
【イベントレポート】 DTS若手エンジニアがHackathon 25でAIエージェントを利用したアプリケーション作成に挑戦

【要約】
- DTSの新人エンジニアを中心とするチームで ServiceNow社が主催する Hackathon 25予選にチャレンジしました。(予選通過の結果発表は9月18日)
- Hackathonのテーマは「Where the world puts AI to Work ~ AIエージェントをあなたのパートナーに~」
今回 チームDTSがServiceNow AI Platform上で作成したものは「議事ログ」。このアプリは「新人・若手」に割り振られる 「議事録に関わる課題」を「ServiceNow AIエージェントが解決する」アプリケーションです。 - 新人は7月に配属されServiceNowの学習を行っています。新人エンジニアにとってチームでのServiceNowアプリケーション開発は初体験。Hackathonの取り組みを通してチームで力を合わせてアプリケーションを作成する、いわゆる「モノづくりの大変さ、楽しさ」を実感する場となりました。
本コラムでは2年次の先輩社員である三澤社員がリードして進めたHackathonプロジェクトについて、ServiceNow最難関資格CTA認定資格者である島貫がレポートさせていただきます。
【対象読者】
- ServiceNow Hackathonに興味がある方
- ServiceNowのアプリ開発、AI Agent作成に興味がある方
- ServiceNow技術者の育成に興味がある方
- チームDTSが作成した「議事ログ」に興味のある方
【メンバー紹介】
「わくわくHackathon25を実行する縁会」のメンバーです。
※毎月実施されるDTSのServiceNow推進担当内のイベント(飲み会やレク)の総称をわく縁と呼んでおり、今回はHackathon参加をわく縁として実施しました。
DTSの新人5名(+社内異動1名)はServiceNow推進担当に7月配属され、配属後からServiceNowの学習をしてきました。具体的にはServiceNow RiseUp One Stop Shop(*1)に記載のあるTACOラーニングパスでServiceNow ITSMの構築エンジニアのキャリアパスでの学習をしています。
勉強だけでは、すべてを知ることができない(*2)ため、2025年度は経験の場としてHackathon25に参加し、実際のプロジェクトを体感、経験をしていくことになりました。
*1 ServiceNowトレーニング日本語情報サイト | ServiceNow
*2 ServiceNowのコンピテンスを習得し、高めるために – ServiceNow Community
【スケジュール概要】
7月24日 | Hackathon 25の募集要項を受領、参加メンバー検討 |
8月1日 | Hackathon25申し込み(エントリー) |
8月8日 | エントリー受領連絡、チーム内スケジュール確定 |
8月13日 | チーム内でHackathonテーマ選定開始 (学習と並行) |
8月18日 | Hackathon開始(インスタンス払い出し) |
【Sprint 1 : AI学習とインスタンス初期設定】8月18日~8月21日 | |
【Sprint 2 : AIエージェント】8月22日~8月27日 | |
【Sprint 3 : 外部統合、結合】8月28日~9月2日 | |
9月3日 | Hackathon25成果物提出 |
【アプリケーション名:議事ログ】
今回、チームが作成・提案したアプリケーションは「議事ログ」です。
配属後に若手・新人が抱える議事録に関わる「作成」「周知」「課題管理」に関する課題をServiceNow AIエージェントが調整し、さらに「ビジュアル化」を行うことで会議に参加していない担当者や、社内勉強会などの社内共有を活性化させる。AIエージェントを「若手・新人」のパートナーにすることを目的としています。
テーマ選定 (8/13~8/15)
エントリー受付受領完了メール後からインスタンス払い出しまでの間がテーマ選定期間となります。
この時期 新人はServiceNowの認定資格試験に向けた対策の真っ最中でした。空き時間を見繕ってHackathonプロジェクトのキックオフを行い、それぞれが気になる課題のテーマ選定および解決のアイデアを出すような取り組みを行います。
集まったテーマは5つ、それぞれに対して課題を深堀りして必要なソリューション、機能を探っていきます。
# | テーマ |
---|---|
1 | 議事録の管理 |
2 | フードロス |
3 | 空き家問題 |
4 | 社内コミュニケーション改善 |
5 | 健康経営 |
ここで利用したのは、デザイン思考フレームワーク。ServiceNow社のHackathonサイト(*3)にある参考資料やDTS教育環境のUdemy for Business、および社内の新規事業開発のナレッジを利用して「今、本当に答えを出すべき課題・ニーズを見極め」ていきます。
今回のチームで決定したのは、議事録の管理になります。
チーム内の選定基準としては2点、参画メンバーの力量と課題を持った人との距離です。具体的には、期限内でプロトタイプ完成の実現性があるか?と、実際にアプリを利用する現場との距離、フィードバックの即時性で選定をしました。
課題の深堀りをするにあたり、ServiceNowを使ってリアルな数値や困りごとについて収集や集計など実施しています。
調査の一例
クリック先の画面(サーベイで実装)
*3 ServiceNow ハッカソン2025オフィシャルサイト
Sprint 1 : インスタンス初期設定と学習、設計(8月18日~8月21日)
Hackathon環境のインスタンスが払い出された後は初期設定です。
Now CreateのPlatform Core(*4)の初期設定が必要ですが、既に一部のプラグインが入っており通常の個人開発環境(PDI環境)と異なりましたので、現状把握を行います。Hackathon環境では使いたくても使えなかったAI関係のアプリが多数入っておりましたのでいろいろと確認作業が多くなりました。(*5)
AIを使う上で確認すべき点としてデータ共有があります。こちらもHackathon環境でのチェックを行い、デモで利用できるデータについて確認しました。
*4 Now Create
*5 テクニカルな質問時の心得え | ServiceNow
今回はAI Agentの作成が必要なため、参加メンバーは学習を行ってから設計に入ります。AI Learning Dayのオンデマンド視聴(*6)、ServiceNow UniversityでのAI AgentのLab(*7)を学習後、設計に入ります。
*6 【オンデマンド視聴可能】ServiceNowのAIが一気に学べる充実の一日!AI Learning Daysご案内 | ServiceNow
*7 ServiceNow University AI Agent Administration
学習後は設計に入ります。ServiceNow Universityで学習したAI Agentの構造とLabの結果をもとに、今回作成する対象について、ユースケース、AIエージェントの構造を設計します。
例:Lab#2499のAI Agent構造
並行して、Hackathonインスタンスで、アジャイルチームの作成とスプリント計画、ストーリーを作成していきます。
今回 HackathonインスタンスではAgile Development(SPM)が導入されていましたので、管理ツールとして利用する方針としました。カンバン形式のVisual Task Boardによる進捗、担当の可視化。OOTBのスプリントダッシュボードで進捗確認が可能となりました。
Sprint 2 : AIエージェント(8月22日~8月27日)
Sprint2から2名合流(8月22日にCISの資格試験を実施)し6名体制で実行しました。
Sprint1での設計に対してServiceNowのAIエージェント構築の実施がスコープとなります。
Sprint2で入ってきたメンバーも学習タスクを完了後にペアを組み替えて開発に入ります。朝会、夕会でOOTBの機能で思ったように動かないなどの問い合わせが増えるようになり、試行錯誤しながらの実装を行っていました。
Sprint3: エージェント型ワークフローへ統合(8月28日~9月2日)
Sprint3で全員合流し7名体制になります。Sprint2までで未消化のストーリーの持ち越しが多くなってきましたが、開発のコツをつかんだようで生産性が上がってきていました。
ここではServiceNowだけではなく外部連携も加わります。
外部連携はOpenAIのgpt-image-1(*8)を利用しました。画像生成や動画生成といったAIについては、まだServiceNowでは実装されていない部分になり、今回、議事録を視覚的に理解する点を実装するため、OpenAIと連携しました。
いくつか外部連携の候補先がありましたが、弊社ではOpenAIと連携し生成AIを活用しお客様の業務改革を加速。生成AI技術の導入を通じて、お客様のデジタル変革と競争力強化を支援するアナウンスを会社としてリリースしております。(*9)こちらの方針で、連携先の選定を行いました。ServiceNowとOpenAIを連携させたソリューションの活性化や社内のOpenAI側のナレッジを使い機能のブラッシュアップを行いナレッジの蓄積や活用を行っていきます。
外部連携、機能統合のフェーズでは対面でのコミュニケーションを利用し、責任分界点を確認するなどコミュニケーションが活発になってチーム開発としてまとまり、デモが実施可能なプロトタイプについては9月2日に完成することができました。
*8 API プラットフォーム | OpenAI
*9 【DTS】OpenAIと連携し、生成AIでお客様の業務改革を加速 生成AI技術の導入を通じて、お客様のデジタル変革と競争力強化を支援
【まとめ】プロトタイプアプリを簡単に作成
8月18日からプロジェクトを開始し、2日程度のlab学習や初期設定を行ったため、約10日程度が実際の手を動かしてアプリを開発できた期間になります。
直接開発に関わる部分は主として新人および先輩の2年次社員が作成し、タスク管理は2年次社員が行いました。CTAの島貫は課題、要件の深堀りおよび外部リソース調整や発表資料、記事作成を担当しました。
今回、期間内にプロトタイプを完成できたことは、ServiceNowを使うと AIや他システム統合を含むアプリケーションについて、アイデアを形にすることが簡単できることを若手社員が経験できた貴重な場となりました。
この場を借りて、AIの使えるServiceNow環境を準備いただき、Hackathonを企画いただきましたServiceNow Japanの事務局の皆様に感謝申し上げます。また、2025年の新人教育プログラムを急遽変更いただきました、DTSのServiceNow推進 教育担当の柔軟な対応に御礼申し上げます。
今後、内部で振り返りを行い開発でできた点、できなかった点を明らかにして次のプロジェクトに生かしていきます。
(Hackathon参加の感想については後日、本ページにて追記します。)
終わりに
DTSは「DTSマネージドサービス for ServiceNow」において、「内製化を進めたいが、メンバーの育成が進まない」といったお客様の課題に対し、伴走支援のサービスを提供しております。
内製化には、今回のような経験が浅い担当への支援も含まれておりますので、ご興味のあるお客様についてはぜひお気軽にお問い合わせください。
また、DTSは2025年10月22日(水)、23日(木)に開催される「erviceNow World Forum Tokyo 2025」へ出展いたします。
ブースにはDTSのServiceNowの難関資格を持つエバンジェリストとスペシャリストがご案内します。DTSブースへのお立ち寄りを心よりお待ちしております!
DTSマネージドサービス for ServiceNow | ServiceNow®導入支援サービス
「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」に出展