では、サブスクリプション型が主流です。加えて、ダウングレード権やセカンドライセンス、プリインストールといったさまざまなライセンス形態が登場し複雑化しています。さまざまな条件が設定されたことで、外見上は同じソフトウェアであっても異なる使用許諾を設定している場合もあります。 複雑化したライセンスを管理しきれない点が、ライセンス管理の課題となる企業も少なくありません。管理者以外のライセンスに対する意識に差がある管理者は、ライセンス管理の重要性を理解し業務にあたっています。しかし、管理者以外の従業員が同じようにライセンス管理の重要性を理解しているとは限りません。ライセンス違反のソフトウェアを利用するリスクを知らなければ、現場で違法コピーのソフトウェアを利用してしまう可能性があります。 また、複雑なライセンスについてすべてを理解できている従業員は多くないでしょう。管理者が重要性を理解しているだけでなく、全従業員に周知しなければライセンス管理はなかなかスムーズに進みません。ライセンス管理を適切に実施するためのポイント ライセンス管理を適切に行うためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。実施するためのポイントを解説します。管理対象と管理レベルの適切な設定ライセンス管理の際には、管理対象と管理レベルを適切に設定しましょう。 管理対象とは、ソフトウェアを利用している部署やインストールされている各デバイスのことです。すべてを管理対象とするのが理想です。しかし、従業員が利用しているすべてのソフトウェアを把握し管理するためには、膨大な手間がかかることも少なくありません。 まずは、重要性の高いソフトウェアを管理対象としてスタートしましょう。監査を頻繁に行っているソフトウェアは、優先度をあげてチェックするのがおすすめです。また、価格の高いソフトウェアも早めに管理対象としたほうが良いでしょう。価格が高いソフトウェアは、違約金も高い傾向があります。 管理対象だけでなく、どの程度細かく管理するか、管理レベルを設定しておくことも重要です。ライセンス台帳とライセンス関連部材台帳の作成ライセンス管理に使われることが多いのが、ライセンス台帳とライセンス関連部材台帳です。 自社で利用できるすべてのライセンスを記録しておくのがライセンス台帳です。インストールされたソフトウェアのライセンスはもちろん、インストールされていないものも記録しておきます。 ライセンス台帳には、次のような項目を記録します。 ソフトウェアの名称 バージョン情報 ライセンス番号 証書番号 使用許諾条件 購入日一方でライセンス関連部材台帳とは、ソフトウェアを管理するための台帳です。インストールに使用したCDやDVDの保管場所や管理している部署、ライセンスキーなどを記録します。 これらの台帳を用意することで、ライセンス管理が可能となります。管理ツールの導入エクセル等を使用して手動入力でライセンス台帳を作成するのも良いのですが、より効率良く管理を進めるのであれば管理ツールの導入も検討しましょう。 ライセンス管理ツールの中には、ServiceNow ITAMのようにライセンス情報をある程度自動で入力できるツールがあります。このような自動化ツールを活用すれば、管理の手間を大幅に削減可能です。 管理の手間が減った分、管理対象のライセンスを広げることもできるでしょう。管理できるライセンスが増えれば、より大きなメリットを得られる可能性があります。 デバイスの種類が多い場合や管理が複雑な場合など、ライセンス管理に労力がかかりそうな場合には特に、管理ツールの導入をおすすめします。適切なライセンス管理の実施が重要ライセンス管理とは、ソフトウェアの使用許諾条件を正しく守って活用するための管理です。ライセンス管理を行うことで、監査リスクを低減するとともにコスト削減にもつながるといったメリットがあります。 ただし、デバイスが多い場合、ライセンス管理には膨大な手間がかかります。また、昨今ライセンスは複雑化しているため、管理が難しいと感じるケースもあるでしょう。 手間がかかる、複雑でわかりにくいと感じた場合には、ライセンス管理ツールを導入するのもひとつの方法です。ライセンス管理ツールを導入すれば、必要な労力を大幅に削減できます。 ServiceNow ITAMを使えば、ライセンス管理の効率化が可能です。興味がある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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デジタル証明書とは?発行方法や仕組み、種類や課題を解説

デジタル証明書とは?発行方法や仕組み、種類や課題を解説

デジタル証明書とは、インターネット上での信頼性を確保するために、第三者(認証局)が発行する電子的な証明書のことです。これは、インターネットを通してデータをやり取りする際、通信内容の暗号化や通信相手が信頼できるかを確認するために使われます。本記事ではデジタル証明書の概要や、発行法およびその仕組み、デジタル証明書の種類や課題を解説します。デジタル証明書とは ここではデジタル証明書の概要と仕組み、デジタル証明書発行の流れについて、それぞれ詳しく解説します。まずはデジタル証明書とは何か、どのような仕組みなのか、どのようにして発行されるのかを、しっかり理解しましょう。デジタル証明書の概要と仕組みデジタル証明書とは、インターネット上での通信の安全性を保証するために使用される電子証明書のことです。 デジタル証明書は、公開鍵暗号方式を用いたシステムです。公開鍵暗号方式における「公開鍵」を用いた暗号化と、データの送信者が自分の秘密鍵を用いてデータに一種の電子印鑑を押す、データの署名によって実現されます。公開鍵と秘密鍵のペアを用い、公開鍵は誰でもアクセス可能な場所に置かれ、秘密鍵はデータの送信者のみが保持します。 この仕組みにより、データの送信者は秘密鍵でデータを署名し、受信者は公開鍵を使用してその署名の検証が可能です。公開鍵と秘密鍵のペアを使うことで、デジタル証明書によって情報の秘密性が保たれ、通信の安全が担保されます。デジタル証明書発行の流れデジタル証明書を発行したい組織や個人は、認証局(CA)に対して証明書発行の申請を行います。 次に、認証局は申請者の提出した情報の真正性を検証します。検証が成功すると、認証局は申請者の公開鍵に対してデジタル署名を行い、デジタル証明書を発行します。 証明書の発行後、組織や個人はこれを自身のサーバーに設置します。これにより、Webサイトを訪れるユーザーは、ブラウザを通じて証明書を確認し、サイトの真正性を検証できるようになります。デジタル証明書の種類ここからは、以下のデジタル証明書の種類について、詳しく解説します。デジタル証明書にはどのような種類があり、どのような役割を果たすのか、よく読んでおきましょう。  サーバー証明書 クライアント証明書 コードサイニング証明書サーバー証明書サーバー証明書は、認証局(CA)によって発行されるデジタル証明書の一種で、Webサイトのドメイン名とその運営者の情報を含むものです。ユーザーがブラウザを使用してWebサイトにアクセスする際、ブラウザはサーバー証明書を検証し、そのWebサイトが信頼できる認証局によって認証されたものであることを確認します。このプロセスを通じて、ユーザーは自身が接続しているサイトが正当で安全であるという信頼を得られるのです。クライアント証明書クライアント証明書の主な用途は、セキュアな通信の確立とユーザー認証です。たとえば、企業が従業員に対してリモートアクセスサービスを提供する際、クライアント証明書を用いて従業員の身元を確認し、安全な接続を確立します。このプロセスにより、不正アクセスのリスクを大幅に減少させることが可能です。コードサイニング証明書コードサイニング証明書によるデジタル署名は、エンドユーザーがソフトウェアをインストールする際に特に重要です。オペレーティングシステムやブラウザは、署名されたソフトウェアを確認し、信頼できる発行元からのものであるかどうかをユーザーに通知します。これによりユーザーは、安全にソフトウェアをインストールできるようになるのです。デジタル証明書の必要性ここからは、デジタル証明書の必要性について、以下の4つの視点から解説します。なぜデジタル証明書が必要なのか、より深く知りたい方は、参考にしてください。 通信経路上の盗聴防止 データの改ざん防止 本人確認、なりすまし防止通信経路上の盗聴防止デジタル証明書は、インターネット上での安全な通信を確保する上で欠かせない要素です。デジタル証明書は、Webサイトの正当性を証明し、通信経路上でのデータの盗聴や改ざんを防ぐために用いられます。特にオンラインバンキングや電子商取引など、個人情報や機密情報がやりとりされる場合には、その重要性は一層高まります。 デジタル証明書により、サーバーとクライアント間の通信が暗号化され、第三者によるデータの傍受が困難となります。これにより、ユーザーは安心してオンラインサービスを利用できるようになります。また、デジタル証明書は、Webサイトが電子証明書を発行依頼している組織によって運営されていることを利用者に保証する役割も果たします。この信頼性の確保は、フィッシング詐欺などのサイバー攻撃からユーザーを保護する上で不可欠です。データの改ざん防止デジタル証明書は、今日のインターネットが直面しているセキュリティの脅威に対処する上で欠かせないものです。特にデータ改ざん防止の観点からは、その価値は計り知れません。デジタル証明書は、インターネット上でのデータ送信が本来の送信者によってなされ、途中で第三者によって改ざんされていないことを保証するための技術です。これは、公開鍵と秘密鍵という2つのキーを用いる公開鍵暗号技術を基盤としています。デジタル証明書によって、データの送信元の真正性を検証し、送信データが途中で改ざんされていないかを確認できるのです。 この仕組みにより、たとえば、オンラインバンキングや電子商取引など、センシティブな情報がインターネット上でやり取りされる際、ユーザーはその情報が安全に送受信されることを信頼できるようになります。本人確認、なりすまし防止デジタル証明書により、オンラインでの取引や通信を行う際に参加者の身元を確認し、正当な権限を持つユーザーのみがアクセスできるようにすることが可能です。これは、電子メールの送信者が実際に主張する人物であることを確認したり、オンラインバンキングのセッションが実際に銀行とその顧客の間で行われていることを保証するために使用されます。 なりすまし攻撃は、不正アクセスや情報漏洩の要因となっており、個人や企業にとって深刻な脅威となっています。デジタル証明書を使用することで、悪意のある第三者が信頼できるエンティティになりすますことを防止できます。たとえば、SSL/TLS証明書はウェブサイトの身元を確認し、ユーザーがアクセスしているサイトが正規のものであることを保証します。これにより、ユーザーは自分の情報を安全に送信できると信頼できるようになり、フィッシング詐欺や中間者攻撃のリスクを減少させられます。デジタル証明書管理で起こりがちな課題とは ここからはデジタル証明書の管理で起こりがちな以下の4つの課題について、詳しく解説します。デジタル証明書を適切に活用するために、デジタル証明書の管理にあたってどのような課題があるのかを知っておきましょう。 運用・管理の複雑化 証明書の期限切れ 証明書警告の表示運用・管理の複雑化デジタル証明書を運用する際に直面する課題の1つは、そのライフサイクル管理の複雑さです。証明書の発行から更新、監視、そして最終的な廃棄に至るまで、各段階は細心の注意を要し、特に多くの証明書を扱う大規模なシステムでは、その管理作業は一層煩雑になります。 たとえば、証明書が期限切れになるとセキュリティの脆弱性を生じさせるだけでなく、サービスが停止する原因ともなり得ます。このような状況を未然に防ぐためには、証明書の有効期限が近づいていることを自動的にアラートすると共に、更新作業を容易にするシステムの実装が不可欠です。これにより、セキュリティリスクを低減し、サービスの連続性を保証することが可能となりますが、適切な管理ツールやプロセスの欠如は、運用上の大きな課題となっています。証明書の期限切れデジタル証明書の運用における課題に、証明書の期限切れの問題があります。証明書は一定の有効期限があり、その期限を過ぎると証明書は無効化されますが、そのまま利用しているWebサイトやシステムは信頼性を損なうでしょう。一方で、この有効期限の管理は、特に多くの証明書を扱う組織において、非常に煩雑な作業となっています。 多くの組織では、証明書の有効期限を効率的に追跡し、適切な時期に更新するための適切な管理体制が整っていないため、期限切れの証明書が見逃されがちです。このような状況は、デジタル証明書の管理における重要な課題の1つとして認識されており、自動化された更新通知や管理プロセスの改善など、より効率的な解決策の必要性が高まっています。証明書警告の表示デジタル証明書の管理においては、証明書警告メッセージの表示につながるようなミスを起こしがちなことも、課題の1つです。証明書に問題があると、安全であるWebサイトにアクセスした場合であってもブラウザが警告を出すことがあります。これは、サイト訪問者の不安をかき立て、Webサイトの信頼性への損失につながる恐れがあります。 証明書警告の原因には、証明書の期限切れ、ドメイン名のミスマッチ、自己署名証明書の利用、または認証局によって信頼されていない証明書の使用などが挙げられます。これらの問題は、サイトのセキュリティを疑問視される結果を招き、ユーザーのサイト離脱や信頼度低下に直結するため、デジタル証明書の適切な管理と更新が非常に重要です。 これら問題に適切に対応することは、オンラインでのビジネス運営において極めて重要です。ServiceNowはデジタル証明書の安定管理に貢献します デジタル証明書の管理と運営は、その複雑さからしばしば困難を伴います。しかし、たとえばServiceNowのITOM のような適切なソリューションを導入することで、これらの課題を克服し、デジタル証明書を安定的かつ効率的に管理することが可能です。 ServiceNowのITOMは、証明書のライフサイクル全体を監視し、管理するプロセスを強化します。これにより、証明書の更新や失効が一元管理されたリストに整理され、処理が容易になります。また、証明書管理ツールによって自動化されたプロセスは、証明書の追跡、証明書の有効期限切れや期限切れ間近の通知、不明な証明書の特定などを容易にします。 当社、株式会社DTSはServiceNowのパートナーに認定されています。デジタル証明書の安定管理について興味のある方は、まず一度お問い合わせください。

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GX(グリーントランスフォーメーション)の概要と取組事例を解説

GX(グリーントランスフォーメーション)の概要と取組事例を解説

GX(グリーントランスフォーメーション)は2023年のITトレンドワードとして注目されています。 GXの一環であるペーパーレス化やIT機器の省力化はDXを推進する上でも重要なテーマです。そのため、経済産業省をはじめ国を挙げた取り組みが行われています。 この記事では、GXの概要と政府の取り組み、GXに取り組む企業が得られるメリットについて解説します。IT業界の最新動向をキャッチアップしたい方は、最後まで読んでみてください。GXとは GXとは、温室効果ガスを排出する化石燃料を極力使用せず、太陽光発電などのクリーンエネルギーを活用して、社会構造の変革を目指す取り組みです。 特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の調査によると、国内の年間発電量に占める化石燃料の割合は70.2%で、エネルギーの大半を化石燃料に頼っています。化石燃料は消費するときに地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出するため、地球環境に負荷をかけないクリーンエネルギーが注目されています。 従来の環境活動との違いは、単なる環境にやさしい活動の推進ではなく、クリーンエネルギーへの転換自体を経済成長の機会と捉えている点です。GXが求められる背景GXは2020年に日本政府が、カーボンニュートラルを2050年までに達成すると宣言したことをきっかけに注目されるようになりました。 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きして実質ゼロとなる状態です。カーボンニュートラルと似た言葉に脱炭素がありますが、カーボンニュートラルは温室効果ガス全般を指すのに対し、脱炭素は二酸化炭素に焦点を当てた意味合いで用いられます。 2015年のパリ協定において地球温暖化への対策として、世界平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを目標に掲げました。一方で、2020年に文部科学省と気象庁が発表したデータによると、パリ協定の目標が達成できなかった場合、今世紀末までに日本の平均気温は約4.5度上昇するとされています。そのため、国を挙げた取り組みが求められました。GXに向けた政府の取り組み次にGX実現に向けた政府の取り組みを紹介します。GX実現は政府が主導となって進めていく必要があるため、さまざまな取り組みが行われています。それぞれ順番に見ていきましょう。経済産業省によるGXリーグの創立GXリーグとは、GXに向けた取り組みを行い持続可能な成長を目指す企業群と官公庁、大学が一体となって、GX実現のために共同する場です。2022年に経済産業省が「GXリーグ基本構想」を発表したことをきっかけに誕生しました。 GXリーグの目的は、温室効果ガス排出量削減に向けた企業の取り組みが市場に正しく評価される構造を作り出すことです。これによって、企業がリーダーシップを持ってGXに取り組む状態を目指しています。GX関連法の制定2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に基づき、GXに関連する2つの法律が制定されました。 GX推進法では、二酸化炭素排出に価格をつけるカーボンプライシングなど5つの項目について定めています。カーボンプライシングとは、化石燃料の輸入業者に対して化石燃料賦課金の徴収や、二酸化炭素排出量に応じた負担金の徴収、事業者間で二酸化炭素排出量の取引を行えるように定めることです。 GX脱炭素電源法では、国際エネルギー市場の混乱と電気料金の高騰を受けて、太陽光発電などの再生可能エネルギー普及促進について定めています。GX補助金制度の創設GXを推進するために事業者が必要とする経費を、政府が補助する制度を創設しています。 電気自動車などの導入費用を支援するクリーンエネルギー自動車導入促進補助金や、高い断熱性能を持つ窓へリフォームする際の工事費を補助する住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等(先進的窓リノベ事業)などです。 また既存のものづくり補助金にも、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みや製品開発に対して補助金を支給する、グリーン枠が新たに創設されています。GXに企業が取り組むメリットGXに企業が取り組むメリットは、主に次の3点です。 顧客や投資家へのアピールになる 補助金が受けられる エネルギーコストの低減になるそれぞれ詳しく解説します。顧客や投資家へのアピールになる企業がGXを推進すると、顧客や投資家に対するアピールが可能です。環境問題に関心を持ち熱心に取り組んでいる姿勢や、環境負荷が少ない製品開発などを対外的に発表すれば、自社のブランディングに活かせます。 これによって、入社希望者が増えたり、取引先から持たれるイメージが変わったりすることで、金融機関や投資家から資金援助を受けやすくなるでしょう。GX推進やGXリーグへの参加は、企業の環境問題に対するスタンスを示すメリットがあります。補助金が受けられるGXに取り組み、要件を満たせば前章で紹介した補助金が受給できます。補助金の受給により経費の削減が可能です。たとえば、ものづくり補助金のグリーン枠は、温室効果ガスの排出削減に資する取り組みや事業所における毎月の二酸化炭素排出量を把握するなどの要件を満たすと、補助金額を上限に補助対象経費の3分の2が支給されます。 従業員数やエントリー・スタンダード・アドバンスのどの類型から申請するかで異なりますが、補助上限額は最大4,000万円です。GXを推進しながら、賢く補助金を受給すれば経費を圧縮できるメリットがあります。エネルギーコストの低減になるGXに取り組むと、事業の省エネルギー化やクリーンエネルギーの活用が進み、エネルギーコストの削減につながります。特に電気料金の高騰が続く現状において、省エネルギー化は大きなメリットです。太陽光パネルの導入や、空調設備をエネルギー効率の高い新しい機器に買い替えるなどの取り組みでエネルギーコストを削減できます。 2020年に資源エネルギー庁が公表したデータでは、事業用太陽光発電と風力発電に必要なコストは2030年までに少しずつ下がっていくと見込まれています。GXの推進による、コストカット効果も大きなメリットです。国内企業のGX取り組み事例 次に国内企業のGXに関する取り組みを3つ事例形式で紹介します。GXの概要やメリットは理解したけれど、具体的にどのように進めればよいか知りたい方は参考にしてみてください。トヨタ自動車トヨタ自動車は、二酸化炭素削減などの取り組みを長期スパンで取り組む「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しました。この中で、FCV(燃料電池自動車)の販売などを通じ、2050年に新車平均走行時の二酸化炭素排出量を90%削減することや、同年に工場の二酸化炭素排出量ゼロを目指しています。すでにブラジル工場では、風力・バイオマス・水力発電を利用して、2015年から電力は100%再生可能エネルギー利用を達成しています。清水建設清水建設では、GXに関する取り組みとしてZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の普及を目指しています。ZEBとは、建築計画の工夫や技術によってエネルギー消費量を小さくし、太陽光発電などを採用してエネルギー自給を増やすことで、トータルのエネルギー消費量を実質ゼロにした建築物です。清水建設は2025年度に受注する建築物のうち、ZEBが占める割合を50%以上にできるよう取り組みを行っています。ソニーソニーでは、2050年までに環境負荷ゼロを目指す取り組みを「Road to Zero」として打ち出しています。具体的には、2030年までに自社の電力を100%再生可能エネルギー由来のものに切り替えるとしています。また、調達先に対しても再生可能エネルギーを利用するノウハウを伝え、同年までに再生可能エネルギー由来の電力利用100%を目指すよう要請中です。すでにプロジェクトチームを作って調達先企業の工場に立ち入り、省エネ活動の診断と改善点の指摘も行っています。 まとめ今回はGXについて解説しました。GXは2050年までにカーボンニュートラルを目指す日本にとって重要な取り組みです。そのため、「新しい資本主義」において重点投資分野に位置付けられるなど、経済産業省をはじめ政府主導の政策が次々に始まっています。 また、GXは政府だけが取り組むものではなく、企業の取り組みも大切です。中でも産業構造の効率化・省力化に大きく寄与するDXは、GXを進める上で欠かせません。 GXは今後も目が離せない大きなトレンドであるため、引き続き当コラムでも取り上げていきます。

ITトレンド
生成AIで業務を効率化!メリットや活用の具体例を分かりやすく紹介

生成AIで業務を効率化!メリットや活用の具体例を分かりやすく紹介

ChatGPTをはじめとしたさまざまなツールの登場により生成AIへの注目が高まっています。しかし、生成AIとはどのようなものか詳しくはよく知らないという人や、どのように活用すれば便利なのか分からないと感じている人もいるでしょう。 そこでこの記事では、生成AIとは何かを簡単に分かりやすく解説。さらに、生成AIの種類や具体的な活用例、活用のメリットも紹介します。生成AIは、今後ビジネスに欠かせないツールになると考えられており、導入する企業も増えています。ぜひ今のうちに、活用方法を知っておきましょう。生成AIとは生成AIとは、学習データから新たにオリジナルコンテンツを生成できるAIモデルのことを指し、Generative(ジェネレーティブ)AIとも呼ばれます。 従来のAIとの最も大きな違いは、生成AIがオリジナルのデータを作り上げられる点です。従来のAIは、学習した内容をもとにした情報の整理・分類や、大量のデータ分析による未来予測のために活用されていました。 従来のAIは事前に決められた特定のルールに沿って結果を出力しています。これに対して生成AIは、学習元のデータからパターンや関連性を見つけ出して出力を生成するため、まるで人間が作成したようなコンテンツの生成が可能なのです。 インターネットからAIに学習させるためのデータを入手することが可能となったため、生成AIの出力精度は近年急激に高まりました。ビジネスで利用できるレベルの生成物を出力できるようになったことが、生成AIへの注目度が高まっている理由のひとつです。今後さらに生成AIの精度が高まれば、ビジネスに欠かせないツールとなる可能性もあります。生成AIの種類生成AIには複数の種類があります。どのような種類があるのか詳しく解説します。テキスト生成 学習データをもとに文章を生成するAIは、テキスト生成AIと呼ばれます。ChatGPTは、テキスト生成AIの代表例といえるでしょう。テキスト生成AIでは、人間が入力した文章を解析して適切な文章を出力することや、長文の要約が可能です。ビジネス向けのメールや報告書のような文章はもちろん、小説のように創造的な文章も生成できます。 さらに、テキスト生成AIが生成できるのは人間が使う自然言語を用いた文章だけではありません。プログラミング言語を用いたプログラムの作成も可能です。テキストAIを上手に活用すれば、各種書類やメールの作成の効率化が期待できます。画像生成ユーザーが入力したテキストに沿って画像を生成する機能を持ったAIは、画像生成AIと呼ばれます。画像生成AIの代表例には「Stable Diffusion」や「Midjourney」があります。 画像生成AIを使用すると、オリジナルのイラストや写真の生成が可能です。イラストや写真は学習データをもとに生成されますが、既存のデータを切り貼りして画像を作成しているわけではありません。たとえば猫のイラストを生成する場合、これまでに学習した猫の画像から特徴を捉え、学習データの中にはない新しい画像を生成します。多くの画像を短時間で生成できることから、アートやデザイン、ゲーム開発などの分野での活用が期待されています。音声生成音声やテキストを入力し新たな音声を作り上げるAIは、音声生成AIと呼ばれます。ただ文章を機械的に読み上げるだけでなく、人間のように自然なリズムで音声を生成できるのが特徴です。オリジナルの音声を作成するだけでなく、特定の人物の声を学習させれば、それを模倣した音声も作成できます。 音声生成AIは、ナビゲーションシステムや応答システムなど、さまざまな場所で活用されています。自動でのナレーション作成も可能なため、動画編集ソフトの中には音声生成AIを搭載しているものもあります。動画生成ユーザーが入力したテキストから動画を作成するAIは、動画生成AIと呼ばれます。画像生成AIと同様に、動画生成AIもオリジナルの動画を作成可能です。画像生成AIの技術を発展させたもので、将来的には映画のように長い動画の生成も可能になると考えられています。 動画の作成には通常多くの時間と費用がかかるものです。しかし、動画生成AIがあれば短時間で一定のクオリティの動画を作成できます。そのため、広告や教育コンテンツ、ゲーム作成などの分野での活用が期待されています。生成AIの活用例ここまで、生成AIの種類を紹介してきました。次に、それらの生成AIを用いて何が実現できるのか、具体的な用途や活用例を紹介します。文章の作成・要約テキスト生成AIを活用すると、自然な文章の生成や要約が可能です。たとえば、メールの本文を作成するよう指示するとともにメールの内容を入力すれば、適切な文章が生成されます。また、多くの資料を調査しなければならないような場合でも、必要な文書を読み込ませて要約すれば、短時間で全体像を把握できます。 AIによるテキストの生成は、キャッチコピーの作成のように大量のアイデアが必要な場合にも便利です。人間の力で多くのアイデアを出すには時間がかかりますが、生成AIを使えば人間とは比較にならないほど早いスピードで多数の案を出力できます。プログラミングコードの生成テキスト生成AIでは、プログラミングコードの生成も可能です。従来プログラムの構築は、プログラミングの知識がなければできませんでした。しかし生成AIを使えば、プロンプトと呼ばれる指示を入力するだけでプログラムを作成できます。 たとえば、業務に合わせた効率化ツールを作成したい場合、何ができるツールを作りたいかを生成AIに入力するだけでプログラミングコードが生成されます。慣れてくれば、エンジニアでなくても自由に便利なツールを作成できるようになるでしょう。チャットボットによる問い合わせへの自動対応生成AIを活用すると、チャットボットによる問い合わせへの自動対応が可能です。マニュアルを読み込ませておけば、生成AIは問い合わせの内容を解析して適切な回答を返します。設定によっては、詳しい解説を記載したページや申し込みページのリンクも提示できます。 チャットボットによる問い合わせ対応は、カスタマーサポートだけでなく社内サポートにも便利です。相手が人ではなくボットだと思えば、分からないことを気兼ねなく何度でも質問できるため、不明点を放置したことによるトラブルを避けられるでしょう。医療分野における診断支援医療分野における診断支援にも、生成AIが活用されています。AIに内視鏡や胃カメラなどの画像を読み込ませれば、診断のサポートができます。簡単な症例であれば、AIだけで病気を発見できるケースもあるのです。さらに、治療計画案を自動で作成できるのが生成AIの特徴です。検査で見つかった病気だけでなく、病歴や症状も分析したうえで治療案を作成できます。生成AIを活用するメリット ここまで、生成AIの活用例について解説しました。それでは、生成AIの活用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。3つにまとめて紹介します。業務を効率化できる生成AIの活用により、業務の効率化が可能です。特にテキスト生成AIは業務効率化との相性がよく、ビジネス文書や議事録、メールの作成などさまざまなシーンで活用できます。また、生成AIを使ってプログラミングコードを生成すれば、作成したツールによる業務効率の向上も期待できます。生成AIでの業務の時間短縮や自動化によって、従業員は人間にしかできない作業に集中できるのです。また、残業時間やコストの削減にもつながるでしょう。新たなアイデアが得られる生成AIは、新たなアイデアを得るのにも役立ちます。キャッチコピーやマーケティング施策、パッケージのデザインなどを考える際には、多くのアイデアが必要となるでしょう。生成AIを活用すれば、短時間で多数のアイデアを得られるため、考える時間や情報収集にかかる時間を削減できます。目的やターゲット、作りたい印象などを入力すると、より精度の高いものが生成されます。作業者による品質のばらつきを抑えられる作業者による品質のばらつきを抑えられるのも、生成AIを作成するメリットです。人間による作業の場合、どうしても品質にばらつきが生じてしまいます。しかし、生成AIを活用すれば、作業者によらずだれでも一定のクオリティのものを作成可能です。製品やサービスの作成に生成AIを活用すれば、作業者による品質のばらつきが発生しにくく、均一なサービスの提供につながります。これからの業務効率化に生成AIは欠かせない生成AIは、学習したデータとユーザーの入力に基づいて、オリジナルのコンテンツを生成できるAIです。上手に活用すれば、業務の効率化や提供サービスの品質を均一化するのに役立つでしょう。 一方で、生成AIを活用する際には注意しなければならない点もあります。活用のためには適切な指示が重要ですし、出力が必ず正しいとは限りません。また、著作権や責任の所在があいまいになりがちな点にも注意が必要です。 生成AIは、今後ビジネスシーンには欠かせないツールとなるでしょう。この記事を参考に、生成AIの活用について考えてみてください。

ITトレンド
CSMのポイント「オムニチャネル」とは? 企業における最新事例も紹介

CSMのポイント「オムニチャネル」とは? 企業における最新事例も紹介

顧客との接点が多様化する近年、オムニチャネルの果たす役割が注目されています。顧客体験の向上に不可欠とされているからです。ここでは、オムニチャネルとは何か、またServiceNowのCSM(カスタマーサービスマネジメント)を導入し、オムニチャネルの導入に成功した企業の事例を3つ取り上げてご紹介します。オムニチャネルとは 「オムニチャネル」とは、企業が顧客と接する店舗やカタログ、メールマガジン、SNS、ECサイト、スマホアプリなど複数の接点(チャネル)を連携、統合し、どのチャネルでも顧客に最適な購買体験を提供できるようにすることです。 オムニチャネルのオムニ(omni)はラテン語に由来する接頭辞で、「すべての」を意味します。チャネル(channel)は英語でもともと「経路、水路」を指しますが、ビジネスの世界では転じて「販売ルート」を意味するようになりました。 オンラインかオフラインかを問わず、時間や場所に限られることもなく顧客に快適な購買体験を提供することは、顧客満足の向上につながります。営業時間外や店舗がない地域でも販売可能になるという点で、企業にとってのベネフィットも大きいといえるでしょう。マルチチャネルやクロスチャネル、O2Oとの違いオムニチャネルに似ている用語がいくつかありますので、整理しておきましょう。 シングルチャネル マルチチャネル クロスチャネル O2O チャネルが1つの場合は、シングルチャネルです。マルチチャネルとは、顧客とのチャネルが複数存在するものの、互いに連携していない状態を指します。クロスチャネルとは、マルチチャネルを連携させることを意味します。 たとえば、店舗とECサイトがそれぞれに販売活動をする場合は、マルチチャネルです。店舗とECサイトに加えてSNSを開始し、店舗とECサイトの顧客情報を照合、メールマガジンやSNSでキャンペーン告知やクーポン配布をする例は、クロスチャネルといえます。O2O(オーツーオー)は、Online to Offline(オンライントゥーオフライン)の略で、ECサイトやSNS、スマホアプリなどオンラインのチャネルから店舗などオフラインのチャネルへと顧客を誘導する手法です。いずれもオムニチャネルを構成する要素で、テクノロジーとともに発展してきたといえます。オムニチャネルを採用するメリット顧客との接点であるチャネル同士をより緊密に連携させ、統合的に使えるようにするメリットは、主に以下の3点だといえるでしょう。 顧客体験の向上 機会損失の削減 顧客データの統合 顧客が時間や場所を気にすることなく、店舗やPCで見た商品をスマホで購入できるといった購買体験は、顧客体験を向上させます。 近年では、店舗で見た商品をECサイトと比較した上で選ぶ「ショールーミング」や、その逆の「ウェブルーミング」という購買行動が、企業の課題とされています。店舗でクーポンコードを配布したり、アプリで来店特典を付与したり、ポイントを共通化するなどの対策が、オムニチャネルでは可能です。 そのためには、顧客データを一元管理できるCRMシステムの導入が欠かせません。ひとりの顧客を1ID(ワンアイディ)で管理し、どのチャネルでの購買履歴もわかるようインフラを整えておけば、データ分析に基づきタイムリーな提案もできます。オムニチャネル採用でCSMを実現した最新事例3選 ServiceNowのCSMを導入してオムニチャネル採用を実現した最新の成功事例を3例ご紹介しましょう。セブン-イレブン(米国)|顧客が求めるサービスを求める方法でアメリカのコンビニエンスストア大手、セブン-イレブン社では、ブランドイメージや商品に対する顧客ロイヤリティを維持するため、顧客が好むチャネルで顧客が求めるサービスを迅速に提供することが不可欠だと考えています。 顧客に提供する数々のサービスの中でも、必要なサポートを確実に届けることを同社は目指しました。具体的には、顧客が初回対応に満足し再度問い合わせなくても済むようにする初回解決率の向上です。 課題となっていたのは、顧客からのサポートのリクエストが、アンケートなどフィードバックの情報と一緒になっていたことでした。切り分けのため新設されたカスタマーヘルプデスク用に導入されたのが、ServiceNowのCSMです。 顧客とフランチャイズ店ともに、サポートの依頼や問題の報告を受け付けるプラットフォームが一元化されただけでなく、依頼を受けると同時にシステムが自動的にケースを作成、AIによって優先順位付けされた上で対応オペレーターを自動的にアサインするようになりました。 1日130件にものぼるケースに迅速に対応していることに加えて、CSMのオムニチャネル機能で、顧客は好みのチャネルからサポートを受けています。シーメンスヘルスケア|必要なデータを素早く顧客に提供ドイツのシーメンスヘルスケア社は、CTなど医療用の撮影検査機器を製造するメーカーです。顧客は世界中にいます。ヘルスケアのデジタル化に伴って、同社ではオンライン上での顧客からのデータ接続性がもっとも重要だと考えるようになりました。 可能な場合はリモートによるサポートを提供し、対面サポートを減らす目的で2000年代に設立されたリモートサービスセンターは、大成功を収めていました。その一方で、毎月12万件という膨大なサービスリクエストに対応しなければなりません。 そこで同社は、12万件中の1件1件をそれぞれ1分ずつ短縮できれば、大幅なリソースの節約になると考えました。必要なとき必要な情報に従業員の誰もがアクセスできるよう、部品の在庫状況や仕様書、サービス履歴、契約内容などの多様な情報を1つのプラットフォームに集約する必要があったのです。そこで選ばれたのが、顧客のさまざまなタッチポイントにオムニチャネル機能で対応できるServiceNowのCSMでした。 導入によって顧客へのスピーディな対応を実現しただけではなく、ある地域で見つかった不具合を全世界で一斉に修正するなどの対応も可能にします。同社が目指しているのは、オンライン対応の品質の高さで世界に認識される企業になることです。スワロフスキー|店舗とデジタルのハイブリッドな小売を実現1895年にオーストリアで創業したスワロフスキー社は、高級なクリスタルのジュエリーやアクセサリー、時計などを製造販売するグローバルな企業です。美しいクリスタルのハイブランドとして広く知られています。 新型コロナウイルスの影響により、世界各国にある約3,000店舗の休業を余儀なくされた同社は、顧客が店頭で実際に商品を見て身につけて購入を決めるという伝統的な販売スタイルを維持できなくなりました。そこで同社は、オンラインへの移行を決断します。 課題は、どのように収益を上げるかではなく、店頭と同じような顧客サービスをオンラインでどのように実現するかでした。このときすでにServiceNowと協力してグローバルなデジタルプラットフォームを導入していたため、デジタルチャネル全体で一貫したブランドイメージを保持する応対品質の提供に成功します。 CSMを導入してからは、電話やメール、チャットなど、顧客がどのような方法で連絡しても1つの業務起点で対応可能となり、50%以上も顧客サービスの作業負担を軽減しました。同社は今後、バーチャルツアーや新作コレクションのプレビューを予定しています。オムニチャネルを活用してCSM向上につなげようオムニチャネルとは、リアルとネットを融合させた顧客へのおもてなしを実現させる手段だといえるでしょう。顧客とのタッチポイントが増えた今、CSMの向上にはオムニチャネル対応が不可欠です。ServiceNowのパートナーである株式会社DTSが、豊富な経験で適切な導入をサポートします。

ITトレンド
CX(カスタマーエクスペリエンス)の意味:ServiceNow/CSMにも注目

CX(カスタマーエクスペリエンス)の意味:ServiceNow/CSMにも注目

市場競争の激化する現代において、自社の商品やサービスを顧客にできるだけ長く選び続けて欲しいと思うのは、どの企業も同じでしょう。そこで鍵となるのが「CX(カスタマーエクスペリエンス)」です。今回はCXの意味やCXの向上で得られるメリットを解説。さらに、多様な業務やシステムをひとつの共通プラットフォームにまとめ、自動で運用·管理できるクラウドサービス「ServiceNow」の「CSM(カスタマーサービスマネージメント)」を紹介します。CX(カスタマーエクスペリエンス)とはCXはCustomer Experienceの略で「ある商品やサービスの利用における顧客視点での体験」を意味します。提供する企業側ではなく顧客視点からの体験を指し「顧客体験/顧客体験価値」と表すこともあります。現代の消費者は、優れたCXを提供する企業やブランドを選ぶ傾向があります。また、BtoCはもちろん、BtoBにおいてもCXは非常に重要です。CXの意味/用語解説CXの指す「体験」は購入時に限定せず、購入前の過程や使用中、アフターフォローなどの長期的なプロセス全体を対象としています。また、顧客が企業やブランドに対して感じる満足度や印象、感情といった心理的な価値も含めます。その中で、デジタル技術を介するCXは「DCX(デジタルカスタマーエクスペリエンス)」といい、WEB サイト、ソーシャルメディア、オンライン広告などが含まれます。なぜCXが重要なのか現代の消費者は、WEBサイトやSNSから手軽に好みの情報を得られるため、多数の選択肢を比較検討した上で購入を決める傾向があります。商品のみで差別化することが難しい状況では、顧客に対して購入前から魅力的な体験を提供することが重要です。また、ある調査では消費者の32%が「たった1度不快な体験をするだけでブランドから離れる」と回答しており、CXの向上は切実な課題といえます。他の用語との比較顧客満足度(CS)との違い「顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)は顧客の商品・サービスに対する満足度を数値化した指標で、評価や分析に役立てられます。CXが「顧客の総合的な体験」を指すのに対し、CSは「商品·サービスへの満足度」を評価する点で異なります。 カスタマーサクセス(CS)との違い「カスタマーサクセス(CS:Customer Success)」は、文字通り「顧客の成功」を支援する取り組みを意味します。具体的にはコンサルティングやトレーニング、技術的なサポートなどを通じて、顧客が自身の目標を達成し、ビジネス上の成果を最大化することを目指します。 ユーザーエクスペリエンス(UX)との違い「ユーザーエクスペリエンス(UX:User Experience)」は、商品やサービスの購入前・使用時・購入後などに起こる個々の体験を意味します。CXはそれらを包括しているといえます。また、CXは既存の利用者だけでなく、利用前の潜在的な顧客も対象ですが、UXは既に商品やサービスを利用しているユーザーの体験に焦点をあてています。CXを高めるメリットCXの向上は、企業に多くの利益をもたらします。ここでは、CXを高めることにより期待できる主なメリットを説明します。顧客ロイヤルティの向上「顧客ロイヤルティ」とは、商品やサービス、ブランドに対する顧客の信頼や愛着、優先的な選択傾向を意味します。優良なCXを提供することで顧客ロイヤルティが高まると、リピート率や購入単価の伸長、ポジティブな口コミの促進などによる売上の拡大を期待できます。また、リピーターやロイヤルカスタマーを育成するという意味で、長期的なビジネスの収益成長に寄与するともいえます。ブランドイメージの向上商品・サービスの購入前後の体験に高い価値を感じた顧客は、ブランドのファンになる可能性があります。ファンになった顧客は同じブランドの商品をリピート購入する傾向があるほか、アップセルやクロスセルの成功率も高まります。そして、ブランドの市場価値が高まると競合他社との差別化を図りやすくなり、価格競争の回避や新規顧客の獲得にもつながります。既存顧客の口コミによる宣伝効果CXの向上により顧客ロイヤルティやブランドイメージが高まると、SNSなどで肯定的な口コミが広がりやすくなります。良い体験により高い満足感を得た顧客は、商品やサービスの評価だけでなく、自らの体験に基づく好意的な印象とともに情報を発信することも少なくありません。高評価の口コミは認知度の向上だけでなく、新規顧客の獲得にもつながります。競合他社との差別化·競争力の強化CXの向上は、競合他社との差別化を可能にします。商品・サービスの品質や機能的な面で差異が少ないとしても、満足度の高いCXが提供されている場合、顧客は競合他社への乗り換えを避ける傾向があります。新規顧客の獲得は既存顧客の維持に比べて難しく、コストを要します。CX向上に取り組むことは企業の競争力の強化に貢献し、長期的な成長にもつながるでしょう。CX向上の3つのポイント/ServiceNowのCSMここでは、CX向上のための3つのポイントをServiceNowのCSM(カスタマーサービスマネジメント)の機能とともに説明します。ServiceNowのCSMは、顧客対応や品質管理などCXを向上させるために有効なツールを幅広く提供しています。顧客分析CX向上には顧客分析が不可欠です。顧客満足度調査やインタビュー、モニタリングなどにより顧客の意見やニーズの把握を徹底しましょう。商品やサービスの改善点を特定するとともに、CX向上のための施策の基盤となります。ServiceNowのCSMは、高度な顧客分析を可能にする機能を提供しています。顧客の情報を一元管理できるほか、分析機能を活用して顧客の好みや行動パターンを把握することで、パーソナライズされた解像度の高いサービスを提供できます。細やかにカスタマイズされたサービスは、顧客との関係を深めることにもつながるでしょう。オムニチャネル化オムニチャネル(Omnichannel)とは、顧客が複数のチャネルを切り替えても一貫した情報やサービスを得られる販売戦略です。オンライン・オフラインを問わず企業と顧客の接点をシームレスにつなぐことで心地よい購入を可能にし、CXの向上に貢献します。オムニチャネル戦略の展開には適切なチャネルの選択・統合などが必要ですが、ServiceNowのCSMの導入によりスムーズに実現できます。CSMは複数のチャネルからの情報を統合し、顧客に一貫性のあるサポートを提供するとともに、企業側も顧客情報を一元管理し、活用できるようになります。オペレーションの改善CX向上のためには、企業内のオペレーション改善も重要です。すばやく正確なサービスを提供するには、使いやすいシステムや合理的な業務プロセス、また従業員のトレーニングも欠かせません。ServiceNowのCSMは顧客の情報や履歴などを一元化できます。過去の問い合わせやフィードバック、行動パターンなどを把握し複数の部門で共有できるため、顧客に対して迅速で適切なサービスを提供できます。ServiceNowのCSMが注目されている理由目まぐるしい変化のなかでCX向上に取り組もうとしても、従来のカスタマーサービスで十分な対応を行うことは、現実的に難しいのではないでしょうか。ServiceNowのCSMはCXを向上させるさまざまな機能が網羅されており、多くの企業において重要な役割を果たしています。単一のプラットフォームに統合される情報は、部門を越えた共有や連携を可能にします。オペレーションの簡素化に役立つ機能や、セルフサービスのオプションも充実しています。これらにより、CXの向上と業務効率化を同時に実現できるのです。まとめ優れたCXの提供は、企業の成長と競争力強化のために不可欠です。良質な体験を通して深い満足感を得た顧客は、他の選択肢よりも信頼や愛着を持った企業を選びます。また、既存顧客が自らの体験をもとに口コミを発信することで、認知度やブランドの価値が高まり、新規顧客の獲得にもつながります。CXを取り巻く環境は常に変化しているため、効率的な運用と改善を継続する工夫が重要です。新しいシステムやサービスの導入も柔軟に検討しましょう。 株式会社DTSはServiceNowのパートナーです。ServiceNow専門のプロフェッショナルメンバーが、コンサルティングから戦略立案、導入支援、開発、運用・保守までワンストップでトータルサポート。CSMの導入も確実に支援します。

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期待される市民開発 事例4選から学ぶメリットと課題点

期待される市民開発 事例4選から学ぶメリットと課題点

近年、「市民開発」に取り組む企業が増えています。IT人材不足という課題への対策としてだけではなく、取り組むことそのものによって得られるメリットが大きいことも、市民開発が広まりつつある理由のひとつです。ここでは市民開発とは何かということから、4つの事例と市民開発のメリット・課題についてお伝えします。大企業が取り組み始めている「市民開発」とは 大企業が積極的に取り組み始めている市民開発。まずは、市民開発とは何かについて見ていくことから始めましょう。市民開発とは市民開発とは、ITの専門知識がない従業員によるアプリケーションやシステム開発のことです。通常の場合、アプリケーションやシステムの開発・構築には、コンピューターへの指示となるソースコード(プログラミング言語)を用いる必要があります。 それに対して市民開発では、視覚的にわかりやすくテンプレート化され、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で開発できるノーコードまたはローコードツールを使用します。両者の違いは記述するソースコードの量です。 ソースコードを用いないものをノーコードツール、最小限のソースコードで開発可能なものをローコードツールと呼びます。ノーコードツールのほうが、ソースコードを用いない分、機能は限定される傾向にあります。市民開発が注目される理由市民開発が注目を集めるのには、いくつかの理由があります。  DX(デジタルトランスフォーメーション) IT人材不足 ノーコード/ローコードツールの発展 業務や日常生活でデジタルデバイスに触れるのは、もはや当たり前となっています。ネットワーク上で行われる取引や提供されるサービスも増えてきました。そのような状況で、事業を成功・拡大させるためにデジタル化は不可欠です。 デジタル化へのニーズが高まる一方で、IT人材不足はますます深刻になっています。経済産業省の調査によると、2030年までにIT人材不足は最大で79万人に達する見込みです。このような状況で注目されているのが市民開発で、特に大企業では、ITをベンダー頼みにしているという課題を解決する手法として期待されています。 IT調査・コンサルティングを行うITR社の調査によれば、ノーコード/ローコード開発市場は2019年から2020年に24.3%の伸びを示しました。その後の予測値でも前年度比20%以上で拡大していくと推測され、2023年には1000億円規模になると見込まれています。 また、ガートナージャパン社の調査では、エンドユーザーによって開発した(市民開発された)アプリケーションがあるとの回答は62%に上りました。また2024年までに開発されるアプリケーションの65%以上がノーコード/ローコード開発によると予測しています。市民開発の企業事例4選日本での市民開発の導入事例も増えつつあります。その中から4社の事例を紹介しましょう。ニトリニトリは、家具やインテリアの業界大手で、商品企画から製造、物流、販売までを一貫して手がけることで知られています。社内には商品に限らずITも自社で担うという社風があるものの、営業支援システム(SFA)については定着率の低さが課題でした。 そこで、社内システムのクラウド化と同時にローコードツールを使って簡単なアプリケーションの開発に挑戦し始めます。Excelで管理していたリフォームの進捗管理をスマートフォンから手軽に入力できるアプリケーションへと刷新したところ、PCを使うことなく入力できることが評判となりました。そこから内製化プロジェクトを立ち上げ、併用期間を経てSFAの置き換えを実現しました。森田鉄工所森田鉄工所は、水道用バルブの製造販売および施工をする従業員約160名の中小企業です。100年超の歴史がありますが、国内8拠点の連携強化のため、ペーパーレス化や業務効率化、全社での情報共有などを課題としていました。 特筆すべきは、システム開発未経験の女性社員2名が、営業事務の仕事をしながらローコードツールで開発を進めたという点です。受注や契約情報の一元管理を実現し、製品の種類や細かな仕様、納期、納品場所、施工の有無などを担当者がリアルタイムで入力すれば、誰でも必要なときに参照が可能となり、管理や連絡に費やす手間を大幅に削減しました。ヤマト運輸ヤマト運輸は業界トップクラスの取扱量を誇る、宅配便の大手企業です。年々増加する集配業務に、限られた拠点とトラック、セールスドライバーで対応しなければならないことが課題でした。勘や経験値ではなく、データに基づく効率的な業務遂行が求められていました。 そこで、既に導入していたシステムをリアルタイムで情報共有できるようにカスタマイズしました。データ分析担当者や問い合わせの受付者、案件を引きついだ担当者など、複数の担当者が各々の情報や知見を持ち寄り、常に全員が最新情報を確認できるようになったことで連携が強化されました。 システムがノーコード/ローコード開発に対応しているため、きめ細やかなカスタマイズが可能となり、よりスピーディーな対応を実現するため、今後も改良を重ねていくとしています。神戸市兵庫県神戸市は、コロナ禍による最初の緊急事態宣言が発出された後、1日約1000件もの問い合わせ対応に追われていました。簡易的な対応が6~7割を占める状況で、本当に保健師などが対応する必要のあるものを精査しなければなりませんでした。 そこで、職員によるWEBアプリケーションのローコード開発に着手します。約1か月半後には、新型コロナの健康相談チャットボットをリリースしました。その後も次々とニーズに応じたサービスを約1週間という期間で素早く開発することに成功しました。市民開発のメリットと課題点 最後に市民開発のメリットと課題点を確認しておきましょう。市民開発のメリット ITの専門知識がなくても開発できる 開発コスト・外注費用の圧縮 デジタルの民主化 事例で触れたように、ITやプログラミングについての専門知識がなくても、ノーコード/ローコードツールを用いて業務に必要なアプリケーションやシステムを自社で開発できるのは大きな魅力です。 開発や運用管理のコストを圧縮するだけではなく、社内の人材活用・戦力アップという側面も見逃せません。ITは専門家に任せきりで、デジタルについては門外漢というスタンスの従業員を積極的に巻き込むことで、DX推進やデジタルの民主化にも役立つでしょう。市民開発における課題 全システムとの連携やIT部門との役割分担 セキュリティ対応 ブラックボックス化、属人化 ITリソース不足を補う有効な手段である一方で、専門知識がない点に対して懸念があるのも事実です。市民開発されたアプリケーションやシステムが乱立して、全社的な統制が取れなくなってはいけません。 問い合わせ対応など、市民開発者とIT部門との役割分担や開発時の申請・承認フローなどを明確にしておきましょう。開発されたアプリケーションなどがセキュリティ面で問題ないか、ほかの誰も対応できずブラックボックス化・属人化してないかを確認することも大切です。市民開発の環境を整え、デジタル戦力の強化を市民開発は、専門外の従業員がノーコード/ローコードツールを用いてアプリケーションやシステムを開発する手法です。IT人材不足という目下の課題に対し、社内の人材活用やデジタル戦力アップを通じて、企業にとってポジティブな結果をもたらす可能性が高いといえます。開発部門周辺の人材確保に不安を抱える企業は、市民開発の環境整備を検討してみてはいかがでしょう。

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