
ServiceNowで実現するオムニチャネル対応のCSMとは?特長・導入メリット・成功事例を徹底解説
テクノロジーの進化と購買行動の変化により、顧客が好むコミュニケーションチャネルは多様化しています。それに伴い、複数のチャネルを連携させる「オムニチャネル」に対応したCSM(カスタマーサービスマネジメント)の重要性が高まってきました。 オムニチャネル対応のCSMを実現し、顧客満足度の向上や競争力の強化、業務効率化によるコスト削減などを成功させるには、各チャネルを一元的に管理できるシステムの導入がカギとなります。 そこで本記事ではServiceNowの製品を例にとり、オムニチャネル対応のCSMの強み、ServiceNow CSMによるオムニチャネル対応機能とその活用事例を紹介します。自社の課題解決にお役立て下さい。オムニチャネル対応のCSMを支えるServiceNowの特長と強み ServiceNowは、2024年にGartner社が発表した「CRM Customer Engagement Center Magic Quadrant」において、リーダー企業の1社に位置づけられました。ビジョンの完全性と実行能力が評価された結果であり、CSM領域でも注目されています。 このServiceNowの強みは、オムニチャネル対応のCSMを構築する際にも有効です。主な特長と活用について解説します。全てのチャネルを一元管理 オムニチャネル対応のCSMの基本は、全てのチャネルを統合して、どの接点でも一貫性のあるサービスを提供することにあります。 ServiceNowでは、統合型の構成管理データベース(CMDB)と連携することで、問い合わせがどの製品やサービスに関するものか、また顧客の利用状況や関連するシステム情報を把握できるようになります。これにより、担当者は顧客の背景を踏まえた適切な対応ができるため、チャネルを問わず一貫性のあるサービスを提供可能です。 その結果、単なる問い合わせ受付だけでなく、エンドツーエンドのカスタマーサービスプロセスを統合、自動化できます。顧客が企業と接触する最初の段階(問い合わせや購入前の相談)から、導入・運用時の問題解決やサポート、さらにはアフターサービスや継続的な関係構築まで、一貫して管理できるのです。部署やシステムを横断したワークフローの連携 オムニチャネル対応のCSMを実現するには、部署やシステムを横断したワークフローが必要です。情報のサイロ化や重複作業を防がなければ、オムニチャネルは企業の大きな負担となりかねません。 ServiceNowはフロント、ミドル、バックオフィスをシームレスにつなぎ、社内のプロセスを最適化するワークフローの統合が可能です。グループウエア(社内向けの情報共有ツール)と違い、社外のクラウドサービスやシステムとも連携できます。さらに、ローコード開発が可能な「App Engine」により、独自の業務アプリも効率的に作成できます。 これにより、オムニチャネルCSMにおける複雑なオペレーションを迅速化し、顧客対応の質を向上できます。AIエージェントによる解決の自動化 オムニチャネル対応のCSMでは、顧客との接点が増えるだけでなく、相互に関連付ける必要があるため、人的リソースの不足に陥りがちです。 ServiceNowのプラットフォームでは、AIエージェントが提供されています。AIエージェントは高度な文脈理解能力が特長です。カスタマーサービス管理(CSM)やフィールドサービス管理(FSM)、ITサービスマネジメント(ITSM)、セールスと注文管理(SOM)など、幅広い領域において業務を自動化し、担当者の負担を軽減します。業界別ソリューションの提供 オムニチャネル対応のCSMは、業界ごとに業務プロセスや顧客接点、法規制が大きく異なるため、汎用的なシステムでは十分な効果が期待できません。かといって、自社開発を選べば、膨大な手間とコストがかかります。 ServiceNowは、製造、通信、医療、金融など、各業界向けに特化したワークフローを提供しています。導入とともにベストプラクティスを反映できるため、短期間での業務改善が可能です。ServiceNow CSMによるオムニチャネル対応機能と活用事例 ServiceNow CSMは、ServiceNowのクラウド型プラットフォームに組み込まれたカスタマーサービス管理(CSM)ソリューションです。オムニチャネル対応のCSMを実現するうえで、中心的な役割を担います。 ここでは、ServiceNow CSMの中でも、特にオムニチャネル対応に直結する機能とその活用事例を紹介します。1.メッセージングアプリ 機能紹介ServiceNow CSMは、メッセージングアプリの問い合わせ窓口をひとつにまとめ、業務の効率化を支援します。対応可能なメッセージングアプリは、WhatsApp、LINE、Facebook Messenger、Google Business Messages、Apple Messages for Businessなど、多岐にわたります。 顧客は、カスタマーサービスポータルでのチャットや、各種メッセージングアプリ、メール、電話など、好みのチャネルから問い合わせが可能です。さらに、どのチャネルからアクセスしても、顧客情報や問い合わせ履歴、担当者、関連資料などをまとめた「ケース」単位で一元的に管理できます。 事例オムニチャネルでは、LINE、WhatsApp、Facebook Messengerなど、顧客が複数のアプリを通じて問い合わせを行うため、履歴が分散しやすい面があります。その結果、対応の漏れや遅れ、重複対応による顧客の不満が生じがちです。 このような課題の解決には、ServiceNow CSMのメッセージングアプリを統合する機能の活用が有効です。問い合わせを全て「ケース画面」に集約し、履歴を一元化できます。これにより、エージェントは過去の対応状況を即座に把握でき、より速く的確な顧客対応ができます。 結果として、オムニチャネルにおけるCSMの質が高まり、顧客満足度の向上につながります。 2.チャット機能(AI・有人)機能紹介ServiceNow CSMでは、AIチャットボットとライブエージェント(有人対応)を組み合わせ、迅速かつ効率的な顧客対応を実現できます。 AIチャットボットは24時間365日稼働が可能です。複雑な案件はAIからライブエージェントに自動的に引き継ぐことができ、必要に応じて、Zoomでリアルタイム対応も可能です。事例オムニチャネルへの対応に伴ってエージェントが常に多忙となり、簡単な質問にも対応せざるを得ない状況では、円滑な運営はできません。有人対応が必要な問い合わせに集中したい現場において、人的リソースの確保は大きな課題です。 ServiceNow CSMでは、AIチャットボットを活用し、FAQ(よくある質問)対応を自動化。さらに、ナレッジ管理と連携し、過去の問い合わせデータをもとに適切な回答を柔軟に提示します。 顧客の自己解決の促進によって、例えば、サポートセンターにおけるあふれ呼や待ち呼の課題解消につながります。また、AIが対応できない複雑な質問のみライブエージェント(有人)で対応するため、限られた人員でも顧客対応の質を向上できます。3.メールチャネルの支援機能機能紹介ServiceNow CSMでは、依然として重要なチャネルであるメールの対応を効率化できます。 ServiceNow CSMが顧客からのメールを受信すると、新しいケース(問い合わせ記録)が自動で作成されます。そして、エージェントがケースを更新した際は、自動で顧客にメール通知され、進捗状況をリアルタイムで共有できるため、煩雑な手動メールを減らせます。 また、通知メールに対して顧客が「承認」や「却下」のリンクを押すだけで、次のアクションに進める機能は、双方向のやり取りを効率化するのに効果的です。ケースが完了した際には、顧客満足度サーベイ(アンケート)の案内メールを自動で送るといったフローも作成可能です。4.CTI(コンピュータ電話統合)機能紹介CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピュータシステムをつなぎ、顧客対応をシステム上で管理する仕組みです。顧客情報の自動表示や通話記録の一元化により、電話対応の効率を高められます。 ServiceNow CSMはCTIに対応しています。OpenFrame機能により、通話中にシステム上で発信、着信、転送、ミュートなどの操作が可能です。また、Twilio Voiceなどの通話システムとも連携し、ケース管理や他チャネルとの連携を強化できます。事例サポートセンターのオペレーターが、顧客情報を手作業で探しながら対応していると、電話応対がスムーズに進みません。例えば、他のチャネルで既に顧客情報を登録しているにもかかわらず、電話で再度同じ内容を聞かれると、顧客は不満を持つでしょう。 ServiceNow CSMは、CTIを活用し、電話の着信と同時に顧客情報をリアルタイムで表示できます。オペレーターはすばやく顧客の情報を確認し、スムーズな対応が可能です。さらに、ServiceNowの機能であるOpenFrameにより、メールやチャットなど電話以外のチャネルの問い合わせ履歴もすぐに確認できます。 その結果、電話対応のスピードと質が大きく向上します。また、顧客側も同じ内容を何度も伝える必要がなくなり、ストレスが減るため、顧客満足度の向上が期待できます。ServiceNowで実現する新時代のオムニチャネル対応のCSM ServiceNowとServiceNow CSMを活用すると、オムニチャネルに対応した高度なCSMを実現できます。オムニチャネル特有の複雑な顧客対応と業務負荷の増大を避けながら、カスタマーエクスペリエンスの向上や顧客ロイヤルティの強化などの目標を達成できます。 興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談下さい。