2025.02.07

多要素認証とは?二段階認証の違いとセキュリティ効果を高める運用ポイントについて解説

多要素認証とは?二段階認証の違いとセキュリティ効果を高める運用ポイントについて解説
多要素認証とは、複数の認証要素を組み合わせて本人確認を行うセキュリティ技術です。
本記事では、多要素認証の3つの認証要素(知識情報、所持情報、生体情報)の特徴や二段階認証との違い、身近な利用例、導入のメリット・デメリット、そして効果的な運用のポイントについて解説します。

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多要素認証とは

多要素認証(Multi-Factor Authentication:MFA)とは、複数の認証要素を組み合わせて本人確認を行うセキュリティ技術です。従来の ID とパスワードだけによる認証と比べて、セキュリティレベルを大幅に向上させます。

ID・パスワード認証は従来から利用され浸透している一方、パスワード盗難や推測による不正アクセスの危険性があります。近年、サイバー攻撃は巧妙化の一途をたどり、ID・パスワード情報漏えいのリスクが増大している状況です。

多要素認証では、ID・パスワードに加えて、3つの要素を組み合わせることで、より強固なセキュリティを実現します。

3つの認証要素

多要素認証で使用される認証要素には、「知識情報」「所持情報」「生体情報」の3種類があります。

多要素認証で使用される「知識情報」「所持情報」「生体情報」の3種類の解説図

各要素の概要は以下の通りです。

要素概要
知識情報ユーザーが記憶している情報を指し、パスワードや暗証番号、秘密の質問の回答などが該当します。
所持情報ユーザーが物理的に所有しているものを指し、ICカード、スマートフォン、セキュリティトークンなどが含まれます。
生体情報ユーザー本人の身体的特徴を指し、指紋、顔、虹彩、静脈パターンなどが該当します。

このように、多要素認証は複数の要素を組み合わせることで、より強固なセキュリティを実現します。

多要素認証と二段階認証の違い

多要素認証と似た用語に「二段階認証」がありますが、両者には重要な違いがあります。

多要素認証と二段階認証の認証方式の比較と、認証要素の種類を説明

多要素認証は、異なる種類の認証要素を2つ以上組み合わせる必要があります。一方、二段階認証は認証を2回行うものの、同じ種類の認証要素を使用することもあります。

例えば、パスワードを入力した後に秘密の質問に答える場合は二段階認証ですが、どちらも知識情報のため多要素認証とは言えません。

身近な多要素認証の例

私たちの生活の中にも、以下のように多要素認証は導入されています。

  • ATMでの現金引き出し時にキャッシュカード(所持情報)と暗証番号(知識情報)を使用する
  • スマートフォンのロック解除時に指紋認証(生体情報)とPINコード(知識情報)を使用する
  • オンラインバンキングで、ログインパスワード(知識情報)とスマートフォンアプリの認証(所持情報)を使用する
日常で見かける多要素認証の具体例を3つご紹介

これらの例からもわかるように、多要素認証は私たちの生活に密接に関わっており、セキュリティを向上させる上で重要な役割を果たしています。

なぜ多要素認証が必要なのか

サイバー攻撃の高度化と頻発を背景に、多要素認証の重要性が高まっています。従来のパスワード認証は、リスト攻撃、フィッシング、総当たり攻撃などで突破されやすく、情報漏えいのリスクが高いです。

リモートワーク普及による社外からの業務システムアクセス増加も、強固な本人確認の必要性を高めています。

多要素認証は、パスワードに加え、生体認証や所持情報などを組み合わせることで、不正アクセスを効果的に防止できるため、ゼロトラストセキュリティが浸透する現代において、多要素認証は必須の対策です。ゼロトラストセキュリティについて詳しく知りたい方は、「ゼロトラストとは?意味や実現するセキュリティ技術をわかりやすく解説」をご覧ください。

多要素認証のメリットとデメリット

多要素認証の主なメリットは、セキュリティレベルの大幅な向上です。認証要素の1つが漏えいしても、他の要素で不正アクセスを阻止でき、アクセスログによる詳細な追跡・監査も可能です。

一方、多要素認証には、認証プロセスの複雑化による利便性低下というデメリットもあります。複数の認証要素の準備に加え、生体認証システム導入などの初期・運用コストも発生します。

それでも多要素認証が推奨されるのは、ID・パスワードのみの認証がサイバー攻撃に対して脆弱だからです。情報漏えい時の被害を最小限に抑えるため、多要素認証は有効な手段となります。

多要素認証のセキュリティ効果を高める運用ポイント

多要素認証の効果を最大限に引き出すには、適切な運用が不可欠です。パスワードポリシーを策定し定期的に見直すとともに、ワンタイムパスワードなどの有効な認証要素を導入することで、認証情報の使い回しリスクを軽減できます。

さらに、従業員教育も重要です。認証デバイスの取り扱いルールを明確化し、紛失・盗難時の対応を徹底することで、多要素認証のセキュリティ効果を最大限に高められます。

まとめ

多要素認証(MFA)は、ID・パスワードに加え、所持情報や生体情報など複数の要素を組み合わせることで、強固なセキュリティを実現する技術です。

多要素認証は、高度化するサイバー攻撃に対応するセキュリティ対策の1つとして欠かせません。利便性と安全性のバランスを考慮し、適切な要素選択と運用ルール策定が重要です。DTSではお客様の予算や状況に応じた多要素認証ソリューション導入を支援しています。ご興味がある方は「DXセキュリティ導入・運用監視支援サービス」をご覧ください。

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