タイパとは? 今話題の若者言葉はビジネスにも通じる考え方だった
「タイパ」とは、Z世代を中心に使われる用語でタイムパフォーマンスのことを指し、時間対効果を意味します。タイパを意識した行動の具体例として、映画や動画の2倍速再生や同時視聴などが挙げられます。情報過多のZ世代にとっては、いかに時間を「節約するか」「効率化するか」がトレンドになっているのです。若者言葉に聞こえるタイパですが、実はビジネスでも真価を発揮する考え方でもあるといえます。今回はそんなタイパの意味とビジネスにおける考え方をまとめました。
Z世代のキーワード「タイパ」とは?
生まれた時からインターネットが存在するZ世代は、常日頃から大量の情報を取捨選択している世代です。また「情報」だけでなく、ありとあらゆる「モノ」があふれている世代でもあります。
そのため、「モノ」「コト(経験)」を消費する中で「時間」を効率的に考える傾向にあるのがZ世代です。だからこそ、大量の情報を効率よく処理するために、タイパを意識することがこの世代のトレンドとなっています。
タイパを意識する若者は、時間あたりの効率を高めるためさまざまな工夫を凝らします。タイパを高めるための行動例として、
1.動画の早送り
2.同時視聴/ながら見
3.映画・本など要約サイト/ショート動画
などが挙げられます。
この行動例はZ世代だけのものと思われがちです。しかし、Z世代ではなくても、たとえば仕事で必要になった情報を得る際に、ネット上のまとめ記事などをざっと縦断して適当な知識だけを得るなど、似た行動を取っていることがあるはずです。
ここまではZ世代を例に説明をしました。世間にはタイパを考える効率主義を悪くとらえる意見もあります。しかし、タイパをビジネスの世界に置き換えてみると、普段の働き方がちょっと変わるヒントになるかもしれません。
ビジネスだからこそ必要なタイパの定義
まずは、ビジネスにおけるタイパを定義していきます。
タイパとは「時間対効果」
タイパとは「タイムパフォーマンス」の略称です。時間あたりのパフォーマンス、つまり時間対効果のことを意味します。身近にある似た言葉として、コスパという言葉があります。コスパは「コストパフォーマンス」。つまり費用対効果という意味で誰もが理解できる単語として知られています。ビジネス上でもたびたび利用されている言葉です。
一方で、タイパはビジネス用語としてまだあまり使われていません。そこで次に、ビジネスでタイパの考え方が当てはまる場面を考えていきます。
タイパを高めるための取り組みとは?
それではビジネスでタイパを高めるためにはどの様な取り組みをしたらよいのでしょう。ここでは「個人視点」のタイパと「組織視点」のタイパという2つの視点で説明します。それぞれ、どのような取り組みがあるか見てみましょう。
個人視点のタイパ
最もイメージしやすいのが、個人視点のタイパを高める取り組みです。
突然ですが「タイパ飯」という言葉をご存知でしょうか。言葉の通り、タイパを意識した食事を意味します。例えばフードデリバリーはその代表的な例です。オフィス勤務でも在宅勤務でも手軽に作れるカップ麺などは一見タイパ飯に見えるかもしれません。ただ、時間的な効率は良くても、バランスの良い栄養(≒効果)を摂取できない食べ物はタイパが良いとはいえません。それに対して、調理の手間なく時間と栄養バランスを買うという点で、フードデリバリーはタイパを高める身近な機能です。
また、在宅勤務の方にはタイパを向上してくれるグッズも見逃せません。
その中心的存在がスマートスピーカーです。部屋の電気のオンオフ、冷暖房のオンオフ、カーテンの開け締めなど、あらゆる動作を半自動化してタイパを高められます。予定の管理もしてくれるのが心強いところ。
そのほかに「代行サービス」もタイパを高める方法のひとつです。代表的なものは家事代行サービスで、仕事の労力と家事の労力をトレードオフし、お金を払って家事の負担を減らす代わりに仕事の成果を上げるという視点で利用することができます。
自分の仕事が本来の業務以外のことで忙殺されている場合は、さまざまな代行サービスの活用を会社に提案し、自分のリソースをタイパの高い活動に割くという手も。手続き代行サービスなどは、役所の書類など時間がかかって仕方がないものに抜群な効果を発揮してくれます。
幹事代行サービスという、業務外の役割で時間がかかる上に失敗できないポジションを外部に投げられるサービスもあります。忘年会・新年会などで慣れてない役を任されて、苦い経験をしたことがある方も多いはず。プロに任せて仕事が円滑に進むのであれば、それもひとつの手でしょう。
おまけに紹介するのは、最近ちょっと流行りの退職代行サービスです。そもそも言い出しにくい退職。そうした精神的な悩みだけでなく、今の会社を退職するまでには手続きに多くの時間がかかるという側面もあります。それらを効率よく確実に実行してくれる代行サービスは、タイパを重視する人が増えた時代だからこそ生まれたといえるのかもしれません。
組織視点のタイパとは
組織のタイパを高める取り組みの代表例として挙げられるのがワークフローの改善です。組織全体で無駄なタイムロスが生じていないか、見直すところから始めます。方法としては、IT化による業務プロセスの改善や無駄の削減が基本となるでしょう。具体的な例を挙げると、ペーパーレス化や書類の電子承認などがあてはまります。これらを取り入れる企業は非常に多くなってきました。
ペーパーレス化は、印刷の手間を取らず、情報の共有をオンラインで可能にします。さらに書類を探す手間もなくなり、パソコン上で検索するだけでよくなります。電子承認についての効果は顕著で、これまで書類承認に印鑑巡りをしていた企業が、パソコンのワンクリックで承認が済むようになり、あっという間にタイパが高まったというケースもよく聞く話です。
ここまで聞くと「タイパを高めるためにさっそくIT化をしよう」と思う方も多いはず。しかし、IT化が進んでいない企業は注意が必要です。なぜなら、急なIT化によってシステム連携がうまくいかず部署同士が孤立してしまうという事態がしばしば見受けられるからです。このような現象を「サイロ化」といいます。一般的に組織でIT化を急激に進める際に起こる失敗例といえるでしょう。
関連記事:組織やシステムの「サイロ化」が起こる原因と対応策とは?
サイロ化を避けるための方法は組織によるため、簡単に避けることは難しいかもしれません。このように、どこからIT化に取り組んだら良いかわからない場合、ITに特化したコンサルティング企業に相談することも視野に入れましょう。企業全体がかけるコストを下げ、結果組織のタイパを高めることにつながります。
個人、組織の双方でタイパを高め、成長につなげよう
ここまでの事例を見て、タイパとは、Z世代のトレンドワードではなく、ビジネスにこそ必須の考え方だということがおわかりいただけたと思います。そのためにどんな取り組みをしていくべきか。個人としてのタイパの意識はもちろん大切ですが、それだけでは限界があります。組織をレベルアップさせていくためには、IT化は無視できないポイントとなるでしょう。企業の成長が、タイパに対する意識によって変わる時代が来ています。あなたの企業ではどんな取り組みがなされていますか?