ServiceNowで実現するカスタマーサポートのDX|CSM/FSMの活用事例と優位性
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせ対応、FAQやマニュアルの作成、顧客情報の管理、現場担当者との連携など多岐にわたります。 限られた人員で、顧客満足度の高いカスタマーサポートを実現するには、どう工夫すれば良いのでしょうか。 「ServiceNow」は、社内のあらゆる業務の効率化をサポートするプラットフォームです。ServiceNowでは、顧客対応を促進する「CSM(Customer Service Management)」と、現場担当者の適切な管理を実現する「FSM(Field Service Management)」を提供しています。 本記事では、カスタマーサポートのDXにおけるServiceNowの特徴、CSM/FSMの機能と活用法、ServiceNowならではの優位性について解説します。カスタマーサポートのDXにおけるServiceNowの必要性とは顧客接点の多様化が進み、スピーディーな対応が強く求められる現在、カスタマーサポートの在り方は、企業の業績を左右する重要な要素となっています。 カスタマーサポートのDXを推進するには、包括的なソリューションの導入が不可欠です。ここでは、従来のカスタマーサポートの課題と、ServiceNow導入で期待できる効果について解説します。従来の方法によるカスタマーサポートが抱える課題従来の方法によるカスタマーサポートで問題になりやすいのは、問い合わせ対応の遅延が発生しやすい点です。この問題は、顧客情報が共有されず特定の担当者しか対応できないことが原因でよく起こります。 また、マルチチャネルやオムニチャネルを採用している企業に多いのは、サポート業務の負担が増加し、人的リソースが不足してしまう問題です。これらの問題が改善されなければ、顧客満足度が低下し、企業の競争力も失われてしまいかねません。ServiceNow導入で改善されるカスタマーサポートのワークフローServiceNowは、社内外のあらゆる業務をクラウド上で管理・効率化できるプラットフォームです。部署やシステムの垣根を超えたシームレスな情報共有とワークフローの統合を図れます。 多様なチャネルの問い合わせ管理を一元化できるため、迅速なカスタマーサポートが可能です。データ共有と情報資産の活用が進むため、組織のサイロ化や属人化の問題を解決できます。 また、AIによる顧客の自己解決促進や、ワークフローの自動化による人的リソースの最適化により、人員不足による顧客対応の質低下を防げます。ServiceNow CSM/FSMによるカスタマーサポート向上の実現イメージ CSM(Customer Service Management)とは、企業が顧客からの問い合わせや依頼に対応し、適切に問題を解決する業務全般です。また、FSM(Field Service Management)は、現場で活動する担当者や技術者の作業を最適化する業務管理です。 ServiceNowでは、顧客対応を支援するServiceNow CSMと、現場業務を効率化するServiceNow FSMを提供しています。これらはServiceNowプラットフォーム上で動作し、他のソリューションとも緊密に連携できる点が特徴です。 ここでは、カスタマーサポートのDXを支えるCSMとFSMの主な機能と活用例を紹介します。CSM(Customer Service Management)の機能と活用シーンまずは、ServiceNow CSMの7つの機能を活用シーンを交えながら紹介します。 CTIによるスムーズな顧客対応 チャットボット・AIによる問い合わせ自動化 問い合わせ管理ツールによるサポート業務の効率化 メール配信システムによる顧客フォローの最適化 CRMとの統合による顧客対応の強化 ナレッジベースの活用による自己解決率の向上 オムニチャネル対応による一貫性のあるカスタマーサポートの実現 自社の課題に応じて組み合わせることも可能です。 CTIによるスムーズな顧客対応CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピューターを連携させるシステムです。ServiceNow CSMでは、ServiceNowプラットフォームとスムーズに統合できる「OpenFrame」が提供されており、CTI環境を容易に構築できます。 電話着信と同時に、オペレーターの画面に顧客情報や過去の問い合わせ履歴などが即座に表示されるため、問い合わせ対応の品質やスピードを大きく改善できるでしょう。 また、メールやチャットなど他チャネルでの履歴も併せて確認できるため、担当者が入れ替わっても一貫性のある対応が可能となります。顧客が同じ説明を繰り返すストレスがなくなるため、顧客体験(CX)向上にも効果的です。 チャットボット・AIによる問い合わせ自動化ServiceNow CSMのAIチャットボットは、顧客からの問い合わせに対して自動で応答するAI搭載の対話型システムです。問い合わせ内容をもとに、関連するナレッジやFAQを即座に提示して自己解決を促進できます。 また、AIが解決できない質問があった際は、オペレーターに自動で引き継ぐ機能も備えています。これにより、顧客の利便性向上と自社の業務負担軽減の両立が可能です。 問い合わせ管理ツールによるサポート業務の効率化ServiceNow CSMには、ケースマネジメントシステムが備わっており、顧客からの問い合わせや対応履歴を「ケース」として一元管理できることが特徴です。 各ケースには、対応状況、進捗、過去のやり取りが全てひもづき、リアルタイムで可視化されるため、対応漏れや遅延を防止できます。 また、類似案件のナレッジを即座に参照することで迅速かつ的確な対応を実現し、サポート品質の向上や業務の標準化、顧客満足度の向上に貢献します。 メール配信システムによる顧客フォローの最適化ServiceNow CSMでは、メールチャネルをケースマネジメントシステムに連携できます。例えば、顧客が問い合わせメールを送るだけで新規ケースが自動作成され、エージェントが対応を進めると、顧客に最新情報を自動通知する処理が可能です。 また、解決策の提案メール内に「承認」「却下」といった返信ボタンを設け、次のアクションを選択してもらう処理も行えます。手動でのメール対応を大幅に減らせるため、対応漏れや遅延を防ぎながら、きめ細やかな顧客フォローを実現したい場合に効果的です。 CRMとの統合による顧客対応の強化ServiceNow CSMは、CRM(顧客管理システム)と連携できるため、サポート担当者は顧客の購買履歴や問い合わせ履歴などをすぐに確認できます。顧客の属性や行動履歴に基づいたパーソナライズ対応もしやすくなるため、顧客満足度の向上を図ることも可能です。 CRMは主に営業・マーケティングデータの管理や事後対応を担うのに対し、CSMは顧客対応の現場での問い合わせや問題解決に特化しています。CRMの連携により、CRM単体ではカバーしきれない領域をCSMで補完でき、全社的な業務改革を実現できるのです。 ナレッジベースの活用による自己解決率の向上ServiceNow CSMでは、よくある質問や過去の問い合わせ対応、マニュアル、手順書などの情報を、誰でも簡単に検索・参照できるようにまとめたデータベースである「ナレッジベース」を構築できます。 これにより、カスタマーサポート業務の属人化を防ぎ、経験の浅い担当者でも迅速な対応が可能です。さらに、ナレッジベースはFAQとして顧客にも提供でき、自己解決を促すことで問い合わせ件数の削減や、顧客満足度の向上にもつながります。 オムニチャネル対応による一貫性のあるカスタマーサポートの実現ServiceNow CSMのオムニチャネル機能を利用すると、電話、メール、チャットなど、方法やデータ形式が異なる複数のチャネルへの問い合わせを一元管理でき、CSMの画面上から時系列で確認できます。 例えば、顧客がWebチャットで問い合わせた内容を、後日別の担当者が電話やメールで円滑に引き継いで対応することが可能です。顧客に好みのチャネルを利用してもらいながら、全てのチャネルで一貫性のあるカスタマーサポートを実現できます。FSM(Field Service Management)の機能と活用シーン続いて、ServiceNow FSMの機能と活用シーンを3つ紹介します。 フィールド作業のスケジュール最適化とリアルタイム管理 モバイル対応による現場業務の効率化 リモートサポートによる現場訪問回数の削減 いずれも、カスタマーサポートの質と業務効率を同時に改善できる点が特徴です。 フィールド作業のスケジュール最適化とリアルタイム管理ServiceNow FSMでは、担当者の現在位置やスキル、部品の在庫状況などを考慮して、現場作業(フィールドサービス)のスケジュールを自動で最適化する機能を提供しています。スケジュール調整や移動ルートの最適化によって、訪問時間やコストの削減、SLA(サービス品質基準)の遵守を支援します。 これらはリアルタイムのデータを取り入れて実施できるため、急な依頼やキャンセルにも柔軟に対応し、作業の効率を最大化できる点が特徴です。適切な技術者を最適なタイミングで派遣することで、初回対応での問題解決率を向上させる効果も期待できます。 モバイル対応による現場業務の効率化ServiceNow FSMはクラウド型のフィールドサービス管理ツールです。現場の担当者は、スマートフォンやタブレットからリアルタイムにシステムへアクセスし、作業の進捗や完了報告をその場で入力できます。 また、過去の対応履歴やマニュアルも現場で参照可能です。場所を問わずデータ更新や情報共有ができるため、業務の効率化と対応スピードの向上を図れます。 リモートサポートによる現場訪問回数の削減ServiceNow FSMは、外部システムやデバイスと連携することで、遠隔操作での機器の診断や、リモートでのソフトウエアの更新など、先進的なフィールドサービスマネジメントが可能です。 例えば、CareARなどの外部ARソリューションとServiceNowを連携することで、フィールド技術者や顧客とリアルタイムで映像を共有しながら問題解決を図れます。 リモートサポートを拡充すれば、不要な出張訪問を減らせるでしょう。また、新人技術者が現場で困った際に、ベテラン技術者がリモートで適切なフォローを行い、修理の質を向上させる体制を構築できます。 ServiceNowのカスタマーサポートの優位性|ITSM・ITOMとの連携も可能 ServiceNowでは、ITサービス管理(ITSM)、IT運用管理(ITOM)のソリューションも提供しています。CSMやFSMと組み合わせると、さらに高度でプロアクティブなカスタマーサポートを実現可能です。 例えば、顧客からシステムダウンの問い合わせを受けた際は、CSMからITSMのインシデント管理に自動でエスカレーションされます。IT部門は、ITSM上でインシデントを即時確認し、トラブルシューティングできます。 また、サーバーやネットワークの異常をITOMのイベント管理で検知した際には、FSMを通じてフィールドエンジニアを現場に派遣することも可能です。他社製品では、ITSMやCSM、ITOMなどが異なるベンダーのツール間で連携するケースが多く、API開発や個別カスタマイズが必要です。 一方、ServiceNowでは、各ソリューションがネーティブで連携可能で、全社一丸となったカスタマーサポート体制を構築できます。ServiceNow CSM/FSMで実現する先進的なカスタマーサポート顧客接点の多様化が進み、スピーディーな対応が求められる中、カスタマーサポートに課題を抱える企業は少なくありません。カスタマーサポートのDXを成功させるには、包括的なソリューションの導入が必須です。 ServiceNowは社内外のあらゆる業務をクラウド上で管理・効率化できるプラットフォームです。質の高い顧客対応を促進するServiceNow CSMと、現場業務を効率化するServiceNow FSMを提供しており、他のソリューションとの連携も可能です。 ご不明な点やご相談があれば、ぜひお気軽にDTSまでご相談ください。問い合わせフォーム