クラウドサービスプロバイダーとは?種類や契約するメリットを解説

GmailやiCloudなど、個人の利用ではすでに身近に利用されているクラウドサービス。ビジネス環境では、社内システムの管理コストを削減できる可能性を秘めています。
本記事では、このクラウドサービスを提供するプロバイダーについて、その概要やメリット、国内で利用できる主要プロバイダーなどを紹介します。

クラウドサービスプロバイダー(CSP)の概要

クラウドサービスプロバイダー(CSP)は、データストレージや業務で使用するアプリケーション、社内ネットワークの構築などをインターネット経由で提供する企業です。つまり、これまでは社内に基幹を置く(オンプレミスでする)必要があったコンピューティングリソースを、サードパーティの企業からオンライン上にレンタルすることができます。

クラウドサービスプロバイダーと契約するメリット

クラウドサービスプロバイダーを契約するメリットは、以下の5点が主なものとして挙げられます。

⦁ システム管理コストの削減
⦁ スケーラビリティ(拡張性)の確保
⦁ 堅牢なセキュリティ信頼性
⦁ 業務効率・分析効率の向上
⦁ 柔軟な労働環境(モビリティ性)の構築

●システム管理コストの削減

クラウドサービスプロバイダーと契約をすると、業務に必要なさまざまなコンピューティングリソースをレンタルできるようになります。そのため、データサーバーやストレージ環境を自社で用意する必要がなくなり、システム管理における金銭的なコストを削減できます。なお、これらのリソースは不要なものを省き、必要なものだけを選びとって契約・導入することができるため、環境構築における先行投資も最小限に抑えることが可能です。

●スケーラビリティ(拡張性)の確保

たとえば、顧客情報を保存しておくストレージに容量面での不足が発生した場合、これまではHDDやSSDなど物理的な拡張が必要でした。しかし、クラウドサービスプロバイダーを利用すれば、契約プランを見直すだけで簡単に容量の拡張が可能です。このように、業務状況・規模の変化に応じて必要なリソースを迅速に拡張、または縮小できる点もメリットの1つです。

●堅牢なセキュリティ信頼性

顧客の情報を安全に守れるか――。その信頼性はクラウドサービスプロバイダーにおいてもっとも優先されるべき事項です。そのため、クラウドサービスプロバイダーとの契約により、社内管理よりも堅牢なセキュリティ環境の実現が期待できるでしょう。
ただし、どのような対策が取られているかはプロバイダーにより異なります。1つの目安となるのが導入実績で、多くの顧客に支持されているクラウドサービスプロバイダーがより信頼性が高いといえます。

●業務効率・分析効率の向上

クラウドサービスプロバイダーから提供されるサービスは、インターネットを経由しそれぞれをパソコンひとつで一元的に管理できるよう設計されています。そのため、システム管理に関わる各所を見回る必要がなくなり、業務効率の向上が望めます。
また、同様に必要なデータやリソースがクラウドに集約されるため、分析効率の向上にもつながります。

●柔軟な労働環境(モビリティ性)の構築

端末とインターネット環境さえあれば、場所や時間に縛られることなく、クラウドサービスプロバイダーが提供するリソースや管理データにアクセス可能です。つまり、外出先で顧客情報を参照したい場合や自宅でのテレワークなど、システム管理にとどまらず、多くの社員がそのメリットを享受できる柔軟な労働環境を、クラウドサービスプロバイダーとの契約ひとつで構築できるようになります。

クラウドサービスプロバイダーの3つの種類

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クラウドサービスプロバイダーには以下3つの種類があり、利用者の目的によって選択するべきプロバイダーが異なります。

⦁ IaaSプロバイダー(インフラストラクチャ)
⦁ PaaSプロバイダー(プラットフォーム)
⦁ SaaSプロバイダー(ソフトウェア)

●IaaSプロバイダー(インフラストラクチャ)

IaaSプロバイダーとは、コンピューティングリソースにおいてのハードウェアにあたる範囲を、オンデマンドで提供するクラウドサービスプロバイダーです。つまり、パソコンやデータサーバーをインターネット上に借りるイメージに近く、災害など物理的に生じる被害を回避できます。
後述する2つの種類と比べ、カスタマイズ性が高いというメリットがある反面、利用には高い専門知識が必要になるという特徴があります。

●PaaSプロバイダー(プラットフォーム)

PaaSプロバイダーとは、上記のIaaSプロバイダーと比べより広い範囲にあたるOSやミドルウェア、ランタイムまでを提供するクラウドサービスプロバイダーです。主にアプリケーション開発の目的に採用されることが多く、コードの記述やテスト実行など、開発に十分な環境が整っています。通常のオンプレミスでは、ハードウェアやミドルウェアを開発環境に合わせて設計する必要がありますが、PaaSプロバイダーと契約すればこのような事前の調整が必要ありません。

●SaaSプロバイダー(ソフトウェア)

SaaSプロバイダーとは、ソフトウェアとその動作環境をオンデマンドで提供するクラウドサービスプロバイダーです。つまり、機能としてはそのプロバイダーが提供するサービスの内容に限定されるため、特定の用途にしか使うことができません。
Googleが提供しているGmailやGoogleドキュメント、Microsoftが提供するOffice365などはSaaSに含まれる代表的なサービスであり、個人でも頻繁に利用されています。また、無償で提供されているサービスもあります。

クラウドサービスプロバイダー国内トップシェア5社

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最後に、国内でシェアトップ5を誇るクラウドサービスプロバイダーをご紹介します。

1: Amazon Web Service(AWS)
2: Microsoft Azure
3: FUJITSU Cloud Service
4: NTT(Smart Data Platform)
5: Google Cloud Platform(GCP)

1位: Amazon Web Service(AWS)

インターネット通販の最大手・Amazonが提供するサービスで、提供メニューの数は200を超え、あらゆるニーズに応えられます。また、個人、企業を始め主要政府機関でも採用されている実績を踏まえれば、サービスとしての安定性、セキュリティの堅牢性も安心できる要素と言えるでしょう。

2位: Microsoft Azure

OSであるWindowsやWord、Excelなどのオフィスソフトで有名なMicrosoftが提供しているサービスです。無料で利用できるものを含め55種類以上のサービスがあり、仮想デスクトップ環境やアプリケーションの開発・デモンストレーション環境など専門的な用途にも対応しています。

3位: FUJITSU Cloud Service

日本の電子機器メーカー、富士通が提供するサービスです。オリジナルのIaaSを提供しているだけではなく、本項で紹介しているAWS、Microsoft Azure、GCPなど他社サービスと連携したメニューが用意されており、複数のクラウドサービスプロバイダーを並行して活用したい場合にも十分対応できます。

4位: NTT(Smart Data Platform)

日本最大の通信企業グループであるNTTも、クラウドサービスを提供しています。クラウド環境を貸し出すだけでなく、データの収集や蓄積、管理分析までをカバーできる機能を備えているほか、オンプレミスに保管されているデータともスムーズに連携した活用が可能です。また、サポート体制も整っており、課題のヒアリングにも対応するほか、設計から相談しながら導入まで進められます。

5位: Google Cloud Platform(GCP)

インターネット検索サービス最大手のGoogleが提供するサービスです。メニューの内容がシンプルですが、ビッグデータ解析やAI開発、動画データの分析・検出などの専門性が高いものも用意されています。

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弊社DTSはクラウド、コンピューティングインフラに精通したスペシャリストが在籍するコンサルティング企業です。
そもそもの内容が複雑なうえ、種類も膨大なクラウドサービスとプロバイダーは、その選択も容易ではありません。自社に最適なクラウドサービスプロバイダー選びにお困りであれば、弊社DTSまでぜひお気軽にご相談ください。

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