システムリプレイスの進め方とは?
4つの移行方式と成功のポイント

システムリプレイスとは、コンピューターシステムやソフトウェアを従来のものから新しいものに入れ替えることを指します。IT技術が急速に進化する今、企業は業務課題の解決や、より良い事業展開を実現するために、定期的にシステムを見直し、リプレイスを行っていくことが重要です。 この記事では、システムリプレイスの進め方や移行方式、成功のポイントについて解説します。

システムリプレイスとは

リプレイス(replace)とは「取り替える・交換する」といった意味をもつ英単語。システムリプレイスとは、企業の古くなったITシステムを新しくすることです。デジタル技術の活用により、業務プロセスや社内の組織を改革していくDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる昨今、システムのリプレイスを進める企業は増えています。


●システムをリプレイスする目的・メリット

時代の変化に伴って、AIやビッグデータ、IoTといったさまざまなIT技術が誕生しています。システムリプレイスによってそうした技術を取り入れることで、業務効率化やコスト削減、業界標準への適応、セキュリティ強化といった事業課題の解決を推進できます。その結果、業界内での競争力強化や、社内の生産性、エンドユーザーの満足度の向上といったメリットを得られます。


●リプレイスとマイグレーションの違い

システムのリプレイスと似た意味をもつ言葉として、マイグレーションというキーワードがあります。
前述の通り「取り替える・交換する」ことを意味するリプレイスに対して、マイグレーションには「移動・移転・移住・乗換」という意味があります。つまり、システムマイグレーションは現行のシステムやデータをクラウドサービスなどを利用して新しい環境に移行すること。システムリプレイスはシステムマイグレーションに内包されるひとつの方法と言えます。


●システムリプレイスは「5年置き」が目安

新たなIT技術が生まれるなか、システムリプレイスのタイミングも悩みどころ。国税庁は、ソフトウエアの耐用年数について「5年」と言及しています。
この期間が過ぎると現行のシステムは新しい市場のニーズに対応できなくなる可能性があります。また、物理的なサーバーを使用するオンプレミス型のシステムの場合は設備の老朽化により性能が低下し、保守コストが増加する傾向があります。これらの理由から、システムリプレイスは「5年置き」に行うことが一般的に推奨されています。

システムリプレイスの進め方・4つの移行方式


システムリプレイスの進め方には、4つの移行方式があります。企業のシステムや予算などによって選択すべき方式が変わるため、まずは4つの方式について理解しておきましょう。


●一括移行方式(ビッグバン方式)

一括移行方式(ビッグバン方式)は、古いシステムを停止し、新しいシステムに一括して置き換える方式です。
この方法は、新システムの運用を事前にしっかりと整理して社内で共有しておけば、業務効率化やコストカットといったメリットを即座に教授でき、事業スピードを加速できるという利点があります。一方で、万が一、新しいシステムに問題があったり、導入段階では気づけない課題が発覚したりする可能性を考えると、リスクも大きい移行方法と言えます。
一括移行方式は、そもそも新旧システムの共存が難しい場合や、事業内容そのものを見直す場合などに適しています。また、小規模な企業でシステム全体がシンプルであったり、中規模の企業でシステムが非常に古く、新システムに一気に移行したいケースで有効な方法です。


●段階移行方式

段階移行方式は、古いシステムから新しいシステムに、段階的に置き換える方法です。
この方法では、各段階で問題が発生しても対応しやすく、次の段階でリプレイスする際に改善したり、場合によっては中断して再検討といった判断もできるため、リスクを低減できます。ただし、古いシステムと新しいシステムが一時的に共存するため、その間は運用が複雑になることがデメリットです。どのように導入していくか、フェーズを区切って具体的に計画を立てる必要があります。
段階移行方式は大規模なプロジェクトや、新旧システムの共存が可能な場合に適しています。例えば、大手製造業などで、全体のシステムが複雑であり、部署ごと、あるいは機能ごとにシステムを更新することが可能な場合は段階移行方式がマッチするでしょう。


●並行移行方式(パラレル方式)

並行移行方式(パラレル方式)は、新旧のシステムを一定期間同時に稼働させる方法です。新しいシステムが安定するまで古いシステムを維持し、データを分析・比較しながら、最終的に古いシステムの廃止を目指します。
この方式は安全性が高い点が最大のメリットです。一方で、2つのシステムを同時に運用するため、大きなコストがかかります。
並行移行方式は、新システムに移行した際のリスクを最小限に抑えたい場合に適しています。例えば、金融機関や医療機関など、機密性の高い情報を有し、データの扱いにおいてミスが許されない業界でのシステムリプレイスに向いています。


●試行方式(パイロット方式)

試行方式(パイロット方式)は、新しいシステムを限定的な範囲やグループで先に導入し、その結果を評価しながら全体に展開する方法です。これに方式を採用することで、実際の運用環境での新システムの性能や問題点を把握でき、正式導入をするか否か、正しい判断ができます。一方で、試験段階から多くの手間がかかり、正式導入までに時間がかかる場合もあるため、一括移行方式のようなスピード感はありません。
試行方式は、新システムが従来システムと大幅に仕組みや活用方法が異なり、未知の要素を多く含む場合に適しています。例えば、新たな技術の導入を目指すIT企業や、新しいビジネスモデルを試みるスタートアップ企業などに有効です。

システムリプレイスを成功に導くポイント


システムリプレイスを行ううえで、企業の規模や課題に合わせて移行方式を選ぶことの重要性は理解いただけたと思います。ただし、どの方式を用いる場合でも、システムリプレイスを成功させるためには、共通して次の3つのポイントを押さえることも必須です。


●要件定義を詳細に行う

要件定義は、システムリプレイスにおける最も重要なステップの一つです。従前のシステムの状態や課題を洗い出したうえで、その解決策として新システムにはどのような機能が必要なのかを詳細に定義します。
要件定義の詰めが甘いと、システムリプレイスをしても業務での使い勝手が悪かったり、課題の解決につながらなかったりする場合があると同時に、リプレイス中にシステムのカスタマイズなどが必要になり、導入時にコストや時間が増大する可能性もあります。複数のベンダーに提案を依頼して詳細に要件を整理していくという方法もおすすめです。


●リスクを想定したスケジュールを立てる

プロジェクトのスケジュール管理もまた重要です。タスクを細かく分けたうえで、リスクも想定し、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。また、スケジュールを検討する際はシステムリプレイスの直接的なタスクだけでなく、新たなシステムを使い始めるにあたっての社内周知や教育、問い合わせ窓口の設置など、関節的なタスクも整理することで、スムーズな導入を実現できます。


●信頼できる開発会社と共同で進める

システムリプレイスには、システムやサーバー、ネットワーク、セキュリティなどに関する幅広い知識や技術が必要になります。自社だけで進めることが難しい場合、信頼できる開発会社に依頼をして共同で進めることが成功の秘訣。
ときには開発会社からの提案により、自社では気づけなかった課題の発見や、最適なシステムの導入につながる場合もあるでしょう。一方で、開発会社に丸投げにせず、まずは社内で課題とゴールを明確に設定することも重要です。

まとめ

システムリプレイスについて、その意味や移行方式、成功に導く進め方のポイントについて解説しました。
自社のシステムの状態や課題を整理したうえで、最新の技術をキャッチアップし、信頼できる開発会社の力も借りながらシステムリプレイスを進めていきましょう。

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