
ITIL(アイティル): ServiceNow/ITSMを理解するための重要ワード
ITSM(ITサービスマネジメント)の土台であるITILは、ServiceNowのITSMを理解するために重要なキーワードです。ここではITILとは何か、つまりITサービスマネジメントに必要な検討項目やそのプロセスについて解説します。ITILとその目的-ServiceNow / ITSMとの関係とはITIL(アイティル)とは、Information Technology Infrastructure Libraryの略で、ITサービスマネジメントの数々の成功事例をもとに概念化された、ITサービスマネジメントのプロセスや手法などを含むフレームワークのことです。ITILは、ServiceNowの製品群全体に関わるものでもあり、ServiceNow製品群のひとつである「ITSM」にも深く関係しています。では、ITILとは何かについてご説明していきましょう。ITILが登場した背景と最新版1989年、英国商務省によってITILの初版(V1)が発行されました。それは当時のITサービスプロバイダに向けて示された、ITサービス提供改善のためのスタンダードでした。その後、ITサービスの利用が拡大する中で重要性を増してきたITILは、V2、V3と改訂が重ねられ、2019年2月には最新版のV4が公開されました。現在は、1991年に英国で設立されたitSMF(IT Service Management Forum)という団体がITILの普及と活用促進を担っており、日本でも日本語によるITILの認定試験が行われています。サービスライフサイクルに沿った5つのフェーズITILでは、ITサービスマネジメントを、サービスストラテジ、サービスデザイン、サービストランジション、サービスオペレーション、継続的なサービス改善という5つのフェーズに分けて管理します。それぞれを詳しく見てみましょう。サービスストラテジサービスストラテジ(サービス戦略)のフェーズでは、企業の経営戦略に基づき、どのようにITサービスストラテジを立案するかが示されています。その際に重要なのは、サービスプロバイダが、顧客にとって効果的かつ効率的なサービスマネジメントをどのように構築するかです。具体的には、戦略立案時に不可欠な視点とそのプロセスといえます。具体的には、以下の5つです。 IT戦略サービス管理 サービスポートフォリオ管理 ITサービス財務管理 需要管理 事業関係管理IT戦略サービス管理では、市場調査の結果から競合他社に対する自社の強みを整理し、優れたサービスにするために必要な項目を検討します。 サービスポートフォリオ管理は、設計しようとするITサービスが事業目標の達成に貢献するかを確認するプロセスです。投資と予測される成果のバランスを調整します。 そして、ITサービス設計と運用の予実管理が、ITサービス財務管理。需要管理は、顧客の需要や自社サービス供給のキャパシティを予測し変化に備えるプロセスで、事業関係管理では、顧客が支払う対価に見合う価値を提供できるようにします。サービスデザインサービスデザイン(サービス設計)では、サービスストラテジに基づき、サービスを設計する際に不可欠となる、次の項目やプロセスが示されています。ITサービスの品質や顧客満足度、費用対効果などを考慮しながら、戦略を実現するサービスを組み立てていくことが重要です。 デザインコーディネーション サービスカタログ管理 サービスレベル管理 可用性管理 キャパシティ管理 ITサービス継続性管理 情報セキュリティ管理 サプライヤー管理これらを考えるには、ITサービスの品質や顧客満足度、費用対効果などを考慮しながら、戦略を実現するサービスを組み立てていくことが重要です。変化する顧客ニーズに対応しうるシステムとしての柔軟性や継続性、セキュリティ対策に加えて、システムに欠かせない機器や技術を提供するサプライヤー管理なども必須になります。また、完成時に加味する将来性も検討しておかなければなりません。このフェーズでは、顧客にとってのITサービスの導入しやすさも重要な課題です。サービストランジションサービストランジション(サービス移行)は、設計したITサービスを運用開始に導くための計画を立てたり、準備を整えたりするフェーズです。サービスストラテジに沿ってデザインされたITサービスを現実のものとするためのプロセスには、次のような項目があります。 移行の計画立案およびサポート 変更管理 サービス資産および構成管理 リソースおよび展開管理 サービスの妥当性確認およびテスト 変更評価 ナレッジ管理ここでポイントになるのは、設計されたITサービスをいかにスムーズに構築するかです。具体的には、実現に必要なリソースの手配や配分、調整、運用開始までのスケジューリング、機能のパフォーマンステスト、測定、変更の反映などがあります。 提供しようとするITサービスが目的から外れていないか、顧客からの要求を満たしているかなどを検証し、変更を加えることも必要です。サービスオペレーションサービスオペレーション(サービス運用)とは、顧客との合意(契約)に基づいたレベルでITサービスを提供し続けることを意味します。次のような機能が実施され、適切に管理されているかがポイントです。 イベント管理 インシデント管理 要求実現 問題管理 アクセス管理顧客が実際にITサービスを利用し始めたら、サービスの品質についての定期的な調査や確認が欠かせません。何か問題があれば迅速に解決するなど、品質に対する満足度や信頼感を継続させることが重要だといえます。 サービス中断時や何らかの理由でサービス品質が低下した場合、どのように対処するか、顧客とサービスプロバイダ間で事前に役割分担を取り決めておくケースも増えています。継続的サービス改善ここまでに取り上げた4つのフェーズでPDCAを回し、顧客満足度を高めていくことが継続的サービス改善の目的です。このフェーズでは、ITサービスマネジメントのサイクル全体を通じて、ITサービスの改善を継続的に行うためのプロセスが取り上げられます。改善の7つのステップは、次の通りです。 測定対象の識別 測定の対象の定義 データの収集 データの処理 データの分析 情報の提示と利用 改善の実施日々刻々と変わるビジネスニーズの中では、ITサービスに対する顧客の要求も変化します。そえゆえ、改善活等は場当たり的なものであってはなりません。このようなITILの基準に従って設計されているのが、ServiceNowのITSMです。ServiceNowでは、ITSMをはじめとしたNow Platform上に構成される製品群を、必要なときに契約することで必要な機能を利用できるようにします。ITILを支える4つのP ここで取り上げたITILのすべてのプロセスにおいて、顧客に価値あるITサービスを提供するために4つのPを考え合わせることが不可欠です。 People(ピープル):人材や組織 Process(プロセス): 業務の過程や手順 Partner(パートナー): ベンダーやサプライヤー Product(プロダクト):製品や技術設計したITサービスがいくら高度な技術やサービスを備えたものであっても、高度過ぎて使われないようでは意味がありません。顧客の課題解決に役立つものとなるようにしましょう。ITSMの理解を深めるために不可欠なITILServiceNowのITSMは、10年を超えるITサービスのベストプラクティスが凝縮されています。効率的かつ効果的なITサービスの提供と継続的な改善を実現するため、クラウドベースの統一されたデータベースを採用し、サイロ化したレガシーシステムの統合や将来的な機能拡張に備えることが可能です。ITSMは、ITILの標準を満たすITサービスマネジメントを実現しています。ご不明な点などは、ServiceNowのパートナーである株式会社DTSにお問い合わせください。