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ServiceNow Hackathon Tokyo 25でDTSがブログ賞を獲得

特別賞のひとつ「ブログ賞」がDTS「わく縁」チームの手に!ServiceNow Japanが主催する開発者コミュニティ向けイベント「ServiceNow Japan Hackathon 2025」の予選結果が、9月18日に発表されました。全国から28チーム・175名の開発者が参加する中、DTSの新人エンジニアを中心とした「わく縁」チームが、特別賞のひとつである「ブログ賞」を受賞しました。 本イベントでは、AIエージェントを活用した革新的なアプリケーションの提案が競われました。「わく縁」チームは、会議のトランスクリプトをもとに要約・グラフィック化を行い、宿題のタスク管理まで支援するAIエージェントを提案。惜しくも決勝進出は逃しましたが、厳しい審査の中で特別賞に選ばれたことは大変名誉なことであり、初のHackathon受賞としてDTSにとって大きな一歩となりました。 この成果は、若手エンジニアの創意工夫と挑戦の姿勢が実を結んだものであり、今後のHackathon挑戦者への励みとなることが期待されます。ServiceNow Japan Hackathon 2025とは?「ハッカソン」とは、ハック(hack)とマラソン(marathon)を掛け合わせた造語で、エンジニアが限られた時間の中でアプリケーションのアイデアを考案し、プロトタイプを開発、プレゼンテーションを通じて競い合うコンテストイベントです。 ServiceNow Japanでは2018年からこのイベントを開催しており、2025年で7回目の開催となりました。今年度のテーマは「Where the world puts AI to work(AIエージェントをあなたのパートナーに)」。全国から集まった28チーム・175名の参加者が、ServiceNowのAIプラットフォームを活用し、AIエージェントをパートナーとして業務や社会課題の解決に挑戦しました。 DTSのHackathon 2025挑戦については、以下のブログをご覧ください。 【イベントレポート】 DTS若手エンジニアがHackathon 25でAIエージェントを利用したアプリケーション作成に挑戦 【チームメンバーによるコメント】■メンバー:三澤今回、私たちのチームはほとんどが新人で構成されており、初めてServiceNowのハッカソンに参加しました。発表形式も分からず、当日は終始緊張した雰囲気の中で臨みました。決勝進出チームや各賞の発表が進むにつれ、私たちのチーム名が呼ばれることはなく、正直なところ「今回は難しかったかな」と半ばあきらめかけていました。そんな中、最後の最後で「ブログ賞」として私たちのチームが呼ばれた瞬間は、驚きと喜びが入り混じった、忘れられない瞬間となりました。この賞は、単なる開発力だけでなく、社内の多くの方々の協力があってこそいただけたものです。だからこそ、チームだけでなく会社全体の力で勝ち取った賞だと感じており、本当に嬉しく思っています。ブログ賞の受賞を通じて、これまで積み重ねてきた努力が形となり、私たちの取り組みや魅力を多くの方に知っていただける機会になったことを心から嬉しく思います。今後もこの経験を糧に、さらに成長していきたいと思います。ServiceNow World Forum Tokyo 2025にもDTSが参加!DTSは、10月22日・23日に開催される「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」にも2日間参加します。EXPO(展示エリア)では、最新の業務改革ソリューションをご紹介するほか、ServiceNowの難関資格CTAを保持する島貫航二による講演も予定されています。 【ServiceNowの価値を最大限に引き出す!DTSマネージドサービスで実現するAI活用×IT運用】開催日時:2025年10月23日(木)12:10~12:30会場:Expo会場内 Mini Theater登壇者:島貫航二(株式会社DTS テクノロジー&ソリューションセグメント デジタルソリューション事業本部デジタルビジネス事業部 ServiceNow 推進担当 シニアスペシャリスト)講演概要:ServiceNow導入後の「使いこなせない」を解決しませんか?本セッションでは、AIを活用した運用保守と内製化支援を両立する「DTSマネージドサービス」をご紹介。運用負荷や人材不足を解消し、IT部門が戦略的業務に集中できる体制づくりのポイントを解説します。  また、World Forum TokyoのCreatorConブースでは、Hackathon 2025予選の動画・資料も公開予定です。DTSのブースでは、Hackathon参加メンバーがご案内いたしますので、ぜひお立ち寄りください!終わりに今回のHackathon参加および特別賞の受賞を通じて、DTSの若手エンジニアは、ServiceNowやAIを活用した開発において大きな気づきと学びを得ることができました。この新たなエネルギーが、経験豊富なベテランエンジニアの知見と相まって、お客様のDX推進をさらに力強く支援する原動力になると確信しています。ServiceNowの導入や伴走支援にご興味のある方は、ぜひDTSまでお気軽にお問い合わせください。

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生成AIで顧客体験を劇的に変える! ServiceNowが描く未来のカスタマーサービス

デジタル化が進む現代、顧客が企業に求める体験レベルはかつてないほど高まっています。しかし、多くの企業がエージェントの非効率性や不完全なセルフサービスといった課題に直面し、顧客ロイヤルティの低下を招いています。 本記事では、これらの問題を解決し、顧客と企業双方に価値をもたらす、ServiceNowが描く未来のカスタマーサービスについて解説します。ServiceNowが提案する顧客体験の理想形ServiceNowが描く理想の顧客体験は、単なる問題解決にとどまらず、より包括的でシームレスな体験の提供です。 その実現のために、ServiceNowはデジタル変革を支える三つの柱を掲げ「AI」「ライブエージェント」、そして「ワークフロー」をシームレスに結びつけることで、顧客と企業双方に真の価値をもたらすことを目指しています。デジタル変革の理想ServiceNowが目指すデジタル変革の理想は、一つの要素で語れるものではありません。三つの重要な柱によって実現します。 一つ目の柱は、「比類なき顧客体験」の提供です。顧客がストレスなく迅速に、そして一人ひとりのニーズをセルフサービスで解決できる環境を築き上げます。 これこそが、顧客満足度とロイヤルティを飛躍的に向上させる鍵となります。 二つ目は、「エージェントの飛躍的な生産性向上」です。生成AIの力を借りることで、エージェントは複数のツールを行き来する煩雑な作業から解放され、単一の統合されたプラットフォーム上で効率的に業務を遂行できるようになります。 これによって、より多くの顧客に、より質の高いサービスを提供することが可能になります。 そして三つ目は、「大幅なコスト削減」です。ワークフローの自動化とAIによるタスクの効率化は、人件費や運用コストを大幅に抑えます。 さらに、問題解決までの時間が短縮されることで、顧客からの問い合わせ件数自体が減り、結果としてコスト削減に貢献します。 これら三つの目標を同時に実現することで、企業は確固たる競争優位性を築き、持続的な成長を達成できるのです。AI、ライブエージェント、ワークフローの融合ServiceNowのプラットフォームは、生成AI、ライブエージェント、そしてワークフローを完璧に融合させることで、これまでにないシームレスな顧客サービスを実現します。 まず、顧客はあらゆるニーズをセルフサービスで解決できるようになります。生成AIを活用したバーチャルエージェントは、複雑な質問にも的確に回答し、顧客が自力で問題を解決できる強力なサポートを提供。 ライブエージェントへの問い合わせ件数を削減し、担当者はより複雑な問題に集中できる環境を整えます。 次に、カスタマーエージェントはAIの力を借りて、たった一つのツールで業務を遂行します。AIが顧客の問い合わせ内容を自動で要約し、関連する情報を提示することで、エージェントは迅速かつ正確な対応が可能に。 これにより、担当者の作業効率は劇的に向上し、顧客への対応時間も短縮されます。 そして、ミドル・バックオフィスはタスクの自動化とオーケストレーションによって解決までの時間を短縮。顧客の問題解決には、営業や経理など複数の部門が連携する必要がある場合が多いのですが、この部門間の連携をAIが自動で調整し、タスクの割り当てや進捗管理を効率化します。 このように、ServiceNowのアプローチは、部門やツールの垣根を越えてスムーズなワークフローを実現し、より迅速でパーソナライズされた体験を提供することで、顧客ロイヤルティの向上と大幅なコスト削減を同時に叶えてくれるのです。ServiceNowの生成AIが顧客体験をどう変えるか デジタル化の進展に伴い、企業は顧客体験を継続的に向上させる必要に迫られています。ServiceNowは、この変革の中心に生成AIを据え、顧客と企業双方に革命的な価値をもたらしています。 ServiceNowが提供する生成AIソリューションは、単なる自動化ツールを超え、顧客とのエンゲージメントのあり方を根本から変えることを目指しています。 それは、AIが顧客の意図を深く理解し、先回りして最適な情報やサービスを提示することで、顧客が求める解決策に迅速にたどり着けるようにすることです。 また、企業側にとっては、これまで手動で行っていた多くの業務をAIが代行することで、リソースをより戦略的な活動に集中させることが可能になります。 この変革は、顧客が企業に対して抱く期待値を満たすだけでなく、それを上回る体験を提供することで、強固な顧客ロイヤルティを築き上げ、持続的な成長を実現する鍵となるのです。 ServiceNowの生成AIは、従来のサービスモデルを打破し、企業と顧客の関係をより強固なものとします。Now AssistとAIエージェントServiceNowの生成AIは、より高度な顧客体験を目指して日々進化しており、Now Assistはその第一段階、AIエージェントはその次のステップに位置づけられる技術です。 Now Assistは、担当者や顧客の生産性を高めるためのアシスタント機能に特化している一方、AIエージェントは自律的な業務遂行能力を備えている点が大きな違いです。 ここでは、Now AssistとAIエージェントの機能・特長について解説します。カスタマーサービス管理 (CSM) におけるNow AssistServiceNowの生成AIソリューション「Now Assist」は、特にカスタマーサービス管理(CSM)の領域で大きな変革をもたらしています。その中心的な価値は、「スマートなセルフサービスの実現」です。 顧客はバーチャルエージェントと対話することで、自分の問題を迅速かつ正確に解決できるようになり、従来のサポートチケット発行や電話での問い合わせといった煩雑なプロセスを回避できます。 これにより、顧客満足度が向上し、企業のサポートコストも削減。そしてカスタマーサービス担当者の生産性向上にも貢献します。 AIが顧客とのやり取りをリアルタイムで要約し、担当者に次のアクションを推奨するため、担当者はより効率的に顧客対応を進められます。 実際に、顧客対応要約の記述に要する時間を55%削減したという実績もあり、プロセスの自動化と最適化も進められます。 AIは手動でのデータ入力や承認プロセスを自動化し、業務フロー全体を効率化。入札手続きに要する時間を99%も削減した事例もあり、ビジネスのスピードを劇的に向上させます。 これらの機能により、企業は価値実現までの時間を大幅に短縮し、迅速な導入とROIの早期獲得を達成します。AIエージェントの機能続いてAIエージェントについてです。ServiceNowのAIエージェントは、従来のチャットボットとは一線を画す、高度な機能を備えています。 その第一の特長は、「自律的な業務遂行」です。AIエージェントは、単純な対話だけでなく、複雑な業務プロセスやタスクを自律的に実行できます。これにより、顧客の問い合わせから問題解決までの一連のプロセスを、スムーズかつ自動的に完結させることが可能になります。 第二に、「生産性向上」の貢献です。AIは、データの検索、要約、レコメンドなど、人間が時間と労力を費やしていた作業を高速で実行。これにより、エージェントはより複雑で戦略的な業務、例えば顧客との関係構築や特別な課題への対応に集中できるようになります。 第三に、「常に人間のコントロール下に」置かれていることです。AIの自律性と共に、人間がいつでも状況を把握し、必要に応じて介入できる体制を確保しています。 そして、ServiceNowの生成AIは、ServiceNowプラットフォームに標準で搭載。外部ツールを接続する手間なく、導入から運用までを容易に行うことができます。 AIエージェントが実行できるアクションは多岐に渡り、検索、要約、生成、推奨、そして実行の5つに分類され、これらのアクションを組み合わせることで、顧客体験のあらゆる側面を改善します。AIエージェントの価値創出ServiceNowのAIエージェントは、既に幅広い分野で数億ドル規模の価値を生み出しているという確かな実績があります。 その価値は、ServiceNowプラットフォーム全体の多様な領域(IT、CRM、人事、アプリ開発、財務・サプライチェーン管理など)で具体的に示されています。 たとえば、AIエージェントはITサポート依頼の76%を自動で対応し、IT部門の負担を大幅に軽減。また、カスタマーサポートの問い合わせ対応の72%を自動化することで、エージェントがより複雑な案件に集中できる環境を整えました。 人事部門では、AIを活用することで300万時間もの対応時間を削減し、従業員エンゲージメントの向上に貢献。さらに、開発者の生産性は20%向上し、新しいアプリケーションや機能の開発が加速。 受注管理においても、AIエージェントの活用により生産性が25%向上し、ビジネスプロセスの効率化が実現しました。 これらの驚異的な数値は、ServiceNowのAIエージェントが単なる理論上のツールではなく、現実のビジネスにおいて確実なROIをもたらす実用的なソリューションであることを証明しています。まとめ ServiceNowの生成AI(Now Assist、AIエージェント)は、顧客体験における従来の課題を解決し、企業に競争優位性をもたらす強力なツールです。 顧客、担当者、ITリーダー、そして企業全体に、顧客満足度の向上、生産性向上、コスト削減といった具体的なメリットをもたらします。 AIを活用した顧客体験の自動化と最適化は、これからのビジネス成長に不可欠な要素であり、ServiceNowは、この変革の最前線で、企業が未来のカスタマーサービスを構築するための基盤を提供します。 本記事でご紹介したServiceNowの生成AIにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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ServiceNowが拓く、AIワークフローの新時代

近年、AI技術は目覚ましい進化を遂げ、ビジネス環境に革命的な変化をもたらしています。 特にServiceNowにおいては、従来のスクリプト型ワークフローから予測型、会話型へと進化し、2024年には生成AI(Generative AI)を搭載した「Now Assist」が登場しました。 さらに2025年には、Agentic AI(自律型AI)である「AI Agents」が加わり、AIが人の代わりに業務を実行する「Agentic Workflow」が実現されつつあります。 本記事ではAIの進化の過程と、ServiceNowが実現する、AIを用いたワークフローの今後の展望について解説します。生成AI(Generative AI)とは?従来のAIとの違い生成AIは、従来のAIとは一線を画す、新たなコンテンツ創造能力を持つAIです。本章では、従来のAIと生成AIの違いや、仕組みについて詳しく解説します。従来のAIの役割従来のAIは、過去の膨大なデータを学習し、そのデータパターンに基づいて適切な解答を推論することを主な役割としていました。例えば、既存のデータから最適な選択肢を導き出したり、予測を行ったりする能力に長けています。生成AIの登場これに対し、生成AIは過去のデータを基盤としつつも、人間のように「0から1」を創造する能力を持っています。これにより、テキスト、画像、音声、動画など、これまでにない新しいコンテンツを自律的に生成することが可能になりました。AI技術の進化における生成AIの位置づけAI技術の進化において、生成AIは「機械学習(Machine Learning)」や「深層学習(Deep Learning)」のさらに上位に位置付けられます。深層学習が複雑なパターン認識を可能にした一方で、生成AIはその能力を応用し、より高度な創造性を実現する技術として注目されています。生成AIの基本的な仕組み生成AIの基本的な仕組みは、主に以下の要素で構成されます。  ユーザー(User):AIに何かを依頼する人間を指す。 プロンプト(Prompt):ユーザーがAIに対して指示や質問を与えるテキストのことです。生成AIは、このプロンプトの内容を解釈し、何を生成すべきかを理解。 データ(Data):AIが学習した膨大な情報のこと。このデータからAIは知識を記憶し、知識化する。 モデル(Model):学習されたデータを基に、プロンプトに応じて新たなコンテンツを生成するAIの中核となる部分。 生成されるデータ:モデルによって生成されるアウトプットで、テキスト、画像、音声など、様々な形式が存在。LLM(大規模言語モデル)の解説LLM(Large Language Models)は、大規模な「データ量」「計算量」「パラメータ数」を特徴とする、極めて精度の高い言語に特化したモデルです。 データ量:AIが学習する情報の量。大規模であるほど、より多くの知識とパターンを習得。 計算量:コンピュータが情報を処理する能力。膨大な計算量によって複雑なタスクを実行。 パラメータ数:AIが確率計算を行う際の係数の集合体。この数が豊富であるほど、モデルの表現力と精度が高まる。代表的なLLMには、OpenAIの「ChatGPT(GPT-4oなど)」やGoogleの「Gemini(旧Google Bard、Gemini Nano/Pro/Ultraなど)」があります。ServiceNowの「Now Assist」が実現する生成AI機能群 ServiceNowの「Now Assist」は、ServiceNowプラットフォーム上で利用できる生成AI機能の総称であり、多様なユーザーの生産性向上と業務効率化を支援する機能です。Now AssistとはNow Assistは、ServiceNowプラットフォーム上で利用できる生成AI機能の総称です。これは単一の機能ではなく、ServiceNowの各製品やユーザーの役割に応じて最適化された、多様な生成AIスキル(Now Assist Skill)の集合体として提供されています。 Now Assistは、ServiceNow独自の大規模言語モデルである「Now LLM」を主に使用していますが、開発時にはOpenAIやGoogle Cloud AIなどのサードパーティ製LLMも利用可能です。これにより、お客様の業務領域に合わせた柔軟なAI活用が可能となります。 各役割におけるNow Assistの価値▼サービス担当者(サービスデスク・カスタマーサポート等)向け Now Assistは、サービス担当者の生産性向上と複雑な作業の迅速化をサポートします。具体的な機能としては、以下のようなものがあります。  ケース/インシデント要約:顧客からの問い合わせやインシデントの内容をAIが自動で要約し、エージェントが迅速に状況を把握できるようにし、対応時間を短縮。 チャット要約:顧客とのチャット履歴が長くなった場合でも、担当者が会話のポイントをすぐに把握できるようにAIがその内容を簡潔に要約。 ナレッジ生成:過去の解決事例や対応記録から、FAQやナレッジベースの記事を自動で生成し、ナレッジ作成の手間を削減、情報共有を促進。 解決メモの生成:インシデント解決後に、その対応内容や解決策を自動で記録し、解決メモを作成。 メール返信推奨:顧客からのメールに対して、AIが内容を分析し、適切な返信文案を提案。これにより、エージェントは迅速かつ質の高い返信が可能。 ▼ 開発者・管理者向け 開発者や管理者にとって、Now Assistはアプリケーション開発の簡素化と迅速化をサポートします。具体的な機能としては、以下のようなものがあります。 テキストからのコード生成 : 自然言語で指示するだけで、AIが自動的にプログラミングコードを生成し、開発者のコーディング作業の負担を軽減。 テキストからのアプリ生成:テキストでの指示に基づいて、ServiceNowプラットフォーム上で動作するアプリケーションの骨格を自動生成し、アプリ開発の初期段階の工数を削減。 テキストからのダッシュボード生成:必要な情報や表示形式をテキストで指定するだけで、AIが最適なダッシュボードを自動で作成。 ▼ 従業員・顧客(エンドユーザー)向け 従業員や顧客(エンドユーザー)向けには、セルフサービスによる自己解決の促進とユーザー満足度の向上に貢献します。具体的な機能としては、以下のようなものがあります。  検索の効率化:AI検索機能において、ユーザーがより自然な言葉で検索クエリを入力できるようになり、AIが関連性の高い情報を迅速に提供。 生成AIを活用したVirtual Agent:従来のチャットボットが持つ機能に加え、生成AIの能力を活用することで、より複雑な問い合わせにも自然言語で対応し、高度な自己解決を支援。 スケジュールアシスト:会議やイベントのスケジュール調整において、AIが参加者の空き時間などを考慮し、最適な候補日時を提案。このように、Now AssistはServiceNowプラットフォーム上で、様々なユーザーが生成AIの恩恵を享受できるよう、幅広い機能を提供しています。これにより、企業全体の生産性向上と顧客体験の向上を実現します。 Agentic AI(自律型AI) とServiceNow AI Agentsの展望 Agentic AIは、ServiceNowのワークフローを次のレベルへと進化させ、ビジネスにおけるAI活用をさらに促進させます。 Agentic AIとはAgentic AIは、AIが自律的にタスクを遂行し、人間はそのプロセスを監督するという、新しい業務のあり方を指します。 従来の生成AIが、依頼に対して単に提案や回答を生成するのに対し、Agentic AIは自ら計画を立て、人の代わりに、より複雑なタスクを自律的に実行できるという点で大きく異なるでしょう。 具体的には、ユーザーからのリクエストを受け取ると、AIがWeb検索、データベース検索、APIタスク実行、監視・学習といった多様なステップを自ら実行します。 必要に応じて人間の確認を挟みながら、最終的な目標達成を目指すことができるため、この自律的な実行能力は、ビジネスプロセスの自動化を次のレベルへと引き上げることが可能です。ServiceNow AI Agentsの仕組みと役割ServiceNow AI Agentsは、このAgentic AIの概念をServiceNowプラットフォーム上で実現するものです。 その最大の特徴は、単なる汎用的なAIではなく、企業が持つ独自のデータやワークフロー、ナレッジベース、そして個々のユーザーの業務領域を深く理解する点です。 ServiceNow AI Agentの基本的な仕組みは以下のとおりです。  Requester(リクエスター):AI Agentに依頼を行うユーザーやシステム。 AI Agent Orchestrator(オーケストレーター):AI Agentの中心的な役割を担い、リクエスターからの依頼を受け、実行計画を立て、適切なAI Agentやツール、ワークフローを調整・実行。 AI Agent:特定の業務領域やタスクに特化した自律型AI。例えば、ITSMやCSM、HRSDなど、ServiceNowの各製品領域に特化したAI Agentが存在し、それぞれが専門的な業務知識と実行能力を持つ。 Tools(ツール):AI Agentがタスクを実行するために利用する外部システムやServiceNowプラットフォーム内の機能。これにはWeb検索、API実行、データベースアクセスなどを含む。 Workflows(ワークフロー):ServiceNowプラットフォーム上で定義された既存のワークフロー。AI Agentは、これらのワークフローと連携、自動化されたプロセスをトリガーし、その一部として機能。 Information(情報)/Skills(スキル):ナレッジベース(KB)や構成管理データベース(CMDB)、ユーザー情報など、AI Agentが参照する情報源や、Now Assist Skillなどの生成AI機能群。 ServiceNow AI Agentsは、インシデント解決、顧客サポート、従業員オンボーディングなど、多様な業務プロセスにおいて、人間の介入を最小限に抑えながら、自律的に、迅速かつ正確な業務遂行を可能にします。 企業はこれまでAIでは自動化が困難だった複雑な業務にもServiceNow AI Agentsを取り入れることで、大幅な効率化と生産性向上が期待できます。 まとめAI技術は近年大きく進化を遂げました。また、それはServiceNowにおいても同じことが言えます。 生成AI「Now Assist」による業務支援、そしてAgentic AI「ServiceNow AI Agents」による自律的なタスク実行は、企業のデジタル変革や、競争力を強化するための強力なツールとなります。 ServiceNowは、AIとワークフローの融合を通じて、これからのビジネスにおけるAI活用の重要性を高め、その貢献は今後さらに大きくなっていくでしょう。 ServiceNowのAIワークフロー導入をご検討の際は、ぜひお気軽に株式会社DTSまでご相談ください。            

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ServiceNow CSMで実現するCX改革:顧客サービスの改善方法

ServiceNow CSMで実現するCX改革:顧客サービスの改善方法

CX向上は、多くの企業にとって重要な課題です。顧客ニーズの多様化や競争激化への対応として、デジタルプラットフォームの刷新によるCX向上を検討している企業もいらっしゃることでしょう。 そこで、CX向上に活用できる機能が充実しているServiceNowと、そのプラットフォーム上で稼働する、顧客対応に特化したServiceNow CSMについて紹介します。ServiceNowが提案するCX向上の重要性CX(Customer Experience:顧客体験)とは、顧客が企業やブランドと接触する全てのプロセスで得る体験や印象です。CX向上はリピーター獲得や企業価値向上など多方面で成果をもたらすため、ServiceNowの機能設計でも重視されています。 なぜCXが注目されるのか、そしてServiceNow導入で何が実現できるのか、概要を解説します。顧客行動のオンライン化現代では、多くの分野で顧客行動がオンライン化されています。情報収集や比較検討、商品購入、契約手続き、アフターサポートに至るまで、さまざまな場面でデジタルの活用が欠かせません。 オンラインでは直接的な対話が少ない分、対応スピードや情報の一貫性がCXに直結します。対応が遅れたり矛盾が生じたりすると、顧客の信頼を損なうリスクが高まっているのです。 ServiceNowは、デジタルワークフローで対応を迅速化し、多様な顧客ニーズにスムーズに応える基盤を提供します。また、顧客データを一元管理し、全てのチャネルで一貫性のある対応を提供します。顧客満足度の向上がブランド価値を高める顧客満足度を向上させることで、ブランドへの信頼と好意が高まり、ロイヤル顧客が増えます。ロイヤル顧客は、顧客単価の高いリピーターであるだけなく、口コミやレビューなどを通じてブランド価値を広める傾向があるため、新規顧客の獲得にも寄与します。 ロイヤル顧客を増やすには、購入時だけでなく、購入手続きやアフターサービスといった全ての接点における満足度の向上が欠かせません。ServiceNowは、顧客データの共有と分析を通じて、各接点で質の高いサービスを実現します。これにより顧客満足度を総合的に底上げし、CXを高めます。CX向上を支えるServiceNowの機能 ServiceNowは顧客サービスの効率化や質の向上を促進し、CX向上につなげることを重視して設計されています。ここでは、具体的な機能を交えながら、どのような業務改善やDXが可能になるか紹介します。顧客データの一元管理ServiceNowは、複数のシステムやツールを統合し、企業全体で顧客情報を一元管理できる環境を提供します。分散したデータをServiceNowに集約すれば、リアルタイムで参照・共有できます。 例えば、カスタマーサポート部門は、一元化された顧客情報から、顧客ごとの状況や過去の問い合わせ履歴をリアルタイムで参照可能です。これにより、顧客ごとの適切な対応が可能となり、CX向上につながります。 一方で、商品開発部門は、トラブルの発生状況や顧客ニーズの分析結果を引き出し、より顧客満足度の高い商品を開発できるようになります。プロセス自動化によるスピーディーな対応ServiceNowは、AIを活用して定型業務を効率化します。例えば、インシデント(問題)を自動分類し、優先度を設定することで、人手をかけずに重要タスクを迅速かつ正確に処理できる環境を提供します。 組織全体をつなぐワークフローの設計も可能です。例えば、「カスタマーサポートで対応不可→技術部門に引き渡し→重大なインシデントは営業部門にフォロー要請」といった部門横断的なフローを標準化できます。 このような機能により、顧客対応の漏れやバラつき、重複を防ぎながら、スピーディーな対応を実現します。これにより、顧客の企業への信頼感が高まり、CX向上につながります。部門横断的な連携サイロ化した組織では、IT、総務、カスタマーサポートなど各部門が顧客情報やワークフローを分断して管理するため、連携不足が生じて業務効率の悪化を引き起こし、これがCX低下につながりやすくなります。一方、ServiceNowを導入すると、データの一元化とワークフロー設計により、部門横断的な連携が可能です。 例えば、営業部門が商談でヒアリングした内容を、ServiceNowを通じてマーケティング部門にフィードバックすれば、その情報をもとにキャンペーン戦略を最適化できます。部門間の密な連携によりシナジー効果を高めることで、顧客が求めるアプローチを行い、CX向上を図れるのです。ServiceNow CSM(Customer Service Management)の役割ServiceNow CSMは、ServiceNowプラットフォームの一部として提供される、顧客対応に特化したアプリケーションです。CXの向上に活用できる機能を多く備えています。 顧客対応のアプリケーションというと、従来型のカスタマーサービスの補助ツールをイメージするかもしれません。しかし、ServiceNow CSMの適用範囲はより広く、高度な活用が可能です。ポータル構築や、意思決定のためのデータ分析、ナレッジ管理といった機能を通じて、チーム間で分断されがちなオペレーションを効率化し、CXを向上できます。ServiceNow CSMの主要機能と活用メリット ここからは、ServiceNow CSMの主要機能と活用メリットについて、さらに具体的に紹介します。ケース管理・ナレッジベースServiceNow CSMでは、顧客からの問い合わせや問題を「ケース」として登録し、進捗や対応状況を一元管理できます。このケースには、必要な関連情報をひも付けられます。個々のケースの解決策やFAQサイトの情報などを蓄積したものが、ナレッジベースです。ナレッジベースによって、類似ケースを効率的に検索して参照できます。ポータル・チャット機能ServiceNow CSMを用いると、顧客専用のログインページやダッシュボード、問い合わせフォームや進捗確認ページ、FAQやナレッジベースの検索機能などのポータルを、容易に構築・管理できます。ノーコードまたはローコードで構築できるため、非エンジニア中心でポータル運営したい場合にもおすすめです。 さらに、ServiceNow CSMでは、チャットボットを作成し、運用する機能も備えています。AIによるワークフロー管理ServiceNow CSMには、AIを活用したワークフロー管理機能が組み込まれています。問い合わせを自動分類し、顧客担当者や最適な知識を持つ担当者に割り当てる他、予測インテリジェンス機能による適切な解決策の提案も可能です。 また、ケースの進行状況がリアルタイムで更新されるため、関係者全員が状況を把握できます。未完了タスクや重要なアクションは通知されるため、対応漏れを防げます。データ可視化・分析機能ServiceNow CSMは、レポート機能やダッシュボード機能を通じて、顧客対応に必要なデータを可視化する環境を提供します。この機能を活用すれば、顧客の声(VOC:Voice Of Customer)を見える化し、課題を特定して対応方針を明確にできます。また、複数の部門やチームを横断したデータ基盤を構築可能です。ServiceNow CSMで実現できるCX向上とはServiceNow CSMの機能を使うと、顧客対応にまつわるさまざまな企業課題を解決できます。ここでは、その代表的な事例である顧客対応のスピードアップ、自己解決の促進、顧客視点のDXの3つを紹介します。スピーディーな対応によるCX向上ServiceNow CSMを活用してポータルを構築すると、顧客が簡単に申請や問い合わせを行える環境を提供できます。紙やメールでの手続きを大幅に削減できるため、手間も減り、対応速度も向上させられます。また、ポータル上で進行状況をリアルタイムで確認できるため、「状況が分からない」といった顧客のストレスも削減可能です。 企業側にとっては、申請や問い合わせに関するプロセスをポータルで自動化することで、業務効率が向上します。近年、人員不足が課題となる中でも、顧客対応のスピードと質を維持しつつCX向上を実現できる点が大きなメリットです。さらに、ポータルにチャットボットを搭載すると、24時間365日の即時対応で顧客の利便性を高めつつ、省人化も図れます。自己解決を促し顧客対応力をアップServiceNow CSMは、顧客がFAQやナレッジベースを活用し、自身で問題を解決できる環境を整えます。例えば、製品の使い方に関する疑問がある顧客が、ServiceNow CSMのポータルを利用し、FAQやナレッジベースから具体的な操作手順を検索し、解決できる仕組みを提供可能です。 自己解決の促進によって、サービスデスクへの問い合わせ件数を減らせます。それによって業務負荷が減り、サービス担当者は複雑な問題に集中できるため、顧客対応力が高まるでしょう。 結果として、他の顧客の待ち時間が短縮されるため、顧客満足度の向上が期待できます。また、迅速な問題解決がブランドへの信頼感を強化し、CXを向上できます。顧客視点のDXを推進ServiceNow CSMは、顧客へのアンケートの自動送付や回答データのダッシュボード化を通じて、顧客の反応や行動履歴をより深く把握できます。さまざまな接点での顧客ニーズや問題点を迅速に特定し、顧客起点の的確な改善策を打ち出すことが可能です。 さらに、ServiceNow CSMのパフォーマンス分析機能では、問い合わせ対応時間や解決率などの指標を集計、分析できます。自社のKPIと結び付ければ、顧客サービスのパフォーマンスを客観的に評価できる仕組みを構築可能です。 デジタル化によって収集できる顧客データが増えている現在、経験や勘ではなくデータ駆動型の意思決定やサービス運用が重要となっています。ServiceNow CSMは部署やチームを横断したデータ活用やDXを促進し、CXの質を高めます。ServiceNow CSMでCX向上を実現CX向上は多くの企業にとって永続的な課題といえます。ServiceNowと顧客対応に特化したServiceNow CSMは、CX向上につなげられる多彩な機能を搭載している点が特長です。問い合わせ対応時間の短縮、顧客の自己解決の支援、顧客起点のDX推進など、企業が直面する課題を解決する包括的なシステムとして、ご活用頂けます。

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【App Engine】ローコード開発で何ができる?メリットや活用法を解説

ローコード開発は、従来のプログラミングに比べてコーディング量を大幅に減らし、開発期間を短縮できる手法です。 視覚的な操作でアプリケーション開発が進められるため、開発コストの削減や機能改修が容易というメリットがあります。 ここではローコード開発ツール「App Engine」によってカスタマイズが可能なServiceNowのサービス紹介とともに、ローコード開発に興味がある方に向けて、ローコード開発の概要と特徴、およびメリット、デメリットを詳しく解説します。ローコード開発とは ローコード開発とは、プログラミング経験が浅い人でも高品質なアプリケーションを迅速に構築できる技術です。 ユーザーは直感的なインターフェースを使用して難しいコーディング作業を省き、企業のニーズに合わせて柔軟にアプリケーションをカスタマイズできます。 ローコード開発の活用は開発時間の短縮とコスト削減に寄与し、エンジニア経験が浅い人でもアプリケーション開発に参加できる可能性が高まるのです。 続いて、ローコード開発の概要と定義を解説していきます。ローコード開発の概要と定義ローコード開発は、プログラミング経験が少なくても、視覚的に分かりやすい操作で開発できるツールを使用して迅速にアプリケーションを構築する手法です。ローコード開発ではコードを書く時間や手間を従来のコーディングでの開発と比較して大幅に減らせることから、開発プロセスを効率化できます。 特にServiceNowはシステム開発の経験が浅い人でも使えるノーコード開発プラットフォームとして、JR東日本や東京ガスといった大手企業から、東広島市といった自治体まで、広く採用されています。豊富な機能を有し、基本的にはそのまま活用できますが、企業の理想に合わせてカスタマイズしたい場合も、App Engineを使えば、開発者が複雑なコードを書くことなく、優れたユーザーインターフェースで簡単に実装可能です。 ローコード開発の手法を採用することで開発工程が効率化されるため、時間とコストが削減でき、ビジネスにおける迅速な対応が可能になります。さらにローコード開発は、開発経験が浅いエンジニアがアプリケーションの開発に参加し、組織全体のイノベーションを推進するための手段としても有効です。ローコード開発が求められる理由ローコード開発が求められる理由は、現代のビジネスニーズと密接に関係しています。 ビジネス環境の急激な変化に迅速に対応するために、開発プロセスの高速化が必要になります。ローコード開発は開発プロセスの高速化を実現し、企業が変化する市場の要求に素早く応えることを可能にします。 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化もローコード開発が求められる理由です。多くの企業がビジネスにおいてデジタル技術を取り入れており、DX化のプロセスにおいてローコード開発は重要な役割を果たしているのです。ローコード開発のメリットローコード開発は、企業にとって多くのメリットをもたらします。ローコード開発によってもたらされる主なメリットは、以下の5つです。 開発生産性の向上 技術ハードルの低減 セキュリティ対策の負担軽減 品質の向上 新しいIT技術の利用開発生産性の向上は、ローコード開発の最大のメリットのひとつです。ローコード開発により、開発サイクルが短縮され、アイデア出しから製品が完成するまでの時間を大幅に削減できるようになります。これによりビジネスは、市場の変化に迅速に対応し、競争力を維持することが可能です。 ローコード開発ツールの活用によって、技術的なハードルが低くなることも重要なメリットです。直感的なインターフェースのため、プログラミングスキルが低い人でもアプリケーション開発に参加できるようになります。 また、多くのローコード開発ツールはセキュリティ機能を有しているため、アプリケーションごとに個別のセキュリティ対策を行う必要が少なくなります。これは、特にセキュリティリソースが限られている企業にとって大きなメリットといえるでしょう。 ローコード開発ツールを使うことで一貫した開発基準を保てるため、アプリケーションの品質が担保されることもメリット。より安定した製品を展開できるようになります。 ローコード開発ツールは、クラウドコンピューティングや人工知能といった最新の技術トレンドの統合も容易にします。最新の技術をキャッチアップできることで、企業は新しい技術を迅速に採用し、イノベーションを加速させることが可能です。 これらのメリットによりローコード開発は、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。ローコード開発のデメリットローコード開発は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ローコード開発の欠点を理解することは、ローコードツールを選ぶ際の重要なポイントです。 まずローコード開発ツールには、ツールごとに制約があることを理解しましょう。ローコード開発ツールは、開発の効率性と利便性を優先して設計されているため、カスタマイズの自由度や機能の範囲に限界があるツールもあります。 特に複雑な要件や特定のニーズに合わせてアプリケーションをカスタマイズする必要がある場合、ローコード開発ツールが個別に持つ制約が障害となることがあるため、注意が必要です。 またローコード開発ツールの使用には、ツール特有の知識や理解が必要な場合もあります。プログラミングスキルをそれほど必要としないものの、効果的に使用するためには、ツールの機能やインターフェース、設計に慣れる必要があります。 ローコード開発ツールの採用を検討する際には、これらのデメリットを理解し、組織のニーズに合わせて適切なツールを選択することが重要です。ローコード開発の手法 ローコード開発は、ドラッグアンドドロップや、ツールに搭載されているテンプレートを利用して、アプリケーションの要素を配置する手法が一般的です。 この手法は、プログラミング経験が少なくても直感的にアプリケーションを開発できるようにし、開発工程を大幅に簡略化・迅速化します。 続いて、ローコード開発の具体的な手順をみていきます。ローコード開発の手順とはローコード開発の手順は、一般的なシステム開発の方法と基本的に同じでありながら、特有の特徴を持っています。 ローコード開発では、ビジュアルツールとプリセットコンポーネントを使用し、開発者はアプリケーションのプロトタイプ(型)を作成していきます。 基本的に、ローコード開発はアジャイル型の手順で、開発とテストのサイクルを短期間で繰り返し、素早くフィードバックを取り入れながら製品をブラッシュアップしていきます。 ローコード開発におけるアジャイル開発のアプローチは、柔軟性と迅速性をもたらし、市場の要求に対する素早い対応を可能にします。ローコード開発における注意点ローコード開発を行う際には、いくつか注意点があります。 まず、開発するシステムの必要な機能がローコードツールで網羅できるかどうかを確認することが大切です。ローコードツールは多くの標準機能を提供しますが、特定のニーズに合わせてカスタマイズする必要がある場合、ツールの限界を理解することが重要です。 次にシステムの機能要件を正確に把握し、それに基づいて適切なローコード開発ツールを選択することが求められます。機能要件が明確でないと、開発プロジェクトが方向性を見失い、効率的な進行が困難になることがあります。 また開発ドキュメントの作成は、ローコード開発においても重要です。加えて選択するローコードツールのサポート体制を確認することもポイント。適切なサポートがあれば、開発中の問題や疑問に迅速に対応できます。ServiceNowもApp Engineでローコード開発が可能ローコード開発は、最小限のコーディングでシステムやアプリケーションを構築できる手法です。ローコード開発においてServiceNowとApp Engineは、採用する企業のみならず開発に携わるエンジニアにとっても、開発や運用・保守の効率化といったさまざまな面でメリットをもたらします。 DTSは、ServiceNowを活用したIT戦略立案から運用保守に至るまで、トータルサポートを提供しています。ServiceNowの機能を最大限に活用し、お客様のビジネス要件に合わせ、DX推進や業務変革に貢献する体制を整えています。 社内のDX推進や業務変革について課題をお持ちのご担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

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ノーコード開発とは?ローコードとの違いやServiceNowの魅力を解説

ノーコード開発とは?ローコードとの違いやServiceNowの魅力を解説

ノーコード開発とは、コーディングなしでWebサイトやアプリケーションを開発することです。ServiceNowもノーコードベースのプラットフォームとしてユーザビリティに優れたシステムのひとつです。 この記事ではノーコード開発のメリットやデメリット、ノーコード・ローコードベースのプラットフォームであるServiceNowの魅力について解説します。ノーコード開発とは? ノーコード開発は、コーディングを行わずにWebサイトやアプリケーションの開発を行う方法です。特にServiceNowは優れたノーコードベースのプラットフォームとして、業界を問わず導入されています。 コーディングの専門知識がない人でもデザインをするような直感的な操作で、アプリケーションなどの開発が可能です。近年はエンジニア不足の問題もあり、ノーコードツールは注目を集めています。ノーコード開発とローコード開発の違いノーコード開発とともによく聞かれるワードとして「ローコード開発」というものがあります。両者とも効率的に開発を行う目的は同じですが、ローコード開発はコーディングが発生し、ノーコード開発は全くコードを書かないことが大きな違いです。 ローコード開発は、少ない数のソースコードでシステムを開発する方法となり、エンジニアがより効率的に作業を行えます。ServiceNowは、ノーコードベースのプラットフォームとして認知されていますが、App Engineを使用することで、ローコード開発によるカスタマイズも可能です。ノーコード開発が普及した背景 ノーコード開発が普及した背景には以下の3つがあります。 IT人材の不足 クラウドサービスの普及 ITサービスの多様化IT人材の不足により、システム開発を望むニーズに追いつかない現状が背景のひとつです。 過去にはWeb上での開発やデータ保管がセキュリティの問題上好ましくないとされていましたが、クラウドサービスの発展により、オンラインでの開発やデータ管理が普及しました。 さらに、ITサービスが多様化し、小規模なシステムが以前よりも増加しました。小規模システムはノーコードツールと相性が良く、少ないコストで開発が可能です。ノーコード開発のメリットノーコード開発のメリットは以下の3つです。 プログラミングの知識が不要 システム開発コストの抑制 短期間での開発が可能プログラミングの知識が不要ノーコード開発はプログラミングの専門知識が不要で、エンジニアに発注せずにアプリ開発ができます。なぜなら、ノーコード開発のツールではパーツを配置するような直感的な操作で簡単にアプリ開発を行えるからです。 例えば、ノーコードベースのプラットフォームであるServiceNowの標準業務アプリを活用することで、プログラミング知識が無い人でもシステムを構築することが可能です。システム開発コストの抑制ノーコードプラットフォームを使用すると、開発会社やベンダーに発注しないため、システム開発コストを抑制できます。 システム開発は専門会社に依頼することが一般的であり、その場合は高額なコストが発生してしまうものです。自社でエンジニアを雇用する場合においても人件費が発生します。ServiceNowのようなノーコード開発ができるプラットフォームを採用すると、こうしたコストに関する課題が大幅に解消されます。短期間での開発が可能ノーコード開発はプログラミングが不要なため、プログラミング言語を習得する時間や、複雑なコードを書く時間が削減され、短期間での開発が可能です。 開発期間が短く、サービス開始までのスピードも早くなるため、競合他社との差別化にも繋がるでしょう。ノーコード開発のデメリットノーコード開発のデメリットは以下の3つです。 大規模開発に不向き 拡張性や自由度が低い プラットフォームに依存する大規模開発に不向き大規模開発では、大量データの送受信や、他社システムとの連携などが求められる場合もあります。ノーコード開発ツールは、一定の範囲内での機能に限定され、大規模で複雑なシステム開発には適さない傾向があります。 一方でServiceNowは、大規模開発に適した柔軟性の高いノーコードベースのプラットフォームです。ノーコード開発環境に加え、他システムと簡単に連携可能となるAPIの標準実装や、ノーコードで対応しきれない場合にカスタマイズが行える環境もあります。 ServiceNowのような高度なノーコードプラットフォームを採用することで、さまざまなシステム開発のニーズに応えることができます。拡張性や自由度の低さノーコード開発のツールは、テンプレート化されたUIなどの決まったパターンの中から選ぶことが多いため、オリジナルのデザインや特定機能の実装は困難です。 たとえば利用できる連携ツールには限りがある場合や、複雑な機能やアニメーションには対応できない可能性があります。プラットフォームに依存するノーコード開発はプラットフォームのサービスに依存するため、使用しているノーコードプラットフォームがサービスを終了すると、開発したWebサイトやアプリケーションは使用できなくなります。提供元の取引実績や経営状態などを十分に調査し、長期的な視点でツールの使用が適切かどうかを検討しましょう。 ServiceNowは大手企業にも数多く活用されており、信頼性の高いプラットフォームのため、安心して使用できます。ノーコードツールを選ぶポイント 次にノーコードツールを選ぶポイントを以下の3つの観点から紹介します。 利用目的と目標を明確にする 明瞭な利用料金 開発のしやすさ利用目的と目標を明確にするノーコードツールを選ぶ際には、具体的な利用目的と目標を明確にし、最適なツールを選定しましょう。利用する目的や目標によって、必要な機能や対応デバイスが異なります。 たとえば、ECサイト、Webサイト、業務アプリケーションなど用途によって必要な機能は大きく変わります。 ServiceNowはさまざまな業界や職種で活用実績があるため、システム導入の目的を幅広くカバーできます。明瞭な利用料金ノーコードツールは無料で利用できる場合もありますが、利用人数やセキュリティ対策のレベルによって有料になることもあります。 小さなチームや個人の場合は低コストで利用できますが、企業や組織の規模が大きくなるとコストが増加する可能性もあるため注意が必要です。利用するノーコードツールの料金プランを確認しましょう。開発のしやすさノーコードツールは直感的な操作でWebサイトやアプリケーションを開発できるため、使いやすさや操作性が開発効率に大きく影響します。サポート体制の充実や、マニュアルの有無も重要です。 ServiceNowは利用者にとって操作性に優れた使いやすいプラットフォームであり、カスタマイズにも柔軟に対応できます。ServiceNowなら業務に合わせた最適なしくみを簡単に構築可能!ノーコード開発は、プログラミングをすることなく、Webサイトやアプリを効率的に開発する手法です。 近年のIT人材不足、クラウドサービスの普及、ITサービスの多様化といった背景のもとで需要は増加し、特に小規模な開発に適しています。ノーコードプラットフォームであるServiceNowでは、業務に合わせた最適なしくみを構築可能です。 株式会社DTSは、ServiceNowを活用したアプリケーション開発により、お客様業務の効率化や可視化を実現いたします。1,400社以上の企業様へITサービスをご提供してきたノウハウを活かし、戦略立案から運用までをワンストップでトータルサポート。お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に支援いたします。 業務およびシステムの見直しや、社内のDX推進をご検討中のご担当者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

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SaaSの拡大でますます高まるライセンス管理の重要性

SaaSの拡大でますます高まるライセンス管理の重要性

ソフトウェアを業務で安全に活用するためには、ライセンス管理が必要です。しかし、そもそもライセンス管理とはなんなのか、なぜ必要なのかわからない方も多いでしょう。 この記事では、ライセンス管理とは何かを解説するとともに、ライセンス管理が必要な理由も説明します。さらに、企業でよく見られるライセンス管理の課題や、ライセンス管理を適切に実施するためのポイントも解説しています。 効率よくライセンス管理を実施し、安心できる状態を保ってソフトウェアを活用しましょう。ライセンス管理とはライセンス管理とは、ソフトウェアの使用許諾の条件を正しく守って利用できるようにするための管理です。業務用のものであっても、一般向けのものであっても、ソフトウェアを使用するには使用許諾契約への同意が求められます。使用許諾契約は、メーカーが自社の著作物を守るために定められています。 著作権を侵害したとみなされた場合、メーカーに違約金を支払わなければなりません。それどころか、刑事罰の対象となる可能性もあるのです。しかし、ソフトウェアの性質上、コピーは比較的容易にできてしまいます。意図的に不正をするつもりがなくても、ミスで使用許諾に違反してしまうケースもあるでしょう。 また、ライセンス管理を行うことでムダなソフトウェアの購入やアカウントの契約を減らせば、コストの削減につながります。SaaSの拡大に伴って、コスト面からもライセンス管理の重要性が増しています。ライセンス管理が必要な理由なぜ、ライセンス管理をしなければならないのでしょうか。ライセンス管理が必要な理由を詳しく解説します。ライセンス監査リスクへの対応ライセンス管理を行わなければいけない理由のひとつが、監査リスクへの対応です。 ソフトウェアを販売している企業は、ユーザーに対しての監査権があります。メーカーが監査を行うと決めた場合、ユーザー側は拒否できません。 監査で不正が見つかった場合、違約金を支払う必要があります。違約金の発生リスクを避けるためには、ライセンス管理が欠かせません。コスト管理ライセンス管理の実施は、コスト管理にもつながります。 自社で活用しているソフトウェアのライセンスが管理できていない中で監査リスクを避けようとする場合、不必要に多くのソフトウェアやアカウントを購入・契約してしまうケースも少なくありません。その分、余分なコストが発生してしまうのです。 ライセンス管理を実施すれば、不要なライセンスの購入を避けられます。さらに、より効率の良いライセンス購入計画も立てられます。 そのため、ライセンス管理を行うことでコストの削減が可能なのです。セキュリティ強化ライセンス管理は、セキュリティの強化にもつながります。 使用許諾違反のソフトウェアは、アップデートをはじめとした適切なサポートを受けられない可能性があります。そのため、ソフトウェアの脆弱性をついて攻撃されてしまう可能性があるのです。 ライセンス管理によって現在社内で使用しているソフトウェアを把握できれば、古いバージョンを使い続けてしまうことを避けられます。 適切なライセンス管理を行うことで、ライセンス違反のソフトウェアがインストールされている端末だけでなく、社内のネットワークにつながっているすべての機器を守れる可能性があります。ライセンス管理における課題 適切なライセンス管理の実施は重要ですが、さまざまな理由でうまく進められない企業が多いのも事実です。ライセンス管理における課題を、詳しく解説します。管理しなければならないライセンスや利用するデバイスの種類が多い管理が必要なライセンスや、使用している端末の種類が多いと、ライセンス管理は複雑化し手間がかかります。 昨今では、スマートフォンとPCなど、社員1人が複数台のデバイスを利用するのが一般的です。また、1台のデバイスに複数のソフトウェアがインストールされている場合がほとんどです。 そのため、社員が利用しているライセンスの合計数は膨大な数になります。さらに、部署ごとにソフトウェアを購入している場合には、人事異動にともないライセンス管理が複雑化してしまうケースもあるでしょう。 多くのライセンスが存在する場合、ライセンス管理には膨大な手間と時間が必要です。ライセンスの形態が複雑ライセンスの形態は、ソフトウェアによって異なります。さらに近年はライセンスの形態が複雑化しているため、ライセンス管理に手間がかかってしまうケースもあります。 かつては、購入後決まった台数にインストールできる買い切り型のソフトウェアが一般的でした。買い切り型であれば、多くの場合使用許諾で認められた以上の台数にインストールしないよう注意しておけばよく、管理もそれほど複雑ではありません。 しかし最近では、サブスクリプション型が主流です。加えて、ダウングレード権やセカンドライセンス、プリインストールといったさまざまなライセンス形態が登場し複雑化しています。さまざまな条件が設定されたことで、外見上は同じソフトウェアであっても異なる使用許諾を設定している場合もあります。 複雑化したライセンスを管理しきれない点が、ライセンス管理の課題となる企業も少なくありません。管理者以外のライセンスに対する意識に差がある管理者は、ライセンス管理の重要性を理解し業務にあたっています。しかし、管理者以外の従業員が同じようにライセンス管理の重要性を理解しているとは限りません。ライセンス違反のソフトウェアを利用するリスクを知らなければ、現場で違法コピーのソフトウェアを利用してしまう可能性があります。 また、複雑なライセンスについてすべてを理解できている従業員は多くないでしょう。管理者が重要性を理解しているだけでなく、全従業員に周知しなければライセンス管理はなかなかスムーズに進みません。ライセンス管理を適切に実施するためのポイント ライセンス管理を適切に行うためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。実施するためのポイントを解説します。管理対象と管理レベルの適切な設定ライセンス管理の際には、管理対象と管理レベルを適切に設定しましょう。 管理対象とは、ソフトウェアを利用している部署やインストールされている各デバイスのことです。すべてを管理対象とするのが理想です。しかし、従業員が利用しているすべてのソフトウェアを把握し管理するためには、膨大な手間がかかることも少なくありません。 まずは、重要性の高いソフトウェアを管理対象としてスタートしましょう。監査を頻繁に行っているソフトウェアは、優先度をあげてチェックするのがおすすめです。また、価格の高いソフトウェアも早めに管理対象としたほうが良いでしょう。価格が高いソフトウェアは、違約金も高い傾向があります。 管理対象だけでなく、どの程度細かく管理するか、管理レベルを設定しておくことも重要です。ライセンス台帳とライセンス関連部材台帳の作成ライセンス管理に使われることが多いのが、ライセンス台帳とライセンス関連部材台帳です。 自社で利用できるすべてのライセンスを記録しておくのがライセンス台帳です。インストールされたソフトウェアのライセンスはもちろん、インストールされていないものも記録しておきます。 ライセンス台帳には、次のような項目を記録します。 ソフトウェアの名称 バージョン情報 ライセンス番号 証書番号 使用許諾条件 購入日一方でライセンス関連部材台帳とは、ソフトウェアを管理するための台帳です。インストールに使用したCDやDVDの保管場所や管理している部署、ライセンスキーなどを記録します。 これらの台帳を用意することで、ライセンス管理が可能となります。管理ツールの導入エクセル等を使用して手動入力でライセンス台帳を作成するのも良いのですが、より効率良く管理を進めるのであれば管理ツールの導入も検討しましょう。 ライセンス管理ツールの中には、ServiceNow ITAMのようにライセンス情報をある程度自動で入力できるツールがあります。このような自動化ツールを活用すれば、管理の手間を大幅に削減可能です。 管理の手間が減った分、管理対象のライセンスを広げることもできるでしょう。管理できるライセンスが増えれば、より大きなメリットを得られる可能性があります。 デバイスの種類が多い場合や管理が複雑な場合など、ライセンス管理に労力がかかりそうな場合には特に、管理ツールの導入をおすすめします。適切なライセンス管理の実施が重要ライセンス管理とは、ソフトウェアの使用許諾条件を正しく守って活用するための管理です。ライセンス管理を行うことで、監査リスクを低減するとともにコスト削減にもつながるといったメリットがあります。 ただし、デバイスが多い場合、ライセンス管理には膨大な手間がかかります。また、昨今ライセンスは複雑化しているため、管理が難しいと感じるケースもあるでしょう。 手間がかかる、複雑でわかりにくいと感じた場合には、ライセンス管理ツールを導入するのもひとつの方法です。ライセンス管理ツールを導入すれば、必要な労力を大幅に削減できます。 ServiceNow ITAMを使えば、ライセンス管理の効率化が可能です。興味がある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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デジタル証明書とは?発行方法や仕組み、種類や課題を解説

デジタル証明書とは?発行方法や仕組み、種類や課題を解説

デジタル証明書とは、インターネット上での信頼性を確保するために、第三者(認証局)が発行する電子的な証明書のことです。これは、インターネットを通してデータをやり取りする際、通信内容の暗号化や通信相手が信頼できるかを確認するために使われます。本記事ではデジタル証明書の概要や、発行法およびその仕組み、デジタル証明書の種類や課題を解説します。デジタル証明書とは ここではデジタル証明書の概要と仕組み、デジタル証明書発行の流れについて、それぞれ詳しく解説します。まずはデジタル証明書とは何か、どのような仕組みなのか、どのようにして発行されるのかを、しっかり理解しましょう。デジタル証明書の概要と仕組みデジタル証明書とは、インターネット上での通信の安全性を保証するために使用される電子証明書のことです。 デジタル証明書は、公開鍵暗号方式を用いたシステムです。公開鍵暗号方式における「公開鍵」を用いた暗号化と、データの送信者が自分の秘密鍵を用いてデータに一種の電子印鑑を押す、データの署名によって実現されます。公開鍵と秘密鍵のペアを用い、公開鍵は誰でもアクセス可能な場所に置かれ、秘密鍵はデータの送信者のみが保持します。 この仕組みにより、データの送信者は秘密鍵でデータを署名し、受信者は公開鍵を使用してその署名の検証が可能です。公開鍵と秘密鍵のペアを使うことで、デジタル証明書によって情報の秘密性が保たれ、通信の安全が担保されます。デジタル証明書発行の流れデジタル証明書を発行したい組織や個人は、認証局(CA)に対して証明書発行の申請を行います。 次に、認証局は申請者の提出した情報の真正性を検証します。検証が成功すると、認証局は申請者の公開鍵に対してデジタル署名を行い、デジタル証明書を発行します。 証明書の発行後、組織や個人はこれを自身のサーバーに設置します。これにより、Webサイトを訪れるユーザーは、ブラウザを通じて証明書を確認し、サイトの真正性を検証できるようになります。デジタル証明書の種類ここからは、以下のデジタル証明書の種類について、詳しく解説します。デジタル証明書にはどのような種類があり、どのような役割を果たすのか、よく読んでおきましょう。  サーバー証明書 クライアント証明書 コードサイニング証明書サーバー証明書サーバー証明書は、認証局(CA)によって発行されるデジタル証明書の一種で、Webサイトのドメイン名とその運営者の情報を含むものです。ユーザーがブラウザを使用してWebサイトにアクセスする際、ブラウザはサーバー証明書を検証し、そのWebサイトが信頼できる認証局によって認証されたものであることを確認します。このプロセスを通じて、ユーザーは自身が接続しているサイトが正当で安全であるという信頼を得られるのです。クライアント証明書クライアント証明書の主な用途は、セキュアな通信の確立とユーザー認証です。たとえば、企業が従業員に対してリモートアクセスサービスを提供する際、クライアント証明書を用いて従業員の身元を確認し、安全な接続を確立します。このプロセスにより、不正アクセスのリスクを大幅に減少させることが可能です。コードサイニング証明書コードサイニング証明書によるデジタル署名は、エンドユーザーがソフトウェアをインストールする際に特に重要です。オペレーティングシステムやブラウザは、署名されたソフトウェアを確認し、信頼できる発行元からのものであるかどうかをユーザーに通知します。これによりユーザーは、安全にソフトウェアをインストールできるようになるのです。デジタル証明書の必要性ここからは、デジタル証明書の必要性について、以下の4つの視点から解説します。なぜデジタル証明書が必要なのか、より深く知りたい方は、参考にしてください。 通信経路上の盗聴防止 データの改ざん防止 本人確認、なりすまし防止通信経路上の盗聴防止デジタル証明書は、インターネット上での安全な通信を確保する上で欠かせない要素です。デジタル証明書は、Webサイトの正当性を証明し、通信経路上でのデータの盗聴や改ざんを防ぐために用いられます。特にオンラインバンキングや電子商取引など、個人情報や機密情報がやりとりされる場合には、その重要性は一層高まります。 デジタル証明書により、サーバーとクライアント間の通信が暗号化され、第三者によるデータの傍受が困難となります。これにより、ユーザーは安心してオンラインサービスを利用できるようになります。また、デジタル証明書は、Webサイトが電子証明書を発行依頼している組織によって運営されていることを利用者に保証する役割も果たします。この信頼性の確保は、フィッシング詐欺などのサイバー攻撃からユーザーを保護する上で不可欠です。データの改ざん防止デジタル証明書は、今日のインターネットが直面しているセキュリティの脅威に対処する上で欠かせないものです。特にデータ改ざん防止の観点からは、その価値は計り知れません。デジタル証明書は、インターネット上でのデータ送信が本来の送信者によってなされ、途中で第三者によって改ざんされていないことを保証するための技術です。これは、公開鍵と秘密鍵という2つのキーを用いる公開鍵暗号技術を基盤としています。デジタル証明書によって、データの送信元の真正性を検証し、送信データが途中で改ざんされていないかを確認できるのです。 この仕組みにより、たとえば、オンラインバンキングや電子商取引など、センシティブな情報がインターネット上でやり取りされる際、ユーザーはその情報が安全に送受信されることを信頼できるようになります。本人確認、なりすまし防止デジタル証明書により、オンラインでの取引や通信を行う際に参加者の身元を確認し、正当な権限を持つユーザーのみがアクセスできるようにすることが可能です。これは、電子メールの送信者が実際に主張する人物であることを確認したり、オンラインバンキングのセッションが実際に銀行とその顧客の間で行われていることを保証するために使用されます。 なりすまし攻撃は、不正アクセスや情報漏洩の要因となっており、個人や企業にとって深刻な脅威となっています。デジタル証明書を使用することで、悪意のある第三者が信頼できるエンティティになりすますことを防止できます。たとえば、SSL/TLS証明書はウェブサイトの身元を確認し、ユーザーがアクセスしているサイトが正規のものであることを保証します。これにより、ユーザーは自分の情報を安全に送信できると信頼できるようになり、フィッシング詐欺や中間者攻撃のリスクを減少させられます。デジタル証明書管理で起こりがちな課題とは ここからはデジタル証明書の管理で起こりがちな以下の4つの課題について、詳しく解説します。デジタル証明書を適切に活用するために、デジタル証明書の管理にあたってどのような課題があるのかを知っておきましょう。 運用・管理の複雑化 証明書の期限切れ 証明書警告の表示運用・管理の複雑化デジタル証明書を運用する際に直面する課題の1つは、そのライフサイクル管理の複雑さです。証明書の発行から更新、監視、そして最終的な廃棄に至るまで、各段階は細心の注意を要し、特に多くの証明書を扱う大規模なシステムでは、その管理作業は一層煩雑になります。 たとえば、証明書が期限切れになるとセキュリティの脆弱性を生じさせるだけでなく、サービスが停止する原因ともなり得ます。このような状況を未然に防ぐためには、証明書の有効期限が近づいていることを自動的にアラートすると共に、更新作業を容易にするシステムの実装が不可欠です。これにより、セキュリティリスクを低減し、サービスの連続性を保証することが可能となりますが、適切な管理ツールやプロセスの欠如は、運用上の大きな課題となっています。証明書の期限切れデジタル証明書の運用における課題に、証明書の期限切れの問題があります。証明書は一定の有効期限があり、その期限を過ぎると証明書は無効化されますが、そのまま利用しているWebサイトやシステムは信頼性を損なうでしょう。一方で、この有効期限の管理は、特に多くの証明書を扱う組織において、非常に煩雑な作業となっています。 多くの組織では、証明書の有効期限を効率的に追跡し、適切な時期に更新するための適切な管理体制が整っていないため、期限切れの証明書が見逃されがちです。このような状況は、デジタル証明書の管理における重要な課題の1つとして認識されており、自動化された更新通知や管理プロセスの改善など、より効率的な解決策の必要性が高まっています。証明書警告の表示デジタル証明書の管理においては、証明書警告メッセージの表示につながるようなミスを起こしがちなことも、課題の1つです。証明書に問題があると、安全であるWebサイトにアクセスした場合であってもブラウザが警告を出すことがあります。これは、サイト訪問者の不安をかき立て、Webサイトの信頼性への損失につながる恐れがあります。 証明書警告の原因には、証明書の期限切れ、ドメイン名のミスマッチ、自己署名証明書の利用、または認証局によって信頼されていない証明書の使用などが挙げられます。これらの問題は、サイトのセキュリティを疑問視される結果を招き、ユーザーのサイト離脱や信頼度低下に直結するため、デジタル証明書の適切な管理と更新が非常に重要です。 これら問題に適切に対応することは、オンラインでのビジネス運営において極めて重要です。ServiceNowはデジタル証明書の安定管理に貢献します デジタル証明書の管理と運営は、その複雑さからしばしば困難を伴います。しかし、たとえばServiceNowのITOM のような適切なソリューションを導入することで、これらの課題を克服し、デジタル証明書を安定的かつ効率的に管理することが可能です。 ServiceNowのITOMは、証明書のライフサイクル全体を監視し、管理するプロセスを強化します。これにより、証明書の更新や失効が一元管理されたリストに整理され、処理が容易になります。また、証明書管理ツールによって自動化されたプロセスは、証明書の追跡、証明書の有効期限切れや期限切れ間近の通知、不明な証明書の特定などを容易にします。 当社、株式会社DTSはServiceNowのパートナーに認定されています。デジタル証明書の安定管理について興味のある方は、まず一度お問い合わせください。

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GX(グリーントランスフォーメーション)の概要と取組事例を解説

GX(グリーントランスフォーメーション)の概要と取組事例を解説

GX(グリーントランスフォーメーション)は2023年のITトレンドワードとして注目されています。 GXの一環であるペーパーレス化やIT機器の省力化はDXを推進する上でも重要なテーマです。そのため、経済産業省をはじめ国を挙げた取り組みが行われています。 この記事では、GXの概要と政府の取り組み、GXに取り組む企業が得られるメリットについて解説します。IT業界の最新動向をキャッチアップしたい方は、最後まで読んでみてください。GXとは GXとは、温室効果ガスを排出する化石燃料を極力使用せず、太陽光発電などのクリーンエネルギーを活用して、社会構造の変革を目指す取り組みです。 特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の調査によると、国内の年間発電量に占める化石燃料の割合は70.2%で、エネルギーの大半を化石燃料に頼っています。化石燃料は消費するときに地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出するため、地球環境に負荷をかけないクリーンエネルギーが注目されています。 従来の環境活動との違いは、単なる環境にやさしい活動の推進ではなく、クリーンエネルギーへの転換自体を経済成長の機会と捉えている点です。GXが求められる背景GXは2020年に日本政府が、カーボンニュートラルを2050年までに達成すると宣言したことをきっかけに注目されるようになりました。 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きして実質ゼロとなる状態です。カーボンニュートラルと似た言葉に脱炭素がありますが、カーボンニュートラルは温室効果ガス全般を指すのに対し、脱炭素は二酸化炭素に焦点を当てた意味合いで用いられます。 2015年のパリ協定において地球温暖化への対策として、世界平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを目標に掲げました。一方で、2020年に文部科学省と気象庁が発表したデータによると、パリ協定の目標が達成できなかった場合、今世紀末までに日本の平均気温は約4.5度上昇するとされています。そのため、国を挙げた取り組みが求められました。GXに向けた政府の取り組み次にGX実現に向けた政府の取り組みを紹介します。GX実現は政府が主導となって進めていく必要があるため、さまざまな取り組みが行われています。それぞれ順番に見ていきましょう。経済産業省によるGXリーグの創立GXリーグとは、GXに向けた取り組みを行い持続可能な成長を目指す企業群と官公庁、大学が一体となって、GX実現のために共同する場です。2022年に経済産業省が「GXリーグ基本構想」を発表したことをきっかけに誕生しました。 GXリーグの目的は、温室効果ガス排出量削減に向けた企業の取り組みが市場に正しく評価される構造を作り出すことです。これによって、企業がリーダーシップを持ってGXに取り組む状態を目指しています。GX関連法の制定2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に基づき、GXに関連する2つの法律が制定されました。 GX推進法では、二酸化炭素排出に価格をつけるカーボンプライシングなど5つの項目について定めています。カーボンプライシングとは、化石燃料の輸入業者に対して化石燃料賦課金の徴収や、二酸化炭素排出量に応じた負担金の徴収、事業者間で二酸化炭素排出量の取引を行えるように定めることです。 GX脱炭素電源法では、国際エネルギー市場の混乱と電気料金の高騰を受けて、太陽光発電などの再生可能エネルギー普及促進について定めています。GX補助金制度の創設GXを推進するために事業者が必要とする経費を、政府が補助する制度を創設しています。 電気自動車などの導入費用を支援するクリーンエネルギー自動車導入促進補助金や、高い断熱性能を持つ窓へリフォームする際の工事費を補助する住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等(先進的窓リノベ事業)などです。 また既存のものづくり補助金にも、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みや製品開発に対して補助金を支給する、グリーン枠が新たに創設されています。GXに企業が取り組むメリットGXに企業が取り組むメリットは、主に次の3点です。 顧客や投資家へのアピールになる 補助金が受けられる エネルギーコストの低減になるそれぞれ詳しく解説します。顧客や投資家へのアピールになる企業がGXを推進すると、顧客や投資家に対するアピールが可能です。環境問題に関心を持ち熱心に取り組んでいる姿勢や、環境負荷が少ない製品開発などを対外的に発表すれば、自社のブランディングに活かせます。 これによって、入社希望者が増えたり、取引先から持たれるイメージが変わったりすることで、金融機関や投資家から資金援助を受けやすくなるでしょう。GX推進やGXリーグへの参加は、企業の環境問題に対するスタンスを示すメリットがあります。補助金が受けられるGXに取り組み、要件を満たせば前章で紹介した補助金が受給できます。補助金の受給により経費の削減が可能です。たとえば、ものづくり補助金のグリーン枠は、温室効果ガスの排出削減に資する取り組みや事業所における毎月の二酸化炭素排出量を把握するなどの要件を満たすと、補助金額を上限に補助対象経費の3分の2が支給されます。 従業員数やエントリー・スタンダード・アドバンスのどの類型から申請するかで異なりますが、補助上限額は最大4,000万円です。GXを推進しながら、賢く補助金を受給すれば経費を圧縮できるメリットがあります。エネルギーコストの低減になるGXに取り組むと、事業の省エネルギー化やクリーンエネルギーの活用が進み、エネルギーコストの削減につながります。特に電気料金の高騰が続く現状において、省エネルギー化は大きなメリットです。太陽光パネルの導入や、空調設備をエネルギー効率の高い新しい機器に買い替えるなどの取り組みでエネルギーコストを削減できます。 2020年に資源エネルギー庁が公表したデータでは、事業用太陽光発電と風力発電に必要なコストは2030年までに少しずつ下がっていくと見込まれています。GXの推進による、コストカット効果も大きなメリットです。国内企業のGX取り組み事例 次に国内企業のGXに関する取り組みを3つ事例形式で紹介します。GXの概要やメリットは理解したけれど、具体的にどのように進めればよいか知りたい方は参考にしてみてください。トヨタ自動車トヨタ自動車は、二酸化炭素削減などの取り組みを長期スパンで取り組む「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しました。この中で、FCV(燃料電池自動車)の販売などを通じ、2050年に新車平均走行時の二酸化炭素排出量を90%削減することや、同年に工場の二酸化炭素排出量ゼロを目指しています。すでにブラジル工場では、風力・バイオマス・水力発電を利用して、2015年から電力は100%再生可能エネルギー利用を達成しています。清水建設清水建設では、GXに関する取り組みとしてZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の普及を目指しています。ZEBとは、建築計画の工夫や技術によってエネルギー消費量を小さくし、太陽光発電などを採用してエネルギー自給を増やすことで、トータルのエネルギー消費量を実質ゼロにした建築物です。清水建設は2025年度に受注する建築物のうち、ZEBが占める割合を50%以上にできるよう取り組みを行っています。ソニーソニーでは、2050年までに環境負荷ゼロを目指す取り組みを「Road to Zero」として打ち出しています。具体的には、2030年までに自社の電力を100%再生可能エネルギー由来のものに切り替えるとしています。また、調達先に対しても再生可能エネルギーを利用するノウハウを伝え、同年までに再生可能エネルギー由来の電力利用100%を目指すよう要請中です。すでにプロジェクトチームを作って調達先企業の工場に立ち入り、省エネ活動の診断と改善点の指摘も行っています。 まとめ今回はGXについて解説しました。GXは2050年までにカーボンニュートラルを目指す日本にとって重要な取り組みです。そのため、「新しい資本主義」において重点投資分野に位置付けられるなど、経済産業省をはじめ政府主導の政策が次々に始まっています。 また、GXは政府だけが取り組むものではなく、企業の取り組みも大切です。中でも産業構造の効率化・省力化に大きく寄与するDXは、GXを進める上で欠かせません。 GXは今後も目が離せない大きなトレンドであるため、引き続き当コラムでも取り上げていきます。

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