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ITSMとは? Service Nowを代表するサービスの概要

ITSMとは? ServiceNowを代表するサービスの概要

ITSM(ITサービスマネジメント)とは、企業がビジネスの価値を最大化するために利用する大切なアプローチです。IT化が進む現代社会においてITSMは必須ともいえます。しかし、ITSMは理解するのが難しく、導入でつまずく企業も珍しくありません。そこで今回は、ITSM導入のメリットや導入の際の注意点についてわかりやすく説明します。また、ServiceNowの代表的製品であるITSMについても併せて紹介します。ITSM(ITサービスマネジメント)とは? ITSMの具体的な業務は、ITサービスを実装するまでの戦略をねったり、どうやったらうまく機能するか設計したり、ITサービスの運用、管理、改善、などの複数のプロセスから成り立ちます。その中でもITSMの運用のフローが最も重要視されており、運用の中にも「インシデント管理」「問題管理」「変更管理」といった機能が細かく分類されています。 例えば、インシデント管理は、システムに問題が発生したときに対処出来るよう、発生した問題を記録し、解決策となる方法を管理する機能です。そして、システムに問題が発生したときに、「根本的な問題は何か」を記録し、解決策を特定するのが問題管理です。さらに、問題発生や仕様変更に伴うサービスのシステム変更のリスク管理を行うのが変更管理となります。ITSMを導入するメリットは?ITSMの基本を適切に抑えていれば次の3つのメリットが得られます。1つ目は「サービスの品質向上」です。適切なITサービスの導入と運用ができていれば、高い品質のサービスを提供することができます。さらに、再現性の高いフローを構築できれば、サービスの品質を高いレベルで維持できます。2つ目は、「顧客またはユーザーの満足度の向上」です。サービスの質が上がれば、おのずと顧客とユーザーの満足度も向上します。3つ目が「コストの削減」です。質の高いサービスを維持することで、メンテナンスや見直しの機会も減り、コストの削減に貢献します。ITSMとITOMの違いITSMと似た言葉に「ITOM」があります。ITOMは「ITオペレーションマネジメント」の略称で、その名の通りオペレーション(作業・取り組み)のことを指します。わかりやすく目的の違いを説明すると、ITSMが顧客の満足度やサービスの向上を目的としているのに対し、ITOMはシステム運用の向上が目的です。つまり、ITSM(顧客へのサービス)を適切に実施するためには、適切なITOM(システム運用)が必要となります。似た言葉で意味を間違いやすいので注意しましょう。ITSMツールと利用方法 ITSMを実施するには、ITSMツールを導入する必要があります。ここではITSMツールの基本性能や導入の際のポイントを解説します。ITSMツールの基本機能と導入コストITSMツールとは、ITSMを効率的かつ適切に運用するために用いるツールです。ツールの基本機能として、インシデント管理、問題管理、変更管理などが挙げられます。導入コストは、ツールの種類や規模、搭載している機能によって大きく異なります。そのため、まずは自社の使用目的を洗い出し、予算に合ったツールを選択することが大切です。また、ここで重要なのが、ITSMには大きく分けて2つのタイプが存在するということです。それぞれのメリットとデメリットを踏まえてご紹介します。 一方は、万能タイプのITSMツールです。基本機能はもちろんのこと、マネジメントに必要な機能を多数揃えているため、将来的に他部署で追加機能が必要となった場合に対応しやすくなっています。 ServiceNowのサービスはまさにこれに当たるでしょう。ServiceNowは、ベンチャー企業から大手企業まで、多くの企業に選ばれています。その理由となっているのが、システムの柔軟性です。柔軟性とは、「自社のサービスの仕様に合わせて」「自社の顧客層に合わせて」「自社のツールに合わせて」と、ITサービスの仕様をカスタマイズできることを指します。一言にITサービスといっても、使っている仕様は様々です。そのため、「この機能を少し自社仕様に合わせたい」という要望を叶えられるシステムの柔軟性は欠かせない物となっています。 もう一方は、「機能特化タイプ」です。顧客管理や文章管理など、特定の情報の管理に特化したものや、FAQツールやチャットボットなど、受付対応に特化したサービスなどが挙げられます。機能特化タイプは、低コストで目的を達成できることがメリットです。自社が必要な機能が明確に絞られている場合は機能特化タイプを導入しましょう。ITSMツール導入の際のポイントここでは、ITSMツールを導入する際のポイントを記載します。 目標の明確化ITSMツールを導入する際、最初に気をつけるべきポイントは「目標の明確化」です。現状の改善点を明確にし、ITSMを導入する目的と得たい結果は何なのかを考えることが重要です。ついつい、ツールを導入することが目的になりがちですが、それは大きな間違いです。たしかに、ITSMを導入するためにツールを使用することは近道ですが、それで全てが解決するわけではありません。そのためには、顧客またはサービスに関わるユーザーが、最も使用しやすいITサービスを提供することを意識しましょう。これにより、導入の際の方向性が決まり、目標達成への道のりも明確になります。 ITSMへの理解ITSMへの理解が浅いと、「まずはIT化してみよう」と先を急ぎ、ITSMツールを導入したのに、サービスの部分的なIT化で終わってしまうことがあります。また、部門間での理解度に差があれば、導入まではうまくいっても、運用や管理、改善の際に情報共有がうまく行かず問題となります。ITSMをうまく機能させるためには、導入する目標が何であり、どのような効果を期待しているのかを全員が理解していることが必要です。そして、企業の規模が大きければ大きいほど、企業全体へITSMの理解を浸透させることは難しくなります。そのため、ITSMの導入は、組織全体に与える影響を加味し、導入範囲を決定することが大切です。初期費用や適応するまでの時間、人的コストは、企業の規模や目標によって異なります。一部門の決定で事を進めるのではなく、導入に関わる部署全体から理解を得た上で、段階的に実施を進める必要があるでしょう。 適切なITSMツール選択複数あるITSMツールの中から自社に合ったものを選ぶことはきっと難しいはず。ITSMツールは、それぞれ特性や機能が異なるため、前述した目標設定やITSMへの理解がない場合、適切な選択は出来ません。まずは、「自社の既存システムに適合するか」が注意するべきポイントのひとつです。 外部委託のメリットITSMの導入までに時間をかけすぎることは理想とは言えません。導入からの費用対効果を考えると、まずはスピーディーに導入し、PDCAを回すことがITSMの効果を最大限に生み出すことになるからです。素早く社内に合ったITSMを活用するのであれば、外部委託も視野に入れましょう。また外部委託のメリットは、ツール選択に悩んだ際にも有効です。ツール選択の際、よく陥りがちなのが「多機能であること」を選択基準に入れてしまうことです。たしかに多機能であることは、サービスの質を上げるために重要ですが、目標によっては過剰な機能を含んでいる可能性もあります。本当に自社に必要な機能は何なのかを考えた上でツールを選択することが必要です。自社が、機能特化タイプで済む事業なのか、それとも将来的に多機能タイプを導入したほうが良いのか、自社のみで判断が出来ない場合は、外部の意見を取り入れてみましょう。まとめ今回は、ITSMがビジネスレベルを最大化するためにいかに重要な考え方であるかを説明しました。そして、ITSMを導入するうえでのITSMツールの必要性についてもわかっていただけたかと思います。もし、自社のサービスがシンプルでツール選択が明白な場合は、機能特化タイプのツールの導入がスムーズに行えます。しかし、自社の事業展開が不明瞭であったり、事業数の多い大手企業の場合は、ServiceNowのような多機能タイプを選択することがおすすめです。DTSは、ServiceNowのパートナーとして、これからも役立つ情報を発信してまいります。

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ITIL(アイティル): ServiceNow/ITSMを理解するための重要ワード

ITIL(アイティル): ServiceNow/ITSMを理解するための重要ワード

ITSM(ITサービスマネジメント)の土台であるITILは、ServiceNowのITSMを理解するために重要なキーワードです。ここではITILとは何か、つまりITサービスマネジメントに必要な検討項目やそのプロセスについて解説します。ITILとその目的-ServiceNow / ITSMとの関係とはITIL(アイティル)とは、Information Technology Infrastructure Libraryの略で、ITサービスマネジメントの数々の成功事例をもとに概念化された、ITサービスマネジメントのプロセスや手法などを含むフレームワークのことです。ITILは、ServiceNowの製品群全体に関わるものでもあり、ServiceNow製品群のひとつである「ITSM」にも深く関係しています。では、ITILとは何かについてご説明していきましょう。ITILが登場した背景と最新版1989年、英国商務省によってITILの初版(V1)が発行されました。それは当時のITサービスプロバイダに向けて示された、ITサービス提供改善のためのスタンダードでした。その後、ITサービスの利用が拡大する中で重要性を増してきたITILは、V2、V3と改訂が重ねられ、2019年2月には最新版のV4が公開されました。現在は、1991年に英国で設立されたitSMF(IT Service Management Forum)という団体がITILの普及と活用促進を担っており、日本でも日本語によるITILの認定試験が行われています。サービスライフサイクルに沿った5つのフェーズITILでは、ITサービスマネジメントを、サービスストラテジ、サービスデザイン、サービストランジション、サービスオペレーション、継続的なサービス改善という5つのフェーズに分けて管理します。それぞれを詳しく見てみましょう。サービスストラテジサービスストラテジ(サービス戦略)のフェーズでは、企業の経営戦略に基づき、どのようにITサービスストラテジを立案するかが示されています。その際に重要なのは、サービスプロバイダが、顧客にとって効果的かつ効率的なサービスマネジメントをどのように構築するかです。具体的には、戦略立案時に不可欠な視点とそのプロセスといえます。具体的には、以下の5つです。 IT戦略サービス管理 サービスポートフォリオ管理 ITサービス財務管理 需要管理 事業関係管理IT戦略サービス管理では、市場調査の結果から競合他社に対する自社の強みを整理し、優れたサービスにするために必要な項目を検討します。 サービスポートフォリオ管理は、設計しようとするITサービスが事業目標の達成に貢献するかを確認するプロセスです。投資と予測される成果のバランスを調整します。 そして、ITサービス設計と運用の予実管理が、ITサービス財務管理。需要管理は、顧客の需要や自社サービス供給のキャパシティを予測し変化に備えるプロセスで、事業関係管理では、顧客が支払う対価に見合う価値を提供できるようにします。サービスデザインサービスデザイン(サービス設計)では、サービスストラテジに基づき、サービスを設計する際に不可欠となる、次の項目やプロセスが示されています。ITサービスの品質や顧客満足度、費用対効果などを考慮しながら、戦略を実現するサービスを組み立てていくことが重要です。 デザインコーディネーション サービスカタログ管理 サービスレベル管理 可用性管理 キャパシティ管理 ITサービス継続性管理 情報セキュリティ管理 サプライヤー管理これらを考えるには、ITサービスの品質や顧客満足度、費用対効果などを考慮しながら、戦略を実現するサービスを組み立てていくことが重要です。変化する顧客ニーズに対応しうるシステムとしての柔軟性や継続性、セキュリティ対策に加えて、システムに欠かせない機器や技術を提供するサプライヤー管理なども必須になります。また、完成時に加味する将来性も検討しておかなければなりません。このフェーズでは、顧客にとってのITサービスの導入しやすさも重要な課題です。サービストランジションサービストランジション(サービス移行)は、設計したITサービスを運用開始に導くための計画を立てたり、準備を整えたりするフェーズです。サービスストラテジに沿ってデザインされたITサービスを現実のものとするためのプロセスには、次のような項目があります。 移行の計画立案およびサポート 変更管理 サービス資産および構成管理 リソースおよび展開管理 サービスの妥当性確認およびテスト 変更評価 ナレッジ管理ここでポイントになるのは、設計されたITサービスをいかにスムーズに構築するかです。具体的には、実現に必要なリソースの手配や配分、調整、運用開始までのスケジューリング、機能のパフォーマンステスト、測定、変更の反映などがあります。 提供しようとするITサービスが目的から外れていないか、顧客からの要求を満たしているかなどを検証し、変更を加えることも必要です。サービスオペレーションサービスオペレーション(サービス運用)とは、顧客との合意(契約)に基づいたレベルでITサービスを提供し続けることを意味します。次のような機能が実施され、適切に管理されているかがポイントです。 イベント管理 インシデント管理 要求実現 問題管理 アクセス管理顧客が実際にITサービスを利用し始めたら、サービスの品質についての定期的な調査や確認が欠かせません。何か問題があれば迅速に解決するなど、品質に対する満足度や信頼感を継続させることが重要だといえます。 サービス中断時や何らかの理由でサービス品質が低下した場合、どのように対処するか、顧客とサービスプロバイダ間で事前に役割分担を取り決めておくケースも増えています。継続的サービス改善ここまでに取り上げた4つのフェーズでPDCAを回し、顧客満足度を高めていくことが継続的サービス改善の目的です。このフェーズでは、ITサービスマネジメントのサイクル全体を通じて、ITサービスの改善を継続的に行うためのプロセスが取り上げられます。改善の7つのステップは、次の通りです。 測定対象の識別 測定の対象の定義 データの収集 データの処理 データの分析 情報の提示と利用 改善の実施日々刻々と変わるビジネスニーズの中では、ITサービスに対する顧客の要求も変化します。そえゆえ、改善活等は場当たり的なものであってはなりません。このようなITILの基準に従って設計されているのが、ServiceNowのITSMです。ServiceNowでは、ITSMをはじめとしたNow Platform上に構成される製品群を、必要なときに契約することで必要な機能を利用できるようにします。ITILを支える4つのP ここで取り上げたITILのすべてのプロセスにおいて、顧客に価値あるITサービスを提供するために4つのPを考え合わせることが不可欠です。 People(ピープル):人材や組織 Process(プロセス): 業務の過程や手順 Partner(パートナー): ベンダーやサプライヤー Product(プロダクト):製品や技術設計したITサービスがいくら高度な技術やサービスを備えたものであっても、高度過ぎて使われないようでは意味がありません。顧客の課題解決に役立つものとなるようにしましょう。ITSMの理解を深めるために不可欠なITILServiceNowのITSMは、10年を超えるITサービスのベストプラクティスが凝縮されています。効率的かつ効果的なITサービスの提供と継続的な改善を実現するため、クラウドベースの統一されたデータベースを採用し、サイロ化したレガシーシステムの統合や将来的な機能拡張に備えることが可能です。ITSMは、ITILの標準を満たすITサービスマネジメントを実現しています。ご不明な点などは、ServiceNowのパートナーである株式会社DTSにお問い合わせください。

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